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おしゃべりとバニラエッセンスは適量で。〜効能と取り扱い注意事項〜


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:美友 (ライティング・ゼミ 土曜コース)

なぜ人は仕事中におしゃべりをしてしまうのだろう。
忙しい時ほど、わかっていても、つい……

先日職場で、こんな「苦い」出来事があった。

「メールではなく、口頭で話したいことがある」

先日お世話になっている、先輩からそう連絡が来た。

一体なんだろう?何か悪いことしたかな?
見に覚えはなかったが、人間なぜか悪い方に考えてしまうものである。

ドキドキしながら会議室に行くと、

「就業中の私語に注意してください」

と、怒られてしまったのだ。
社会人13年目にして、本当にお恥ずかしい限り。

同じ部屋で働いているある人が、私の就業中の私語が気に障ったようで、おしゃべりが長すぎる、仕事関係ない話は適切ではないと注意受けたということだった。

私の第一声は「え、!?」だった。
正直まさか、そんなことで怒られるなんて思ってもみなかった。もっと悪いことが起きたらとかをずっと考えていたので、やや安堵と拍子抜けもあった。

確かに個人的な話だったので、誰かを不快にさせてしまったこと、誰かの仕事の邪魔と相手が感じたことは事実なので、ご指摘をしかと受け止め、素直に申し訳ございませんと謝りたい。

ただ、なぜ私だけ注意されたのかという点だけはすこし納得がいかなかった。
実際その時は他の先輩方に話しかけられたし、聞かれたから答えだけだ。

とはいえ、事実は事実である。私の声が大きかったのか、私が目立ってしまったのだろう。タイミングが悪かったのだろう。そして、きっと上の先輩方には言いにくかったのだろう。だから一番年下の、言いやすい私に来たのではないかと思う。

もちろん業界者、職種、社風、本人の性質にもよるので、全くおしゃべりがない、許されない、無駄以外の何物でもないという職場もきっとあるだろう。正直おしゃべりはなくても仕事は成り立つのも事実。仕事上でのコミュニケーションが適切にとられていれば、仕事はある程度回っていくものだ。

お給料をいただいて、仕事をしているわけだから、就業中の私語というのは、よくないものであるのが通例である。

でも私は、それでもおしゃべりをしてしまうのだ。そして私の周りの人も。
仕事の合間の、甘美な誘惑なのである。

そう、例えるならば、仕事中のおしゃべりは、バニラエッセンスのようなものである。
数滴垂らすと甘い風味が広がっていく。そう、適量であれば。

先日の怒られたことを反省し、ここ数日職場のみなさんのおしゃべりを観察してみた。ほら、私以外にもみんなしてるじゃないの……という心の声は、一旦横に置いておいて。

おしゃべりを無駄話としかとらえるか、前に仕事を進めるための必要なバッファーや情報交換やコミュニケーションと捉えるか。

そこが、おしゃべりの賛否両論が分かれ目ではないだろうか。

一番大きな割合を占める理由は、働く人のストレス解消と承認欲求を満たすことである。

なんだかモヤモヤした時、ちょっと話をして発散することで、気持ちを入れ替えて、次の作業に進むことができる。
何か失敗してしまった時、嫌なことがあったり、自分ですぐ次の仕事に取り組まないといけないことをわかっていても、どうしても前に進めない時がある。

誰かにちょっとだけ話を聞いてほしい、おしゃべりしながら、大丈夫だよ、次は頑張ろうなど、受け止めてもらえると人間は安心感を得るものである。素直に自分の想いを伝えることができる心理的に安心、安全の場がそこにある。以前、グーグルがチームの生産性を高める唯一の方法として、「心理的安全があること」と発表して注目を集めた。

おしゃべりだけその方法の全てではないが、一見無駄に思われる仕事時間の隙間に、実は成果を上げるための職場の雰囲気づくりのエッセンスが入っていたのだ。

そして何より、スッキリした後は、頭を切り替えて、集中して時間内に仕事を終わらせ、成果を出せばいいのだ。

ただし、今回のちょっとした出来事のように、やりすぎは禁物である。
やはり何事も適量がいいのだ。使用上の注意事項を守らないと、私みたいに「苦い」想いをする。

人に迷惑をかけてしまう、仕事に集中している人の邪魔になるおしゃべりは、やはりよくない。

少し周りを見て、仕事に集中している人がいたら、いくら周りが話しているとはいえ、同調してはいけない。
そして、個人的な話の内容が、ある人にとっては不快に感じることもある。
あとは、メリハリをつけて、スッキリしたら、パッと仕事に集中するべきだ。だらだらと、おしゃべりをしつづけたら、本当に時間泥棒と給料泥棒になってしまう。

バニラエッセンスの適量というのは、材料100gに対して、3〜5滴だそうだ。

人それぞれ、「適量」も違うのだ。今回の件で、私が思っていた適量は、怒ってくれた人には多すぎたのだった。そのひともけっこうおしゃべりしているひとだったが、人は見えている普段の仕事の様子だけではわからないことも多い。

どこまでの内容で、どのくらいの長さが、「おしゃべり」の許容範囲なのかというのも、そこはやはり節度を持ってということが大事だ。さじ加減だ。

適量がちょうどいい。あんなに風味がいいバニラエッセンスも、入れすぎると苦くなってしまう。

何より、おしゃべりは職場での目的=仕事でないように、おしゃべり自体にはそんなに中身はないのだ。ただ、ちょっとした仕事の合間のエッセンスというか、少しだけ入れるからこそ、「甘く」、楽しいものなのだ。

仕事中のおしゃべりとバニラエッセンスは、入れすぎにはどうぞご注意を。

適量なら、きっと、日々の毎日を風味豊かにしてくれるでしょう!

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2019-01-31 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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