メディアグランプリ

ライティング・ゼミがくれた、思わぬ副産物


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【2月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:杉本織恵(ライティング・ゼミ平日コース)

「あーもう、何にも書きたいものが無い」
課題提出日である月曜日が来る度に、そう思い続けて何週間たっただろうか。
それでも、三浦さんの「書いて下さい」「まず、書く量が必要です」の言葉を思い出し、あと数回で終わるから、と自分を奮い立たせ、何とかパソコンに向かう。

ライティング・ゼミを受講し始めて、最初の数回は、書くことが楽しいと思った。講義で書き方を教わり、注意する点を学び、「こういうことが大切なのか」「なるほど、面白い」と思いながら、パソコンに向かっていた。

けれども、出しても出しても落とされ続け、内容、観点、テーマ、タイトルなど毎回違うところを指摘され、修正すると別の点を指摘され、そんなことが続くうち、だんだん気持ちが重くなっていった。三浦さんの「落とすことがサービスだと思っています」という言葉を思い出しながらも、次の課題を書くのが苦痛になってくる。

天狼院のサイトで、メディアグランプリに掲載された文章を読みながら、何が違うのかを考えてみたりもした。すごく面白いと思う作品が上位に入ってなかったり、逆に、個人的にはそこまで共感できない作品が上位に食い込んでいたりするのを見て、大勢の人たちの目に触れるメディアであれば、私一人の個人的な視点とは異なる結果が出るのは、ある意味当然なのかもしれない、と思ったりもした。

ただ、読んだからといって私の文章力が上がるわけでは、もちろん無い。他のゼミ生の方のように上手になるわけでも、いきなり掲載レベルに腕があがるわけでも無い。三浦さんが繰り返し「ひたすら量を書いて下さい」と言うように、どんなに月曜日が苦痛でも、どんなに掲載されなくても、何とか毎週書くことを目標にするようになった。

数か月間、毎週月曜日に繰り返される、重い気持ち。しかも、季節は、冬。
冬の毎週やってくる重い気持ち……ああ、重い重い。胸のあたりが重くなる。まるで高校の時のマラソン大会の練習のようだ、と、暖かいストーブの前で、パソコンとにらめっこしながら思った。

毎週やってくる体育の時間。極寒の中、学校の周りをひたすら走らされる最悪の授業。学校は嫌いでは無かったけれど、冬の体育がある日は、朝から本当に憂鬱だった。

走れば、終わる。数キロ走りさえすれば、その日の苦痛は終わるのだし、マラソンは気持ち的にとても嫌いだけれども、体力的に走れない距離では無い。ただ、走るのが嫌で、特にマラソンが嫌いで、できれば休みたかった。

「面白そう」と思って入ったライティング・ゼミで、まさか高校時代の重い思い出がよみがえってくるなんて、思ってもいなかった。

ただ、冷静に考えれば、全く状況は違う。高校の体育は必須だったし、マラソンを走らなければ単位が取れなくなってしまう。けれど、ライティング・ゼミは、当然ながら自由参加。私が途中リタイヤしたとして、誰も咎める人もいなければ、誰にも迷惑はかからない。もちろん、ライティング・ゼミを終了できなかったとしても、何か問題が起きるわけでもない。

なのに、毎週月曜日に、まるでマラソンの練習をしなくてはならないような重い気持ちになるというのは、一体どういうわけなのか。

わたしはライティング・ゼミに入るときに、決めたことがある。それは「何はともあれ、最後まで頑張る」こと。そう決めてしまったから、落とされ続けても、何とか最後まで完走したいと思っている。

高校のマラソンの練習では、途中で苦しくなると、よく歩いていた。まだ体力が残っていても、走るのに心が折れると、すぐ歩いた。

つまり、昔からあまり根性が無かった。

自分に根性が無いことを知っているから、ライティング・ゼミが途中で苦しくなってきた時も、投げ出したくなる自分を、はっきり自覚した。「あーヤバイ、途中でもうやめてしまいたい」と何度も思った。

この「途中で投げ出したい」気持ちが引き金になって、毎週定期的にやってくる課題提出の日と、毎週の体育の授業がリンクし、そして寒い冬が追い打ちをかけて、高校時代のマラソンを思い起こさせたのだろう。

ああ、何だかマラソンを思い出したせいで、余計にライティング・ゼミの課題が重たいものに感じられてきてしまった。これは、良くない傾向だ。

ただ、この「重い気持ち」を無かったことにして、無理やりポジティブに転換しようとすると、大概失敗する。だから今回は、課題の前にこの「重い気持ち」をただじっと感じて解消することにした。

時間にして、約30分。意外に早く変化が訪れた。

ネガティブな感情が発生すると、だいたい体の中に不快感が走る。
胸が苦しくなったり、重く感じられたり、胃がむかむかしたり、肩のあたりが落ち着かなくなったり。だいたいこの不快感を感じているのが嫌で、ネガティブな感情に蓋をしてしまうのだが、実際は、この一時的な不快感から逃げなければ、あとは拍子抜けするほどスルっと浮上できる。

大人になってから習得したこの方法で、今回も「重い気持ち」のネガティブゾーンから、前向きな気持ちまで、スルスルっと移動した。

ライティング・ゼミの課題に向き合ってきたつもりが、高校時代から無自覚のまま引きずってきたと思われる冬の重い気持ちを、自分の中で昇華できたという、思わぬ副産物を得てしまった。

課題は今回が最後。何はともあれ、途中リタイヤの危機を抜け、最後まで完走した。文章を書く、イコール、重たい気持ちになる、という負のスパイラルも克服した。あとは、ひたすら書いていくだけ。

文章を書くコツについては、講座の中で消化できない程教えてもらった。それを使いきれていない自覚は有り余るほどある。

「誰でもできます」「量が足りてないだけです」

講座中、何度も繰り返された三浦さんの言葉が、あの声で、あのトーンで、あの顔で、頭の中で繰り返される。

そうか。そうなのだな。何千人も見てきたプロが言うなら、そうなのだろう。
書く量が足りないなら、あとは書き続けていくしかない。

*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。 http://tenro-in.com/zemi/66768

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2019-02-07 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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