ストレスに強いはずが実は弱かった私のストレスのさばき方
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:山本さおり(ライティング・ゼミ日曜コース)
「いよいよ出たな」
結果を見て、思った。
いざ文字で結果を見ると、事実が突きつけられ、わかっていたこととはいえ、がっくりだ。
先日、ストレスチェックを受ける機会があった。
結果は、「あなたのストレス状況は、高い状態にあることがうかがわれます」
……言われなくてもわかっとるわぁ! と言いたいところだが、相手はパソコンの画面。
さらに診断ページを見ていくと、一番課題感のある項目が「イライラ感」だったことで余計にがっくりきた。まさにその兆候が出ている。なんと、医師との面談まですすめられているではないか。
労働者に対してストレスチェックの実施が法律で義務化されたとかなんとか……
そんなチェックはしなくてもわかっている。
私はストレスを受けている。強いストレスだ。
課題山積みの社内環境の中でどんどん増えていく仕事。退職するという後輩の仕事の引き継ぎに、社員からのクレーム対応、外部取引先のミスを指摘する、などなど何が楽しくてこんな安い給料で仕事をしなくてはいけないのだろう。悲しくなってくる。
しかし、そんな愚痴をストレスチェックはあざ笑う。
「怒りを感じたら、ヒートアップする前に、気分転換するなど、まずはその状況を変えるように試みましょう」
それができれば苦労はしないんじゃあ! と、またイライラは募る。
たしかに、今までのストレスチェックでは、医師との面談を進められるほどの結果は出ていなかった。どんなに振り切った回答をしても、「正常の範囲内です。今のところ大きな問題は見られませんでした。今後もストレスをこまめに解消しながら過ごしましょう」くらいの内容だった。それはそれで「正常なのかーい!」とツッコミを入れていたが、どこかでほっとしていた。
しかし今回は、要医師面談である。本格的にストレスと向き合う必要がありそうだ。
そんな中、学生向けのストレス耐性の検査をお試しで受ける機会が訪れた。
さて結果は……
「ストレスに弱い傾向にあります」
なんと! ストレスに強いと思い込んでいたが、実はストレスに弱かったのか。
環境や他人のせいにしがちで、悪いことが起きたら、長く引きずる傾向にあり、特にストレスを和らげる行動が取れていないとのこと。
戦わずして勝ちたい性格の私は、いろいろ言われることが一番のストレスになるのだが、
そう捉えてしまうのも、あなたの良くないところですよ、と言われているようだ。
客観的な検査の結果がぐさりと突き刺さる。
やはり本格的にストレスと向き合ってみようと思う。
ストレスとの付き合い方を私なりに考えてみたが、ストレスはふぐみたいなものだと思うことにした。
ふぐ……皆様ご存じのとおり、毒を持っている。人間は簡単に死んでしまう猛毒だ。しかし、うまくさばければ、高級食材としてふぐ刺しやふぐちりなど、おいしくいただくことができる。なかなか口にする機会はないが、毒がある魚の緊張感込みでよりおいしく感じることがある。
ストレスという毒をうまくさばければ、日々をうまく乗り切ることができるのではないか。
ストレスを逆手にとれば、「ストレスなんかで死んでたまるか」と仕事にも弾みがつきそうだ。
さて、ではその毒をどううまくさばけばよいのか。ストレスを和らげる行動とは、何をどうすればいいのか。その肝心なところをその検査結果は教えてくれない。
ストレス緩和のために、私はヨガと美術鑑賞を趣味と認定することにした。
今まで「趣味は何ですか?」と聞かれると答えに困っていたが、何となく好きでやっていたことでも趣味に認定すると、手元に戦えるアイテムが増えたような気分になる。
ヨガでポーズを取っていると、体の動かし方に意識が向くので、その時はイライラを忘れることができる。体を動かすと、気分がスッキリするとよく言われるが、何も考えず、頭をからっぽにして体の隅々まで動かすからなのかもしれない。
美術鑑賞も同じだ。博物館に足を運んで、その作品を前に、大きさや色、素材などをよく見るようにしている。五感でその作品と向き合い、家に飾るならどれがいいかと妄想する。
時代背景や作者のことを確認するのは二の次だ。頭を使ってしまい、思い出さなくてもいいことまで思い出してしまうので、ストレスは消化不良を起こす。そうならないためにも、五感で美術作品に向き合うようにしている。
最近のお気に入りは、ヨガのポーズなら「真珠貝のポーズ」と美術鑑賞なら東京国立博物館で見た「埴輪 鍬をかつぐ男」である。
特に埴輪の「鍬をかつぐ男」は、いわゆる埴輪の無表情ではなく、口元がにやりとしている笑顔がかわいいので、ほっこりしてしまう。
すっかり私の好きなものの話に夢中になってしまったが、私のストレスとの向き合い方は、頭をからっぽにして、何も考えずに好きなものと向き合って、五感で楽しむことが一番なようだ。
みんなのストレスのさばき方、いわゆる解消法をいろいろときいてみたい。ふぐのさばき方には免許が必要だが、ストレスのさばき方は見よう見まねで、ストレスに弱い自分にも始められそうだ。
ストレスの毒にうっかり当たって死んでしまう前に、おいしくいただいてしまいたいと思う。
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