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メディアグランプリ

すっかり読書をするようになってしまった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【3月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《火曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:吉田健介(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
全く困ったものである。
そもそも本を読むという行為は、ただの苦痛でしかなかった。
じっと座りながら、時間をかけて文字を読むなんて、かつの僕には考えられない行為だ。
本を読むことは、退屈以外の何ものでもなく、なるべく関わらないように本とは距離を置いていた。
 
小学校の宿題では、毎日読書をしなければならなかった。
家にあった適当な絵本を手に取り、それを数日かけて読んだことにしていた。
足枷をつけられたように、本を読むことは僕にとって、重いものだったのだ。
 
だからこそ、困っている。
天狼院書店に出入りするようになってからというもの、僕は読書をしているのだ。
しかも、本を読まないと落ち着かなくなってしまう程に。禁断症状というのか、まるで毒に侵されているかのように読書をしている。
まさに毒書。
 
最近は書店に長居しないようにしている。
じっと本たちを見ていると、捨てられた子猫のように僕の目を見つめてくるからだ。
連れ帰りたくなってしまう。
気を付けないと、動物であふれるムツゴロウ王国のように、本であふれかえってしまう。
困ったものだ。
 
国語のテストで点数を取るため。
中学校・高校時代、読書に対してそういった認識があった。
国語が苦手だった僕は結局、苦手なままでいいや、という結論に至り、結局1冊も本を読むことはなかった。
 
当時の先生たちは
「なるべくたくさん読んだ方がいいよ。いつか役に立つ」
と言った。
あの頃、いつ役に立つか分からないことに、時間を割く気になれなかった。
 
一方、現在では、読んだことをすぐに役立てている。
むしろ、役立ちそうなものを選んでいる。
いや、役立ちそうなタイトルが、この書店には並んでいるのだ。丁度いいところをつついてくるのだ。
改めて本棚に並ぶ本を見ると、以前は気にも止めなかったタイトルが、どんどん気に止まってくる。非常に困っている。
だから長居しないようにしている。
じっくり本棚を見ないようにしている。
 
「また、おもしろそうな本がある。全く何してくれてんねん、天狼院は」
 
わくわくしながら思う。
 
実は、かつて第一次読書ブームが僕に訪れたことがあった。
大学生の頃、電車で通学していると、目の前に一人の学生が座っていた。
すごくだらしない姿勢で座っている彼女の手には、1冊の本があった。
読書をしていたのだ。
 
「あんなだらしない格好で座ってるのに、読書してる!」
 
見た目とのギャップに衝撃を受けた。
かっこいい、と思い、次の日から真似をして本を読むようになった。電車の中限定で。
だが、社会人になってからは、いつの間にか読書もしなくなってしまった。
 
幼い頃は、テレビゲームが大好きだった。
特に、ドラゴンクエストやファイナルファンタジーに代表される、RPG(ロールプレイングゲーム)をよくプレイしていた。
あるゲームでは町に魔法屋さんがあった。
使いたい魔法はお金を支払うと使えるようになるというシステムだ。
 
時間の使い方、アウトプット、統計学、殺し屋のマーケティング……
 
天狼院書店で本を買うことは、魔法屋で魔法を買うことに似ている。
本を読むことで、新しいスキルを学習する。新しい魔法を覚えるみたいに。
 
気になったページには折り目を付ける。
必要なら直接書き込むこともある。
いつか古本屋で売るかも……という前提できれいに使うことはない。
魔法を唱えるための詠唱を忘れないように、どんどんと折り目を付けていく。
 
「本を読んで過ごすよ」
 
昔、休日の過ごし方を母に聞いたとき、そんな返事が返ってきた。
マジかよ、と思った。
当時、僕にとっては苦痛の対象だった読書。
その読書でオフを過ごし、憩いとするなんて、一体何を考えているのだ。
そんな母にただただ驚いた。
しかし、今ではすっかり僕も読書をしている。
不思議なものである。
 
本に対する認識が変わったのは、ライティング・ゼミに参加するようになってからだ。
国語力に対して、劣等感があった僕は、何かが変わる気がして参加を決意した。
講義で紹介される本のタイトル名をメモし、読みたいリスト(通称ブラックリスト)に書き加えていく。
 
天狼院書店に行くと、講義で紹介された本が置かれている。
 
「あれ、あれあれ……」
 
その本の周りには、タイトルに関連付けられた新たな本が仲良く並んでいる。
どんどんそれらの本も気になってしまうではないか。
全く困ったものだ。
 
ちなみに、棚に並ぶ本の量が丁度いい。
多すぎず、少なすぎず、適度な量なのだ。
優柔不断な僕は、メニューがたくさん並ぶお店に行くと、何が何だか分からなくなってしまう。そんな僕にとって、ここの棚具合は手頃な量だ。
だからこそ、あまり長居しないようにしている。
あれもこれもと欲が出てしまうから。
誘惑。
毒書店。
 
先日も、フラッと立ち寄ったつもりが、店を出る時には新しい1冊を抱えていた。また新しい魔法を覚えてしまうではないか。
 
全く困ったものである。本当に。
 
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2019-02-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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