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イライラ指数

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:吉田 健介(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
「またつかまってしまった……」
 
車を運転していた時のことだ。
毎日、片道40kmの道を車で通勤している。
 
職場への道は田舎の一本道。みんながその道を使う。
だから、ゆったりと運転している車がいた時は、プチ渋滞が起こる。
その日もまさにプチ渋滞につかまってしまっていた。
 
「あ〜もう……」
 
仕方がないことだが、わかってはいるが、イライラしてしまう。
 
時間は充分に間に合う。
特に急いでいるわけでもない。
だがついイライラしてしまう。
 
いつも行くスーパーでは、レジに並ぶ時、注意していることがある。
それは、あるおばちゃん(おばちゃんA)のレジには並ばないこと。
 
丁寧に仕事をするおばちゃんなのだ。
だけど、そこに並ぶと、同じタイミングで並んだ隣の人は、僕を置いてどんどん進んで行く。気がつくと、もう商品を袋に詰め終わり、帰ろうとしているではないか。
 
イライラする……
 
だからおばちゃんAのレジには並ばないようにしている。
おばちゃんBかCの所へ行く。
申し訳ないと思うが、仕方がない。分かってほしい。
 
ある日、切符を買うために、券売機にお金を入れようとしていた。
片道410円。小銭がなかった僕は、1010円を投入した。
ガーっと機械音が鳴り、その直後、水揚げされた魚のように、600円が勢いよく飛び出す。
気持ちいい。
ストレスがない。
 
「これだよ、これ!」
 
いいやつだ、と券売機に好感を抱く。
 
世の中には様々なストレスがある。
ありとあらゆるストレスのうち、8割を占めるのが「遅い」ではないだろうか。
 
車のノロノロ運転。
レジのスピード。
頼んだメニューが出てこない。
PCが固まってしまう。
インターネットが不調。
 
日々色々なことが巻き起こるが、そのうち、僕をイライラとさせてしまうものは「遅い」系が多い気がする。いや、世の中にあふれるストレスのほとんどが「遅い」ことから始まっている気がしてならない。
 
「落ち着け、落ち着け……」
 
冷静になる。
他のことを考えようとする。
周りの景色を見ようとする。
頭に音楽をかけようとする。
 
だが、一旦やってきたイライラはなかなか去ってはいかない。
体にまとわりつき、しばらく僕のあたりをウロウロとしている。
 
「ダメだ……いらいらする~……」
 
特に車の運転については参っている。
片道40kmの通勤を車で過ごす。
職場までは田舎の一本道。
なので、地元のおっちゃんが、ゆったりと軽トラックを機嫌良さげに走らせていた時には、プチ渋滞が起こる。
 
「50キロって看板あるやん……もうちょっと出そ!」
 
40キロで前を走られた日には本当に最悪なのだ。
職場に付く頃には精神力が消費され、体を所々削られたような気分になる。
疲労がドッとおそってくる。
たまらない。
 
だが、このイライラに振り回されないために、最近、新しい技を覚えた。
この技を使うようになってからは、幾分かイライラに対するストレスは軽減された気がする。
あくまで軽減。
 
それは、イライラを点数化するのだ。
10点満点で、目の前で起こっているストレスに点数を付けていくのだ。
 
満点の10点は「殺人級」。
 
「ぶっ殺してやる〜」である。
 
それを基準に点数を付ける。
 
そんなこんなで、周りに巻き起こるストレスに点数をつけていく。
そうすると、あることに気が付いた。
それは、平均して僕のイライラ指数は2,3点くらいであることだ。
 
前の車がノロノロ運転=3点。
並んだレジの人が遅い=2点。
頼んだメニューが出てこない=2点か3点(空腹具合による)
インターネットが不調でサクサクと動かない=2点か3点(アマゾンプライムの動画なら4点)
 
こうして目の前に起こるストレスに点数を付けることで、客観的にイライラを捉え、何だかクールになれるのだ。
 
「なんだ、2点くらいなのか」
 
そう思うと、イライラもつまらないことに感じてくる。
 
「全くもう……」
 
という具合に、時には目の前のストレスがかわいく感じることもある。
 
ちなみに、5,6点級はまだついたことがない。
高くても4点まで。インターネットが不調で、見たい動画がうまく動かなかった時。
それくらいだ。
そんなことをしながら、自らを冷静にコントロールする。
 
先日は、電車が遅れて、ホームで20分ほど待たされたことがあった。
通常ならイライラ指数3点のパターンだ。
だが、寒く、風の冷たい日のことだった。
 
「お願いだから早くきて~」
 
もはやこのパターンは点数を付けるところではない。
寒過ぎて、早く来てほしいと祈るのみだ。
 
最近は、イライラの点数を職場でも広め、お互いの点数を言い合っている。
不思議なことに、イライラする基準が人によって全く異なるのだ。
 
「あれは、8点や!」
 
僕が3点付けるであろうイライラを、その人は8点と付けた。
もう少しで殺人級の10点ではないか。
あまり怒らせないでおこう、と自らに教訓を送る。
 
イライラ指数を発表し合いながら、つい笑いが飛び交う。
日々のストレスやイライラも捉え方によって表情が変わるものなのだ。
 
しかし、イライラがなくなったわけではない。
ついついイライラとしてしまう。
うまいことイライラのストレスと付き合って、もっと仲間に引き入れたいものだ。
 
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2019-03-08 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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