メディアグランプリ

コインランドリーが私に時間の大切さを教えてくれた。


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:鈴木裕太(ライティング・ゼミ特講)
 
 
引っ越しをして洗濯機を手放してから、2ヶ月が経つ。
以前は、シェアハウスに住んでいたので共用の洗濯機を利用していた。
 
引っ越しの際、新しく自分の洗濯機を購入するか迷ったがやめた。新しい部屋には、できるだけ物を増やしたくなかったからだ。
 
それからは、週に1回コインランドリーに行く生活が始まった。
洗濯と乾燥で1200円。時間は1時間かかる。
 
「コインランドリー使うのってもったいなくない?」
洗濯機を持っておらず、コインランドリーを使っていることを言うと、このように聞かれることが多い。
 
確かにそうなのである。洗濯機は、安いものだと3万円くらいで購入でき、水道代や電気代などを無視すると、半年以上コインランドリーを使うと損になってしまう。
 
それでも、私がコインランドリーを使い続けるのにはきちんとした理由がある。
 
私がコインランドリーを使うのは、自由な時間を手に入れることができるからだ。
洗濯と乾燥が完了するまで、私には半強制的に1時間の時間が与えられる。
 
家からコインランドリーまで徒歩5分。家に帰ることもできるが、寝てしまうと困るので、家には帰らない。
 
なので、コインランドリーの大きなドラム式洗濯機の正面にある椅子に座り、1時間を過ごすことになる。
 
その空間は、BGMは一切流れておらず、洗濯機の動く音が聞こえるだけである。
 
1週間分の衣服がグルグルグルグルと回っているのをただただ眺めていると、頭の中でいろんな考えが巡っていく。
自分は将来どうなりたいのか、次の長期休暇は何をして過ごそうか、自分がやりたいことってなんだったっけ、晩御飯はどうしようか。
 
そんなことを考えていると、ふと気付かせられる。こうして、ぼーっと何かを考える時間ってこれまであまりなかった。
 
いつも何かに追われて、気づかないうち何かに時間を奪われている。
 
朝起きるのはいつもギリギリで、バタバタと準備をして会社に行き、家に帰るとテレビをつけて、スマホを眺め、だらだらして、気がつくと眠っている。そんな日々の繰り返し。
 
コインランドリー以外で、何かを長時間考え、自分と向き合うことは普段の生活で全くできていなかった。
 
「1時間自分と向きあう時間を取ろう」と自分で決めて行動すればいいのかもしれない。
ただ、意思が弱い私にとってそれは難しかった。
 
しかし、コインランドリーに行くことは私にとってそれほど難しいことではなかった。
週に1度コインランドリーに行かなければ、着る服がなくなってしまうという強制感があるからだ。
 
そのことが、私に自分と向き合える時間を与えてくれた。
 
コインランドリーで洗濯と乾燥が終わるまでの1時間。
 
ただただ物思いにふけることもあれば、買ったまま読んでいない本を読んだり、資格の勉強をしたりすることもある。
 
スマホを持っていくと触ってしまうので、できるだけ持っていかないようにしている。
 
コインランドリーで1時間を過ごし、ほんのり温かい洗濯物を抱えながら帰るときにいつも思うことがある。
1時間はこんなにも長くて、1時間あるとこんなにもできることがあるのか、ということだ。
 
普段はなかなか読み進められない本も集中して読み進められるし、何か文章を書くこともできるし、新しいアイデアを考えることもできる。
 
なぜこれが普段はできないのだろうか?
 
1日24時間のうち、1時間という時間を作るということは、本来そんなに難しくないはずだ。しかし、普段の生活では隙間時間がテレビやSNS、漫画などに奪われている。
 
コインランドリーは、私に1時間という貴重な時間を与えてくれ、また時間の重要さを教えてくれた。また、こうした時間の積み重ねが私の人生を作り上げていっているのだと気付かされた。
 
コインランドリーの待ち時間だけでなく、通勤で電車に乗っている時間、レジで順番を待っている時間、歯を磨いている時間、そんな人生の隙間時間こそが、私の人生を作り上げていっているのかもしれない。
 
あなたが読んでいるこの文章も、コインランドリーでの待ち時間を使って書いたものであり、その時間がなければ、この文章を書き上げることができなかったかもしれない。
 
また、人生の貴重な隙間時間を使い、最後までこの文章を読んでくれたことを嬉しく思います。
 
 
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2019-03-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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