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メディアグランプリ

ポテトサラダは宗教である


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:鈴木裕太(ライティング・ゼミ火曜コース)
 
 

ポテトサラダの持つ魔力のようなものに魅了されてしまってからしばらくたつ。
居酒屋を選ぶときも、ポテトサラダがあるかないかが基準になってしまった。
 
友人が予約してくれたお店にポテトサラダがないとひどく残念に感じるようになった。
ポテトサラダに一喜一憂する日々。
 
ハマってしまったらもう抜け出せない。
先週末は、一晩で四軒のお店をはしごして、四種類のポテトサラダを食べた。
 
薄味でシンプルなポテトサラダ、クラッカーにディップするタイプのポテトサラダ、コチュジャンの入った韓国風のポテトサラダ、そして家庭的でどこか懐かしく感じるポテトサラダ。
 
もちろんただ食べるだけではない。布教するために、写真と食レポも残している。
インスタグラムへの投稿は、五か月で六十件を超えた。 ポテトサラダ好きのフォロワーも少しずつ増えてきている。
 
スマートフォンの中には、私の住む広島市で、ポテトサラダを食べることのできるお店のリストが入っている。 いつでも、どこにいても最短距離でポテトサラダを食べにいけるようにするためだ。
 
こんな風に、ここ最近はポテトサラダを食べるために飲みに行き、そして飲みに行くために日々働いている。給料の大半を飲み代に、いや、ポテトサラダ代に費やしているのだ。
 
お金を貯めても欲しいものは特にないし、そもそも物欲がない。
ただただ、自分を満たしてくれる最高のポテトサラダに巡り会いたい。そのことばかり考えて暮らしている。
 
周りから笑われようがバカにされようが関係ない。それほどまでに、のめりこんでしまった。
 
そうか、ポテトサラダは、もはや宗教なのかもしれない。
そして私は気づかぬうちにポテトサラダ教に入信してしまったのかもしれない。
 
キリスト教にカトリックとプロテスタントがあるように、ポテトサラダ好きにもベーコン派とハム派がある。
 
きゅうりを入れるかいれないか、じゃがいものマッシュ具合はどのくらいか、マスタードは入れるか入れないか、ゆで卵の潰し具合はどのくらいか。数え切れないほどの宗派があるのだ。
 
「私は無宗教です」そう言いながら、クリスマスを過ごし、新年には初詣に行く日本人。
「とりあえず、ポテサラと生ビール」と注文するが、そこまでポテトサラダ好きではないという人。
 
私のようにポテトサラダの可能性を信じて疑わない者もいれば、ポテトサラダはただの脇役だと可能性を信じていない者もいる。
 
「神聖な動物である牛を食べるなんて非常識だ!」とヒンドゥー教徒が言うように、「ポテトサラダにりんごを入れるなんて非常識だ!」とポテトサラダ評論家は言う。
 
モルモン教は信者に全財産の十分の一を教会へ納めるように言うが、私は手取りの四分の一を居酒屋に納め、ポテトサラダを食べている。
 
モルモン教はそれをしなければ、天国へ行けないと言われているが、私は飲みすぎ食べすぎで天国に行ってしまうかもしれない。気を付けねば。
 
このように、ポテトサラダには宗教的な何かがある。
そして私はそれに魅了されてしまったのだ。
 
なぜ、そしていつから私はポテトサラダにハマってしまったのだろうか。
ポテトサラダはどこから来て、どこへ向かっているのだろうか。
 
ポテトサラダの起源は、ロシアのオリヴィエサラダだという説が濃厚らしい。
いつか聖地巡礼しなければと思う。
 
では、日本にポテトサラダが初めてやってきたのはいつなのだろうか。
なぜ、居酒屋によってここまで種類が違って個性が出ているのだろうか。
 
家庭のポテトサラダも、各家庭によってかなり違うのはなんでだろうか。
 
そもそもポテトサラダってサラダなのか?
 
こんな風にポテトサラダのことばかり考えてしまう。
 
頭の中は、ポテトサラダで埋め尽くされ、家計はポテトサラダのための飲み代で圧迫され、貯金はできなくなる一方だ。
 
しかし、悪いことばかりではない。むしろ、ポテトサラダに魅了されてから良いことばかりだ。
 
「ポテトサラダが美味しいお店はなんでも美味しい」とどこかの誰かが言っていたが、それは本当で、料理の美味しいお店をたくさん見つけることができた。
 
ポテトサラダ好きの人とたくさん仲良くなれて、一緒に飲みにいけるようになった。
 
仕事ばかりで、趣味もない私に、ここまで夢中になれるものができた。
 
ポテトサラダに恩返しがしたい。ポテトサラダの魅力をもっと多くの人に知ってもらいたい。そう思うようになった。
 
そして私は、ポテトサラダ教会ならぬ、ポテトサラダ協会を設立した。
我々が目指す世界、それは、全ての居酒屋にポテトサラダがある世界だ。
 
「えー、このお店ポテトサラダ置いてないの……。がっかり!」
そんな悲しい思いをする人がいなくなりますように。
 
 
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

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2019-03-15 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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