メディアグランプリ

きょう、天狼院に行くはずではなかったのに。

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【4月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:末本圭子(ライティング・ゼミ土曜コース)
 
「もうすぐ、始まりますよ」というフェイスブックの天狼院のお知らせに、珍しく気づいた。
その時いたのは、東京、六本木。夕方6時過ぎ。
福岡から研修で東京にきているので、空いている日はとことん東京を遊び尽くそうと、その時、六本木ヒルズの「メディア・アンビション・トウキョウ」の受付に並んでいた。
アートとテクノロジーが融合した最先端の体験イベント。
東京ならではの探険をしなくては、とワクワクして並ぶ。
が、しかし。
人酔いする。
慣れている東京の人のように平然と長蛇の列には並べない。
平日の昼間の方がまだマシかも、と出直しを決め、列を離脱。
 
ちょうどその時、天狼院からのお知らせが鳴ったのだ。
これは、今、初・東京天狼院のタイミングということか。
グーグルで調べる。
なんと、ちょうど間に合うではないか。
 
東池袋駅を降り、グーグルマップを頼りに夜の住宅街を抜ける。
こんなところに本屋さんがあるのかと、不安にさせる近道。その道しか、グーグルさんは教えてくれないから従うしかない。
あった。東京天狼院。
居酒屋の上になんだか熱気ある人影が広いガラス窓の中でざわめいていた。
 
飲み屋のようなカウンターの受付には、見慣れた川代さんがいた。
あれって感じで目が合う。東京でなまで会うのは初めて。
 
三浦さんを見たのも、この時が初めて。
これが、あの三浦さんか。
愛嬌のいい飲み屋のお兄さんのように、テンポよくしゃべる。
川代さん以外、だれも知らないけど、天狼院つながりというだけで、妙に親近感が湧く。
その三浦さんをぐるりと囲むように、カウンター席に7人座れば満席。
同時進行で、10数人の車座が、すぐそこで本の話で大盛り上がり。
テレビの取材の人がずーっといる。
 
さて、カウンター席では、「人生を変えた本」について語り合うことになっていた。
何も知らずに来たので、人生を変えた本がすぐに思いつかない。
 
そうだ、「クリシュナムルティの日記」。それは、20数年前、ネパールに住み始めた時にゲストハウスにあった日本語の本だった。
日常の何気ない風景の描写と、哲学的な話がリンクして、これからのネパール滞在に対するワクワク感と不安が入り混じったあの時の情景がフラッシュバックする。
でも、人生を変えたかなあ。
あの頃は、ネットもスマホもなかったから、「地球の歩き方」というガイドブックが、旅の命綱だった。
そんな話に切り替わった時、
「それ、いいねえ。人生を変えた本は、地球の歩き方かも」
と言われ、たしかに、と急展開。
「地球の歩き方の情報は、よし!という時もあれば、全く違ったりすることもある。他の人の旅をたどるのは、面白いかも」
「それ、企画してもいいねえ」
なんだか、みんなと話すと、おもしろいアイデアが飛び交う。
 
次の人は、芥川の「蜜柑」という本について。
服部みれいの「恋愛呼吸」。
自分からはなかなか出会えない本が、次々にカウンター越しに熱い紹介と質問が行ったり来たり。
ライティングが上手くなるという、特別なカクテルの力もある。
特別なジンを使っているというだけあって、美味しい。
美味しい対話を肴に、ついつい、みんなそのお酒を追加注文する。
 
「ライティングが上手な人は、話もうまくなるんですか?」と訊いたくらい、
参加者の人の本の紹介がとてもいい。
絶対読みたくなるくらい、批評が熱く、作品への愛に満ちている。
だれかに伝えようと思うと、こんな風に、言葉が洗練されてくるのかも。
人の人生の転機を、その人の紹介する本を通して聞けるのは、楽しかった。
 
そして、天狼院は、いろんなことを妄想させるホットスポットだった。
 
本を媒介にして、人が交流できるスペース、身近なところでつくれないかな。
特に子どものたまり場みたいな。
多感な時期。学校の閉塞感に苦しくなった時、とことんじゃまされずに自分に向き合いたい時。
本屋さんに行く、と言えばいい口実になって、隠れ家のようなサードプレイスになるのではないか。
 
1時間手伝ったら、好きなだけ、本読んでいいよ、とか、いう場所あったら最高だと思う。本屋を盛り上げる中高生向きのイベントを企画するとか、チラシ作るとか、集客するとか、またとない社会経験になる。
本屋を隠れ蓑に、学生の時から社会と接点をもつには、本屋さんはいい。
 
若い子が図書館を避ける理由のひとつが、「図書館に行くのは、ネクラか友人がいない人と思われるので行かない」というものだった。
そんな先入観を打ち破るような、本を中心にしたコミュニティスペースがあちこちに生まれてほしい。
 
今日、行くはずではなかった東京天狼院に来てしまった。六本木ヒルズが混んでいたせいで。
子どもの居場所づくりがテーマだった私に、天狼院の隠れ家みたいなイメージがリンクして、脳裏に焼きついた東京の夜だった。
 
 
 
 
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2019-03-22 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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