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メディアグランプリ

旅は長さじゃない!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:上崎有紀(ライティングゼミ平日コース)

「なんで、このタイミングで!?」
ヘロヘロになりながら新しく任された仕事のプロジェクトがひと段落した。
その数日後、私は体調を崩した。
それは、私が楽しみにしていた旅行に行く数日前の出来事だった。
新しいプロジェクトが終わったら以前から行ってみたかった、「真鶴(まなづる)」という町に行こうと、馬に人参をぶら下げるように私は真鶴を目の前にぶら下げて頑張ってきた。
真鶴は神奈川の南西部、熱海寄りにある海に面した町で、海や原生林なんかもあって、ご飯も新鮮な魚介類が豊富な場所だ。
そこで友人が主催する味噌を仕込む会に行くことにしていた。
味噌づくりだけじゃない。
味噌作りの会の会場は「泊まれる出版社」というコンセプトの古民家をリノベーションした面白そうな場所。
それにその会で出されるランチは真鶴に移住した若者が営むパン屋さんの特製手ごねパン。
が、プロジェクトがひと段落した途端一気に体調を崩して寝込んでしまった。
目の前にぶら下げた人参を食べずして。
真鶴では、泊まれる出版社に前泊する予定だったのにキャンセルをした。

せめて味噌作りの会だけでも参加しようかと迷った。
体調が本調子でないのに行っても楽しめるのかとか、せっかく泊まりで行きたかったのに日帰りなんてなんだか味気ないとか。
でも、この味噌作りは申し込みの締め切りをかなり過ぎていたのに友達に無理を言って入れてもらったもの。
簡単にキャンセルするわけにはいかない。
味噌作りに参加するために、薬を飲む日々が続き、家でひたすら寝込んで、整体へも行った。
「全ては真鶴と味噌作りのために」
去年仕込んだお味噌は10分の1も使ってないくせに、今年も味噌作りへのモチベーションはなぜか高かった。
まだ万全の体調ではない、本当は出版社に泊まりたかったのに、日帰り旅なんて物足りなすぎる、しかも晴れ続きだったのに今日だけ雨。
そんな負の考えが連なったネックレスを首にかけながらも私は真鶴へ向かった。

真鶴も雨だった。

真鶴の駅は小さな駅だったが、前から行ってみたい場所に行けたことに達成感を感じた。
駅のコンビニでおにぎりと味つき卵を買って、バス停のベンチで寒さの中食べたご飯もなぜか美味しく感じた。
景色もそこで生活する人も、全てが新鮮だった。
参加した味噌作りの会では、初めて会う参加者の方ばかりだったが、味噌を揉み込みながら、ついでに口も動かして、みんなでいろいろな話をした。
調子に乗って持ってきたカメラでみんなの写真を撮ったり、参加していた子供たちと遊んだり。
楽しみにしていたパンもとても美味しくて、すっかり打ち解けた参加者のみんなで食べるパンや味噌汁は、病み上がりの身体に染み渡った。
会場になった泊まれる出版社も予想通り「泊まってみたい」と思わせるおしゃれな場所で、この出版社を経営しているご夫婦も真鶴の話をたくさんしてくれて、途端に真鶴の情報通になってしまった。
タイミングよく、この日は町全体が現代アートに包まれる「マチナーレ」というイベント期間中だった。
真鶴の町には「美の基準」という決まりがあり、町全体がこの基準にのっとった家やお店作りをしている。毎年何名かのアーティストが町の建物や自然を使った作品をいたるところに展示している。数年前から有名になった瀬戸内に直島のような場所だと感じた。

味噌作りが終わった後、ちょうどそのマチナーレのウォーキングガイドツアーがあるという。
しかも、味噌作りで一緒になった方が車で集合場所まで連れて行ってくれるという提案まで。
なんていうタイミングの良さなんだろう。
私が真鶴に来る時まで下げていた負の連鎖のネックレスは、プラスの連鎖のネックレスにものの数時間で変わってしまっていた。
おまけに、集合場所に行く前に、真鶴出版さんオススメのお肉屋さんでメンチカツを買い、ランチで食べたパン屋さんへ行ってパンまで買えた。
車がないと到底無理な移動距離だった。
集合時間ちょうどに集合場所へ着いて、ガイドさんによるアート作品や町の紹介を聞きながら町歩きを楽しんだ。
坂や階段が多い分、町から眺める景色は海や緑が見渡せてとても綺麗だった。一人だったら絶対に行かないような小道を通ったり、町の各所に点在しているアート作品をガイドさんの説明付きで見れたり。なんだかんだトータル3時間に及ぶツアーを味噌作りで一緒だったメンバーや町歩きで知り合った方々と存分に楽しんだ。きっと一人で真鶴の町歩きをしていたら知らなかったこと、行けなかったところに行けたことはすごく幸運だった。

町の人たちもとてもフレンドリーでいたるところで挨拶が飛び交い、観光客の私たちにもまるでご近所さんと話をするかのように話をしてくれた。
そりゃ、真鶴の町に移住者が増えてきているのも納得だった。
この町歩きの時には降っていた雨も止んで、私が下げていたプラスの連鎖のネックレスはより輝きを増し、身体中の細胞さえもプラス細胞に変化していた。

私の体調不良はどこへ行ったのだろう?
行く前まであれだけ行くかどうかを悩んでいたのに。
日帰りなんて物足りない、天気は雨だ、泊まりたかったとこに泊まれない。
などなど、身体中の細胞がマイナス細胞だった時の自分が今は嘘のようだ。

極めつけは、帰りに家の途中まで、知り合った参加者の方に車で送ってもらうというシンデレラストーリーものの一日になった。

確かに、天気は雨だった。泊まりたかったところにも泊まれなかった。そして日帰りの旅だった。その一方で、お味噌作りができた。泊まれる出版社へ行けたし、お目当のパンも食べれて、おまけに美味しいメンチカツや南蛮づけも食べれた。
たくさんの温かい心を持った人たちにも出会えたし、そんな人たちとお味噌を作ったり町歩きもできた。
しかも、たまたま町をあげての芸術祭の期間中で、普段美術館で見ることができない様々な趣向の作品を見れた。
日帰りであれ、雨であれ、私はすごく充実した密度の濃い1日を過ごすことができたのだ。
この真鶴での1日で感じた。
旅は期間じゃない。
その場所で、どんな人たちと出会い、どのような経験や体験をしたかだと。
そのために大事なのは、自分自身の心の姿勢だと感じた。
できないことに目を向けるのでなく、できることや与えられたことに目を向けて、出会いを大事に誠実にその出会いに関わっていく。
自分の心がポジティブであれば、たとえ日帰りであろうが雨であろうがこんなにも素敵な旅ができるのだと帰りの星空を見ながら強く感じた。
 
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2019-03-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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