メディアグランプリ

人生の時間は生き方で決まる


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記事:綿貫晶子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「あなたたちの人生は始まったばかりです」
 
年齢を3で割った数字が、人生の時間になります。15歳のあなたたちは、朝の5時。あなたたちの人生は、まだ始まったばかりなんです。
 
「ほぼ日手帳」という、1ページ1日タイプの手帳がある。毎日のページには短いストーリーが書いてあって、それはだれかがインタビューで語った言葉だったり、エッセイの一部だったりする。もう何年前か忘れたけれど、初めてこの手帳を使ったときに出会ったこのストーリーを折に触れ思い出す。
 
中学校の卒業式。卒業していく15歳の生徒たちに先生が送った言葉。年齢を時間に読み替えて、あなたたちの人生はまだ始まったばかりだから、これから何でもできるのですよ、と伝えていた。
 
その当時、自分の年齢が人生の時間でいうと何時になるのか計算したはずだが、何時だったのかは覚えていない。ただ「ということは、72歳で24時になるから、70くらいで人生を仕舞う準備をして、そのあとの時間はオマケだと思えばいいのか」と思ったことはよく覚えている。そしてそれ以降も、この数式をときどき思い出しては、自分の人生が何時になったかを確認する作業を続けていた。
 
ところが。
誰が言いだしたのか、いつから言われるようになったのか、いずれも定かではないが、「人生100年時代」と言われるようになってしまった。
これは困った。これまでの計算だと、72歳以降の人生が全部オマケということになってしまう。オマケにするには、28年はあまりにも長い。これまでの数式は合わないな……。新しい数式を考えねばなるまい。
 
まずは5で割ってみた。中学3年生15歳に、あなたたちの人生は始まったばかりなのよ、と伝えるのに、午前3時はフィットする。けれど、「年齢÷5=人生の時間」としてしまうと、24時を迎えるには120歳まで生きなければならなくなってしまう。今後ますます医療技術が進んでいくとしても、いくらなんでもこれでは人生の時間は長すぎるだろう。
 
では4で割ってみよう。15歳は3時45分。96歳で24時。人生100年時代の人生の時間の計算としては、まあ妥当なところだろう。96歳を過ぎたらそれはオマケ、ということにしよう。4年のオマケはなかなかいい塩梅であるのではないだろうか。
 
そこで考えねばならないのは、96歳までをどう過ごすか、ということになる。とにかく長いのだ。ほぼ、今までの人生分くらいを、これからもう1回しなければならない。
その間ずっと、健康でいられるだろうか。年に1度の健康診断は受けているけれど、定期的な運動もせず、食べたいものを食べたいときに食べる、という生活で、96まで健康状態良好でいられるとは思えない。
住居はどうしたらいいだろう。実家の母には昔から「あなたたちはいずれここに住めばいい、マンションなんて買うな、キャッシュを貯めておけ」と言われているが、母はまだまだ元気だ。(そしてキャッシュは貯まっていない)彼女が100年生きるとしたら、あとまだ20数年ある。では我々はいつまで賃貸暮らしを続けることになるのだろうか。
 
だいたい、仕事はいくつまで出来るのだろう。人生100年時代になるのなら、好むと好まざるとにかかわらず、働く時間も相当延びるはずだ。仕事をして収入を得る、ということをどれほど続ければいいのだろう。そもそも96歳でコロっといける保証はないのだし、一体いくらあったら人生100年時代を楽しく健康に過ごせるのだろうか。
寿命が延びることは、楽しいことばかりではない。むしろ、難儀なことの方が多そうに思う。
 
人生の時間を、自分で決められればいいのに。私の周りの多くの人が言う。自分で自分の面倒を見られる間、派手にお金を使って太く短く生きたい人。つましく暮らしてできるだけ長く生きたい人。お金がなくても豊かに暮らせる、という人もいれば、やっぱりお金がないとダメ、という人も。
 
要は、生き方を決める、ということなのだ。いくつまで生きるのか、ではなく、どう生きるのか。周囲にこんなものがあったら嬉しい、と思えるものに囲まれて過ごす。こんな自分になっていたらワクワクする、と思う自分を目指す。こんな人達に囲まれていたら幸せ、と感じる人たちに囲まれて暮らせるような身の処し方。新しい数式によれば、96までは生きることになりそうだから、そこまでの道のりを楽しむためには、今どうしたらいいのか。新しい数式でも、もう午後に入っている。旅行の予定もない今度の連休。自分の生き方を決める10日間にしてみてもいいのかもしれない。
 
 
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2019-04-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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