メディアグランプリ

人が変わる極意は、圧倒的な「量」と「時間」!~「励まし」という大雪を降らせよう


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記事:ヒラタアキ(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
「何回言えばわかるの!」「お前は本当にデキの悪い子だね!」
幼い頃、母からよく言われた言葉である。
 
大人になってから、なんとなくわかってきた。私の母は、自己否定するクセが強いのだ。自分で自分を否定しているからこそ、相手も自分を否定しているかのように感じてしまい、イライラが止まらなくなる。そして、相手のせいにして怒る。
 
怒りっぽい人、すぐにイライラしてしまう人は、多かれ少なかれ、このような特徴をもっているのではないだろうか。自分への自信のなさが、相手への攻撃性に変わるのだ。
 
今なら冷静に思えるのだが、幼い頃の私は、本気で傷ついていた。「私はダメ人間なんだ」と信じてしまった。そしてどんどん、口を閉ざすようになっていった。
 
人間とは不思議なもので、「言いなさい!」と言われると、ますます黙りたくなる生き物なのである。
 
「三つ子の魂百まで」とはよく言ったもので、「自分の話は誰にも聞いてもらえない」という信条が、いまだに消えてくれない。
 
そう、母と同じような生き方を選んでしまっているのである。
 
何かあるとすぐにイライラし、相手のせいにし、「なぜ、あなたはそうなの?」という腹立ちをずっと引きずってしまう。
 
「あぁ、あれだけ憎んでいた母と、同じことをしているんだなぁ」と、ときには自分を笑いつつも、そこから抜け出すために必死の努力を重ね続けている日々である。
 
誰に励まされても、何度も同じことを言われても、まったく変われない。また元に戻る。そんなことの繰り返し。
 
「何回言えばわかるの!」 かつての母の言葉が胸をつきさす。母は、わりと正しいことを言っていたんだなぁ……。
 
人はいったい、何回言えばわかるのだろう? どれだけの「励まし」を受ければ心が癒えるのだろう?
 
たくさんの努力を重ねてきた今、思うことがある。
 
それは、「『励まし』とは、『都会に降り積もる雪』である」ということだ。
 
都会の雪は、アスファルトに落ちた瞬間、あとかたもなく消え去る。降った瞬間から、どんどん消えていく。それを見ていると「はかない」とさえ感じるものだ。とてもじゃないけれど、何センチも積もるようには思えない。
 
しかし、朝起きてみると、衝撃的な光景に出会うことがある。あたり一面が真っ白な世界に変わっているのだ。
 
あんなにはかなく消えていった雪たちが、いつの間に、こんなにたくさん積もったのだろう?
 
そんなとき、しみじみと感じる。たとえ意味がないように思えたとしても、あきらめずに「量」と「時間」を重ねていけば、こんなにも世界は変わるものなのだ、と。
 
では、最初の雪は、本当にはかない存在だったのか? 意味もなく消えてしまっただけなのか?
 
いや、そんなことはない。実は、最初の雪がアスファルトを冷やしてくれたことによって、あとに続く雪が積もりやすくなったのだ。
 
冷えたアスファルトのうえに雪が落ちてくると、今度は消えずに、氷に変わっていく。そこへ、さらなる雪が落ちてくると、今度は氷にならずに、そのまま残っていくようになる。それが積もり積もって、真っ白な世界を創り出していく。
 
つまり最初の雪は、消えゆく存在ではありつつも、土台の環境作りという、もっとも地味でけなげな役割を果たしてくれていたのだ。
 
それと同じように、受け止める余裕がなかった頃の、人からの励ましの言葉は、あとになれば記憶にも残らない。残ってはいないけれど、大切な土台を作ってくれたことは確かである。
 
だから、これまで出会ったすべての人に、「ありがとう!」である。もう記憶の片すみにさえも残っていない、たくさんの人から受けたであろう数々の恩恵。その有り難みを感じることができれば、少しずつ、心が癒えていくのではないだろうか。
 
そして、せっかくアスファルトが冷えてきても、途中で雪がやんでしまえば積もらない。とても中途半端な状態で凍りつき、かえって危険である。
 
だからこそ、「励まし」は、「変わるまで」続けること。これが極意である。しんしんと降り続ける雪のように。
 
人の心に言葉が降り積もるまでには、圧倒的な「量」と「時間」が必要なのだ。そのことがわかれば、「ダメ人間」というレッテルを貼る必要も、貼られる必要もなくなる。
 
ただし、時間がかかるとはいっても、大雪が降れば「たったひと晩で別世界!」である。圧倒的な「量」が、「時間」を制し、人の心を制する。
 
そうだ、「あたたかな励ましの声」という大雪を降らせよう。自分の心へ。それができたら他者の心へ。
大丈夫、絶対に変われる。「量」を意識すればいい。
 
しかも、大雪が降り続けば、何センチどころか何メートルもの積雪になる。豪雪地帯のように。
続ける「時間」が、自分の姿をどんどん変えていく。
 
今、かけている「量」と「時間」は、必ず、みごとな銀世界を創り出してくれるだろう。
 
そういうわけで私は、自己否定したくなるたびに、「都会に降り積もる雪」を思い出しているのだ。
 
 
 
 
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2019-04-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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