SNSが学校の黒板の板書と同じ理由
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:ちくわ(ライティング・ゼミ GW特講)
小学校の先生をしていた私が、小学校を退職し京都の会社に入社したのは2年前。
小学校の先生が嫌だったわけではないけれど、
働いていく中で子どもたちの親である保護者の仕事への感覚と自分の仕事への感覚のズレを感じていた。
そのズレと向き合いながら働いていたある日、
先生の働き方しか知らなかった私は、先生以外の職種のお母さんがどのようなことを感じて働いているのかが知りたくなった。
会社に入ると、驚くほど世界が違い、戸惑うことも多かった。
まず、当たり前だけど、職場に子どもがいない。
後になって気づいたこと。
日々子どもと接していると、突飛押しもないことにもすぐに対応しなければならないので、
常に緊張感があると同時によく笑うので若くいれる。
正直、会社員になって老けたとさえ思った。
次に、メールを送ることが怖いと感じた。
ビジネスメールをあまり送ったことがなかった私は、
送ってしまったら訂正できないメールを作成するのが苦手だった。
今はだいぶ慣れたが、誤字脱字は先輩上司に何度も注意された。
最後に最も驚いたのは、子どものことを考えなくても1日が終わるということだった。
他の人からは、当たり前のことなのだが、新卒から小学校の先生だった私には驚き以外の何者でもなかった。
そして、思ったことはただ一つ!
お母さんするってただでさえ大変なのに、
働きながらお母さんするってめちゃくちゃスタミナ必要じゃん!
ということだった。これは、お世辞ぬきで。
「働いている時は仕事のこと、家に帰ったら子供のことを考えるお母さんってすごすぎる」と、
自分の仕事が忙しくなるにつれ感じていった。
そんなことを考えながら、仕事にも慣れてきたある日、
私は社長と面談をしたことがきっかけで、いきなりカフェの開業メンバーになった。
異動の理由は、私が設計図を読めるからと、なんとも単純な理由だったけど、
『開業メンバー』という格好いい響きに単純な私はテンションが上がった。
実際は、開業メンバーとして関わったのは、開業直前だったこともあり、
業務のほとんどは開業前の庶務だった。
しかし、この異動によって経験できたことを考えると感謝しかない。
ほどなくして、カフェはオープンしたが、京都駅から少し離れた場所に位置するということもあり、
人通りもまばらで思うようにお客さんは来なかった。
そこで、私が任されたのがInstagramやチラシを打つなどの広報活動。
私がSNSを活用していたのは、大学生の時がピーク。
TwitterやFacebookならまだしもInstagramって……。
今や時代は動画が最先端とは言いつつも
Instagramはカフェを運営していく上で最も活用すべきSNS。
ここで流行れば、いろんな方が来店してくれる。
そんな希望を胸に始めたInstagram。
元々、好奇心旺盛なこともあり、知らないことを学ぶことが大好きで、
やるとなったからにはと、徹底的に分析をした。
業務時間でなくてもInstagramをみて、
どんな人、どんなカフェのInstagramのフォロワーが多いのか?
今何が流行っているのか?
映える写真とは?
投稿した写真の何がいけないのか?
来る日も来る日もスマホを見つめていた。
そこで気づいたことは、SNSは黒板の板書と同じだということ。
学校の授業で、黒板の板書は伝えたいことが明確に伝わることが求められる。
そして、伝えたい相手に合わせ、言葉を選び、情報を整理する。
Instagramは、写真と数行の言葉で情報を伝える。
どんなにかっこよくても、カフェのイメージや商品を伝えることができない写真だと、
効果は下がる。
数行の言葉でさえも、カフェの雰囲気やターゲットを意識し言葉を選ぶ。
試行錯誤しながら、フォロワーが500人になった頃、
私の投稿に『いいね!』が150を超えるようになっていった。
フォロワーの10%以上の数の『いいね!』があれば、されるInstagram上では良い投稿とされる。
少しずつではあるが、投稿の方向性が見えてき始め、1投稿に対して増えるフォロワーの数が多くなってきた。
そんなある日、有名なインスタグラマーの方がカフェに来店した。
後日、カフェのことを投稿してもらうと、
それまで少しずつ増えていたお客さんがあっという間に増えた。
カフェなのに2時間待ちをお願いし、夜なら空いてますと、ご案内するほどだった。
しかし、それであぐらをかくと痛い目を見るのが、京都。
京都は新しい店には目がないが、一度行ってイマイチだと一生行かない。
混んでいるときこそ、丁寧に。きちんと対応する。
それと同時にどんなに忙しい時期にも、毎日授業で黒板に板書していたように
Instagramを投稿し続けた。
その甲斐もあり、Instagramのフォロワーは当初の目標だった1500人を達成し、
京都で流行に敏感な女子大生なら知っているちょっと有名なカフェとなった。
正直、カフェが流行ったきっかけは、インスタグラマーの方の力が大きい。
しかし、Instagramでフォロワーを増やすことが難しい店舗のアカウントで
その間も継続して投稿し、フォロワーを増やせたことで、ファンが定着し、
新店舗が軒並み潰れる京都で2年目を迎えられた。
しかし、Instagramはもう終わりとの声もある。
次のSNSは何が流行るのかは、わからない。
ただ、SNSの特性が変わることないだろう。
伝えたいことをわかりやすく伝えるに徹するだけだ。
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