私とパズルと友情と
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:十川蒼来(ライティング・ゼミGW特講)
正直、私には友情がどんなものか分からない。また友達も同じで、どこから友達なのかはっきりと分からない。
だって、友情に定義があるわけではないし、友達になる基準なんてない。
では、友情とは何なのだろうか。
「俺たちの友情をバカにするなよ!」
とか、
「私たち、友達でしょ?」
少し少女漫画に出てきそうなセリフだが、実際にこのようなことを耳にしたことがある。しかし、言ってしまえばそれは、脅しみたいなものではないかと思う。
なぜなら、相手は友達と思ってないかもしれない。なのに、勝手に決めつけているからだ。
私はこの春、高校生になった。中学生の時は東京に住んでいなかったから、これから始まる高校生活はよけいに心配だった。
入学式。隣の子が話しかけてくれた。嬉しくてずっと話していたら仲良くなった。
それから少し経ち、その子ともう一人の子と三人で遊びに行った。あこがれていた『放課後に遊びに行く』ということに3人で、はしゃいでいた。ついに女子高生についになれたね! などと話しながら、私の中ではこの2人とは『友達になれた』と思っていた。
遊びに行ってから何日か経ち、本格的な授業が始まる頃。私は自分の目を疑った。
朝、隣の子に挨拶をしたのにすごく素っ気ない返事をされたからだ。
(え、私なんかしたかな?!)
マイナスな思考が頭の中を駆け巡る。
とりあえずその時は、
(きっと、朝だから眠くて元気がなかっただけだ。後で話せばいつも通りになっているはず!)
と自分自身を無理やり納得させた。そうでもしないと友達がいなくなってしまうと思ったからだ。しかし、心の片隅ではこの子は私からいなくなるという直感があった。こういうところの直感が鋭いのはある意味、不幸だ。鈍感だったらもっと楽に生きられたのに。となんど考えただろう。
案の定、その子は別のグループに行ってしまった。私は
(そうか、私は友達と思ってもらえなかったんだ……)
喪失感でいっぱいだった。また、悲しみをこえて怒っていた。
家に帰り、冷静になって考えてみる。私は何で怒っているのだろうと。
答えは簡単だった。見捨てられたと感じたからだ。
私は臆病だ。1人が怖い。人から見捨てられたくない。
こう思ってしまうようになったのは小学生の時。だいたい私は余る人だった。なぜか奇数のグループによくいたから、他の二人と私、ほかの二組と私というようになる。だから他のグループで余る人と活動したり、班を組んだりした。
その時の経験もあるから慣れたと思っていた。だけど、孤独感には逆らえなかった。
友情とは『パズル』だ。
パズルはまず、どんなピースがあるのかを確認する。次にどこにそのピースがはまるか考える。そしてそこにピースをはめていくと完成する。というやり方が一般的だ。これを友情に置き換えてみる。
確認は、相手を知ること。目の前にいるその人は、どんな趣味を持っているのか、なにが好きなのかなど。
どこにピースがはまるか考えることは、自分との共通点はないかを探すこと。
ピースをはめていくのは、上の2個が合った人としかできない。でないと、パズルは一向に完成しないから。
ピ-ストピースが合ったら、それは仲良くなったという証拠だ。
そしてパズルが完成した時、お互いの結束が強くなり、本当の友情というものが芽生えるのではないかと考える。
今はまだピースを確認して、考えている時期だ。
隣の子は、自分に合うピースを見つけに行っただけではないか。自分が居やすい場所、仲間を見つけに私から離れた。そう思えば、私は近くに『自分の意志を持った素晴らしい人』がいて、そんな人と出会えた。私はラッキーな存在なのではと思う。
固い友情を作るためにはお互いを信頼しなければならない。そこまでに到達するためには、相手のことを理解し、尊重しあえる仲を2人で築いていくこと。簡単に言えば、一緒にいて楽、素の自分でいられるという関係を作ることが一番の近道だろう。
私には『この人は本当に友達だな』と思える人がいる。今は私が引っ越したため、会うことが難しくなったが、今も頻繁に連絡を取っている。そのこと居る時の私は、思っていることを素直に言うことが出来るし、ありのままの自分でいられる。この子と私の間には『友情がある』と胸を張って言える。3年かけてつくられた『友情』をこれからも築いていきたい。
これからもたくさんの人に出会う。同級生、先輩、後輩、先生。どんな形であれ、少しずつコツコツとパズルを完成させたい。
ゴールデンウィークが明けたら、勇気を出してクラスメイトに話しかけてみよう。
もしかしたら、私と似たピースを持っている人がいるかもしれない。
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