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事件は「今」起きてるんじゃない。「過去」に起きてるんだ!~人間の二大欲求を満たせ!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ヒラタアキ(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
皆さんは、インターネットの「キャッシュ機能」というものをご存知だろうか?
 
「現金」のキャッシュ(cash)ではなく、「貯蔵庫」という意味のキャッシュ(cache)である。英語で、「商品や貴重品の隠し場所」という意味があるらしい。
 
インターネットのキャッシュは、まさに貯蔵庫だ。一度見たウェブページのデータは、すべてキャッシュに保存されている。履歴を検索できるのは、この機能のおかげだ。
 
なぜキャッシュが必要なのかといえば、人間には、速く見たいという欲求があるからである。
 
ちょっと想像してみてほしい。
 
何かをやるたびに砂時計マークが数分間も表示され、いちいち待たされるという場面を。少し調べ物をするだけで数時間もかかるという状況を。
 
あなたには耐えられるだろうか?
 
のんびりして落ち着く? いやいや、きっと誰もが、もっと速いパソコンがほしいと思うはずである。
 
人間は、「待たされる」ことを本能的に嫌うものなのかもしれない。待たせることは平気でも、待たされることには大きな嫌悪感を抱く。
 
「待たされるイライラ」は、ケンカが起きる原因のトップスリーに入るだろう。
 
満員電車でトラブルが起きるとき、レストランでお客がクレームを言うとき、上司が部下を叱るとき……。たいていは、待たされた結果として怒っている。
 
「遅さ」こそが、イライラの原因なのである。
 
キャッシュによって私たちは、このイライラから解放されている。「速さ」を手に入れたのだ。
 
では、なぜキャッシュが速いのかといえば、保存してあるデータを取り出すだけでいいからだ。イチから検索しなおすという作業には、時間を要するものである。
 
これはつまり、言いかえれば次のようにも定義できる。
 
「私たちが『今』見ているウェブページは、『今』のページではない。『過去』のページだ」
 
実を言うと、人間の脳にも、きわめて似たような機能がある。
 
脳は、基本的に怠け者である。なるべくラクをしたいし、それでいて「遅さ」を嫌う。速くて簡単なことが、大好きだ。
 
速くするためには、どうするか? それこそ、キャッシュの出番である。
脳のなかにも記憶を保存しておく貯蔵庫があり、これがキャッシュとよく似ている。
 
目の前で起きている出来事に対し、貯蔵庫のなかから似たような「過去」の情報を取り出し、「過去」と同じ解釈をつけるのである。
 
だから、私たちが「今」見ているものは、「今」ではない。
「今」聞いていることも、「今」ではない。
「今」悲しんでいるのも、「今」ではない。
 
すべては「過去」の情報なのだ。
人によって感じ方が違うのは当然である。「過去」の経験が違うからだ。
 
トラウマに苦しむというのも、これで説明がつく。
「今」苦しい現実があるのではない。「過去」の情報を取り出してきて、「過去」の苦しみを、「今」味わっている。
 
「過去」を追想しているということだ。だからこそ、解決の糸口は「過去」にある。
 
私自身の体験を少々話したい。
 
私はつい最近、職場で理不尽なことが起き、とても憂うつな日々を過ごしていた。事件が起きたのは、なんと4月1日。まさに平成最後の月を、衝撃的な事件が飾ってくれた。
 
悲しい、つらい、寂しい、許せない。そんな気持ちがドカドカとあふれてきて、ついにはメンタルクリニックにまでお世話になった。
 
「なぜ、こんなことが起きたのか」「なぜ私が、こんな目にあわなければならないのか」
おさまることのない気持ち。
 
気持ちをしずめたくて、何がショックだったのかを必死で整理した。
自分の気持ちを書き出し、それはなぜ?と自問自答し、また書き出し、考えに考えた。
 
そうしてたどりついた自分の思い。それは、「私の存在を無視されて寂しい」「自分をないがしろにされて悲しい」というものだった。
 
私は、ハッとした。ドキッとした。
 
私を一番、無視していたのは私ではないのか? 私を一番、ないがしろにしていたのは私ではないのか?
 
幼い頃からずっとそうだった。
 
「私が我慢すればいいんだ」と思い、自分を無視し、自分をないがしろにしてきた。それでいて、寂しいとか悲しいとか、不満ばかりをつのらせていた。
 
目の前の現実は、「過去」の追想。その言葉が、リアルに頭の中をかけめぐる。
 
人間はなぜ、「過去」を追想するのか。
 
それは、キャッシュと同じで、速さを追求するためだ。
 
イチから解釈していたら、遅くてイライラする。速さを実現するためには、「過去」から取り出す必要があるのだ。
 
だが、実はそれだけではない。キャッシュにはなくて、人間だけがもっている大切な役割が、もうひとつある。
 
それは、「癒やし」。
 
人間は、「過去」を再び体験することによって、「過去」を癒やし、未来へ生きようとする。そのような素晴らしい機能をもっているのが、人間なのである。コンピュータには真似できないことだ。
 
そう考えると、トラウマに苦しむ理由も、「過去」にとらわれているわけではないことがわかる。「未来」を生きるために、懸命に成長しようとしているのだ。
 
だから、「過去」を癒やそう。「過去の自分」を許そう。そうすれば、新しい「未来」がひらけてくる。
 
そう、事件は「今」起きてるんじゃない。「過去」に起きてるんだ! 「過去」を癒やせ!
 
私が考える人間の二大欲求とは、「速さ」と「癒やし」である。
 
 
 
 
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2019-04-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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