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ベートーヴェンがコンテンポラリーだった時代


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:渡辺美幸(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
「コンテンポラリー」
私はこの言葉をダンスに興味を持つまで、聞いたこともありませんでした。
聞いたことはあったのかもしれませんが、一切意識したことはありませんでした。
 
何かを知るたびに、「知らない」とはそういうことなんだなと思います。
自分にとって新しいことは、誰かにとっての当たり前だったりする。
興味を持たないし、意識しないから記憶に残らない。
 
ファッションやインテリア、音楽等、実は様々な分野で使っている言葉だということを知ったのも、何を隠そうつい最近のことです。
 
ダンスを通して「コンテンポラリー」という言葉を知ったある日、ふらりとCDショップに立ち寄りました。時々足を運ぶ、クラシック音楽を専門にしているお店です。
たくさんのCDやレコードが所狭しと並べられ、お客さんは皆宝探しをするような真剣な表情で、そして楽しそうに商品を物色しています。
 
他のCDショップと同じように棚には音楽のジャンル(時代)や、作曲家でラベリングがしてあります。「J-pop」とか「ジャニーズ」とか「K-pop」とかではなく、「バロック」とか「ロマン派」とか、或いは「管弦楽」とか「室内楽」となっているわけですが。
そのラベリングの中に「コンテンポラリー」を見つけたのです。
なぜか私は「コンテンポラリーダンスのための曲?」と一瞬考えました。
が、すぐに「いやいや、音楽にもそういうジャンルがあるのか」と考え直しました。
 
こうなると気になってきます。
『コンテンポラリーとはなんぞや』
これは知らない世界を覗くための入り口に違いない。
ぜひ知りたい。
 
便利な時代です。
スマホに問いかければ、サラサラと答えが溢れ出てきます。
さすが私たちの最も身近なAI。
 
簡単に言えば、「現代的な」という意味があるようですが、業界によって少しずつニュアンスが異なるようです。
ただ、流行に乗ることとは別の、「現代的」「常識にとらわれない」「自由さ」という概念があるのだなと私は感じました。なるほど、なんかカッコイイ。
 
ああ、でも、「現代的」と評されたものも、バッハやベートーヴェンの様に、いつかは「定番」や「古典的」なんなら「古めかしい」と言われるようになっていくのだろうなと思いました。
 
クラシック好きな私は、「ベートーヴェンだって、初めて自由音楽家になった凄い作曲家なんだぞ」と悲しみとも、悔しさともつかない複雑な感情とともにそんなことを思いました。
誰も馬鹿になんてしてないのに。
実際、「常識に捕らわれない発想」から生まれたものが、「当たり前」の物になるということは、時代や人が求めるものを的確に汲むことができたからでしょう。
 
例えば、ベートーヴェンはそれまでは被ることが当たり前だったカツラを脱ぎました。
当時は衛生面の問題もあったのでしょうが、カツラは正装の一部だったようです。
それを脱いだ。今、カツラを義務付けられることなんて殆どありませんが、当時は「失礼な奴だな」とか思われたのかもしれません。
でも、これって「クールビズ」に少し似てるなと思いました。
ノーネクタイで仕事? 相手に敬意を払ってないんじゃないか? 失礼になるのでは?
導入当初、ネガティブな意見も聞かれたように思いますが、今では夏の代名詞のようになったなと思います。
 
例えば、楽譜の出版。
何かしらの楽器をされる方は心当たりがあるかもしれませんが、この曲自分でも弾いてみたいなと思った時、書店や楽器店で簡単に楽譜を手に入れることができます。
今はネット配信もありますし、コンビニで購入・プリントアウトすることもできるようになりました。
 
しかしこれも、ベートーヴェンが活躍した時代では画期的なことでした。
楽譜の出版が一切無かったわけではありませんが、非常に稀なことでした。
「作品」として売るために、作曲したものに自ら「作品番号」と呼ばれる番号を付け(これも業界初)販売し、収入へとつなげました。
 
ご存知の通り非常に多くの作品を残しましたが、これらの作品もそれまでの作曲技法を踏襲しながら、拡大・発展させ独自の作風を確立したという点でも、先進的な作曲家でした。
 
ベートーヴェンも今や教科書の人。
有名なエピソードなら、耳が聞こえなくても作曲を続けたということでしょうか。
凄い人だったんだなとは思っても、浮かんでくるのはあの肖像画の怖い顔。
これは余談ですが、あの怖い顔の理由は「ごはんが美味しくなかったから」と言われていると知ったら、どう感じますか?
少し身近に感じるか、そんなことで怒らないでよと思うか……
 
若い頃の肖像画はあまり有名ではありませんが、ちょっとかわいい顔をしてるなと、私なんかは思うのですが。
 
エピソードは他にもたくさんありますが、ベートーヴェンという名前から今は当たり前になったシステムを初めて導入した人というイメージはなかなか持てませんが、彼がコンテンポラリー(言葉自体は無くても)と認識されていた時代は確かにあるのです。
 
今、「自由だな」とか「斬新だな」と思われているものも、いつかは「そんなの当たり前じゃない」と言われる日が来るのかもしれません。
 
クールビズの様に。
 
 
 
 
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2019-04-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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