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よく「借りパク」される私が「借りパク」問題について考えてみた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ちなみ(ライティング・ゼミGW特講)
 
 
飲み会、女子会、ランチ会。
こういった集まりでは、お互いの近況や恋愛話に加えて「今ハマっていること」について語り合うことが多い。
 
「最近、趣味でピアノ習ってるの」
「ダイエットでランニング始めたんだ」
「今、バスケの社会人サークルに入ってて」
 
話題の中心になるのは、もっぱら変化のある人だ。
しかし特に変化がなくても、本好きな私は、最近読んだ本についてなら語れる。
 
「この小説、面白かったよ。主人公がいいキャラでさ」
「この本読んで、考え方が180度変わったんだよね」
「こないだのananのSEX特集買ってみたんだけど」
 
自分の好きな本、面白かった本についてなら、いくらでも語れる。
心が揺さぶられた本について語っているわけだから、相手も興味を持って当然だ。
 
「へえ〜、面白そう! 今度貸してくれない?」
 
自分が勧めた本を「貸して」と言われて、貸さないはずがない。
この面白さを知ってほしい。この感動を共有したい。
そう思うわけで、「貸して」と言われて嫌な気分にもならない。むしろ嬉しい。
大体この流れで本を貸すことが多い。
 
「ありがとう! 読んだらすぐ返すね」
こうして貸し借りが成立するものの、問題はそのあとだ。
 
貸した本が返ってこない。
それも、長いこと返ってこない。
最長で3年以上経っている気がするが、もはや記憶にないレベルで返ってこない。
 
いわゆる「借りパク」というものだ。
「借り」たものをそのまま「パク」り、自分の所有物にしてしまう。
本に限らず、誰でも一度は「借りパク」された経験があるのではないだろうか。
 
「借りパク」する人の特徴として、私の経験上、3つに分類される。
1、本気で忘れている
2、忘れてはいないが、返すときに荷物になるので結局持っていかない
3、返す気がない
 
1と2は本を読み終わっているが返さないパターン、3は読み終わっている人もいればまだ読んでいない人もいる。
 
しかし、分類しておいて申し訳ないが、「借りパク」する人の9割は3に当てはまると思っている。
 
つまり、返す気がない。
 
なぜだ?
人にものを借りておいて、なぜ返す気がないのだ?
私には理解不能である。
 
貸している側としては、それがどうでもいい本、つまらない本ならまだしも、人にお勧めするだけの本なわけで、どうでもいいわけがない。
程度の差こそあれ、思い入れのある本であったり、定期的に読みたいと思う本であったり、これからも大切にしたいお気に入りの本であったりする。
 
それを貸しているというのに、返す気がないとはどういうことだ。
 
しかし、そんな気持ちを面と向かって相手に言う勇気はない。
心の中では「いつまで借りてるんだ」とか「早く返してほしい」とか思っているのだが、直接相手に言うことはできない。
多分、言える人は「借りパク」に悩んでいない。
悩む人はたいてい、小心者だ。
 
そう、「借りパク」の問題、それは「返して」と言えない自分自身にある。
 
自分が面白いと思って気に入って買った大好きな本なのに、それを手放したままでいる。取り戻す努力をしていない。言ってみれば、「ちょっと電話させて」と言われ自分の携帯を貸したはいいものの、ずっとそのまま放置している。携帯を誰かに預けたまま平気でいるというのは、正気の沙汰じゃない。携帯を例にするのは少し言い過ぎかもしれないが、どちらにせよ取り戻さない本人に責任がある。
 
いや、「返して」と伝えている人もなかにはいるかもしれない。
何度も伝えているにも関わらず、返してくれないのだ、という人もいるかもしれない。
 
ではちょっと遡って、貸したときのことを思い出してほしい。
本を貸すとき、返してもらう前提で貸していただろうか?
 
本気で返してほしいと思っているなら、貸す段階で相手にその旨を伝えているはずである。例えば、期限をつける。
「来月知り合いに貸す約束をしているから、それまでに返してくれる?」
嘘でもいい。本気でその本を返してほしいなら、貸す段階で相手に少なからずプレッシャーを与えなければならない。
 
さらにいえば、本当に「貸して」と言われて貸しただろうか?
「これ面白いから! 絶対読んで!」
そう言って半ば強引に貸しつけてはいなかっただろうか。
本気でその本を手元に置いておきたい、と思うならまず貸さないはずである。
自分が貸さなくたって、図書館で借りてもいいわけだし、その人が買ったっていいわけだ。
 
つまり、貸した時点で自分自身も「借りパク」の共犯者なのだ。
「貸して」と言われて貸したはいいものの、特に期限もつけず、挙げ句の果ては「返して」と言えない。
ってそれ、いってみれば自分のマネジメント不足じゃないか。
 
とはいっても、面白かった本は少し強引にでも読んでほしいし、貸したい。
でもやっぱり「返して」とは言えない。
「借りパク」される人の性(さが)である。
 
だから私は、「借りパク」される人の代表として、ここで声を大にして言う。
 
「貸した本返して〜!」
 
 
 
 
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2019-05-03 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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