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天狼院書店のライティング・ゼミを受講してはいけない


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【6月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

 
記事:中野アンリ(ライティング・ゼミGW特講コース)
 
 
受講を検討している人に、言っておきたいことがある。天狼院書店のライティング・ゼミは、受けない方がいい。特にGW特講なんて選ぶもんじゃない。
 
実際に受講してみた私の感想だが、ライティング・ゼミは、とにかくきつい。2000文字の文章を10回書くことが必須課題になる。受講生の中には、プロのライターや小説家もいるらしい。でも、こちらはズブの素人だ。2000文字どころか、そもそも自分で書いた文章が何文字かなんて考えたこともない。低い志で参加してしまったものだと思う。
 
そんなこちらの素性や実力はお構いなしに、講師からは全員一斉に書き始めの指示が出る。締め切り時間を気にしながら、わからないなりにとにかく書いてみる。右往左往しながら書くので時間がかかる。時間に追われるのはくたびれる。
 
締め切りの後、講師からのフィードバックが来る。あっさりと、一言。核心をついているから、ぐうの音も出ない。凹む。回復に時間がかかる自分に年齢を感じてさらに凹む。
 
4回目あたりから、ネタがなくなってくる。締め切りは毎日あるのに、時間ばかりが過ぎる。焦る。朝から何書くかばかり考える。暗くなるのが怖い。ため息ばかり出る。時間ギリギリになってしまって、よしこうなったら仕方がない、と勢いで書く。案の定、ばっさり一言で斬られる。どうして見ていないのに、指定の手順をきちんと踏んでいないってわかったんだろう。気分は低空飛行のまま、また次の締め切りが迫る。「次回のチャレンジをお待ちしています」の講師コメントに背中を押され、締め付けられる胃をさすりながら、また書く。
 
これならどうだ! と温めておいた秘蔵ネタに加え、教わったばかりの「極意」を早速使って勝負してみる。愛情が暑すぎる、とまたバッサリ。自分の書きたいことほど、受け入れてもらえない。思いを入れて書いた分、グサッと傷つく。沸々と憤りも出てくる。こんなことなら止めとけばよかった。一体何のためにこんなこと始めたんだっけ。
 
そこで思い出した。私は自分を変えたかったのだ。だからGWを全部、書くことで自分と向き合うことに決めたのだった。
 
冷静に読み返してみると、私の書いた文章は、体調が悪く食欲のない人に、豚の角煮を出すようなものだった。相手の望んでいることを全く見ようとしていない。もしかしたら自分は今までずっと、そうやってボタンを掛け違えたまま生きてきたのかもしれない。恥ずかしさでいっぱいになった。
 
短期集中型のGW特講は、宿題がたんまり残った夏休み最終日にカルピスの原液を一気飲みをするような毎日だ。通常4カ月のコースを10日間に濃縮しているため、毎日やってくる締め切りのプレッシャーに憂鬱になる。飽きっぽい自分に合ってる、なんてうかつにこのコースを選んでしまった自分を呪った。同時に、読んで即時に申し込みを決めてしまった、このゼミの告知文の腹立たしいほど高度な技術にも。こんな魅力的な文章が書ける人たちに、自分の文章を見てもらえるのはとても貴重でありがたい。けど、お金をいただくならまだしも、お金を払ってまでこんなにしんどい思いをする必要はないんじゃないか。
そう思いながら、また書いた。
 
この10日間で、果たして私に文章力が付いたのかどうかは、正直なところ、よく分からない。ただ、書き続ける中でわかったことがある。書くことはテレアポと同じということだ。最初は断られて当たり前。でも、わかっていてもやっぱり自信は揺らぐ。度重なると動けなくなる。それでもとにかく動き続けると、心に耐性ができてくる。断られても「ハイ次!」と、余分なエネルギーや体力を奪われず、次の書く作業に割り当てることができるようになる。それは駄作であっても9回書き続けたことで身に付いた力だ。
 
そうやって、ひたすら「書く」という実験を続け、結果から新たな仮説を立て、また書くことを繰り返しているうちに、あんなに探すのに苦労したネタを時間をあまりかけずに見つけられるようになってきた。遠かった2000文字も、楽しみながら埋めることができるようになった。自分の陥りやすい癖や、最初の設定が一番大切な軸だということも、おぼろげながらわかってきた。今では最大3000文字の制限にどう納めるかを悩むほどだが、そういう時には、言葉数が無駄に多いだけで、本当に言いたいことからずれているかもしれないという自戒の目で、自分の文章を振り返ってみることができるようにもなった。
 
そして、改めて見回してみると、ゼミで教えてもらった伝えるための「極意」が、業種や媒体を問わず、至る所に張り巡らされていることに次々と気がつく。書籍を筆頭に、雑誌、テレビCM、ブログ、告知文。マンガだってそうだ。作り手の伝えたいという熱意や工夫が、ページの向こうに透けて見えてきてしまうのだ。職業として成り立っているかどうかは別として、これはもう立派な職業病と言えるだろう。以前のようにパラパラめくってみても、マンガも雑誌も、残念ながらもはやお手軽な気分転換にはなってくれそうにない。
 
ライティング・ゼミはスマートフォンだ。
一度手にしてしまったら、もうガラケーには戻れない。
 
ガラケーのままでも、なにも問題なく生きていける。
悪いことは言わない。ライティング・ゼミには、行かない方がいい。

 
 
 
 
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2019-05-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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