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学校は行かなくちゃダメ?


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:齋藤香織((ライティング・ゼミGW特講コース)
 
 
息子がなぜそんなに学校が嫌なのか、わからなかった。
担任の先生はなにかあれば母親である私にすぐに連絡をくれていたし、友達からいじめられているわけでもない。
それでも、先生もクラスメイトもとにかく嫌だと言う。どんなところが嫌なのかと聞いてもよくわからない答えが返ってくる。
言葉で伝えることが上手ではないことはわかっていた。だからこそ、少ない言葉からなんとか組みとろうと必死に考えた。でもわからなかった。
それでも、中学校は卒業した。義務教育だから、出席日数は関係ない。問題は高校にあがってからだ。高校は教科ごとに出席日数が足りなければ進級に影響が出てくる。そのことは息子も重々承知していたようだ。中3の1学期は休んだ日も多かったが、後半は頑張って行った。2学期はいつものごとく、最初1週間は行けなかった。それでも期末試験は内部進学の決定がかかっていたこともあり、かなり頑張った。内部進学が決まった。ホッとするのもつかの間、3学期は全く勉強もせず、学校も度々休んだ。私の怒りは爆発した。「なぜ、そんなに勉強しないの!?」「勉強しなくてもいいからちゃんと学校に行ったらどうなの!」私の口からとめどなく文句が出てきた。そんな文句を聞いて、「そういうこと言うからもっと行けなくなるんだよ! 内部進学が決まったんだからもういいだろう!」と返ってくる。はーっ? 意味がわからない。人のせいにするにもほどがある。本気でそう思っていた。私だって学校が大好きだったわけではなかった。行きたくない時だってあった。でも私は行っていた。なぜ、息子は行けないんだ。甘えているとしか思えなかった。
息子は小学校6年生の時から学校に行けないことが多くなった。いじめられているクラスメイトの仲裁に入ったことで矛先が息子に向いた。しばらく頑張って行っていたが、ほどなくスクールカウンセラーの先生のいる部屋に通うことになる。親身になって息子を見守ってくれた。今でも感謝している。でも、息子の学校嫌いは治らなかった。故合って中学1年生の3学期に今の中高一貫校に転入学した。担任の先生もクラスメイトもあたたかく迎えてくれた。ホッとした。これで少しは学校を好きになってくれる。そう思っていた。
高校にあがった4月、入学式の次の日からまた学校に行かない。半ば呆れていた。こんなんじゃこの先、生きていけない。どうしたらいいんだろう? どうしたら学校に行くのだろうか……。私の子育ては行き詰っていた。これまでの育て方が間違っていたんだろうか。いや、そうに違いない。なんてひどい母親なんだ。自分を責めた。しかし、学校に行けない、勉強しない息子を許すことが出来なかった。
そんな折、私はあるセミナーに参加することを決めた。自分を変えたかった。自分が何をやりたいのかを見つけたかった。
初日、参加者の自己紹介が始まった。私は息子が不登校であることを話した。そこに集ったメンバーの中に過去に同様の悩みがあった方がいた。その息子さん、今では不登校から立ち直り、自ら志願して海外の高校に通っているそうだ。息子のことで悩む母親は多い。父親が娘を案じるのと同じだ。
しかし、そこで主催者の方に投げかけられた質問が私の気持ちを大きく動かすことになる。
 
「学校って、行かなくちゃダメですか?」
「……」
答えられなかった。
次の瞬間、私の悩みは一気に解決してしまった。
「学校、行かなくてもいいよ」
帰るなり、息子に言ってみた。キョトンとしていた。
当たり前だ。今まで、学校行け! 勉強しろ! と言っていた母親が、真反対のことを言っているのだから。
今、盛んに叫ばれている、「多様性を受け入れる」ということ。
正直、簡単ではない。私だって、息子の学校嫌いを受け入れるのに4年かかったのだから。
先日、保健師をしておられる方と話す機会があった。
「不登校の子はとっても多い。でも私、思うの。その子たちって自分を持っているのよね。何を言われても流されないのよ」
「みんな、今は立派に社会人やってるわよ」
恥ずかしくなった。私は息子の何を見ていたのだろう。
この大型連休中、息子と海外の学校を見てみようとアレコレ、資料を探している。海外なんてと言っていた息子も結構乗り気である。私は息子の不登校をきっかけに北欧の「分けない教育」に興味を持って以前から情報を集めていた。「分けない」って難しい。それでもやっている国が確実にある。口を開けば口論ばかりの母と息子が今はワクワクしながら、将来の学校生活の話しをしている。もちろん、強要をするつもりはない。
「あなたはどうしたいの?」
この問いかけが、口癖になる母親でいたい。

 
 
 
 
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2019-05-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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