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私、意識高い系ですが何か?


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:松波 利幸((ライティング・ゼミGW特講コース)
 
 
「こんにちはっ!」

 
歯切れのいいハキハキとした声が響いた。
外見からすると、彼の年齢は20代前半だろう。新卒、あるいは2年目くらいだろうか。
背丈も低く、どこか緊張しているのが伝わってきた。

 
その前日、私は一本の営業電話を受けていた。
一日に何本もの営業電話を受けるが、もちろん基本的にはお断りだ。ほとんどの営業電話は数秒で終わらせたいのが正直なところだ。
ところが困ったことに、私は営業電話に弱い。とても弱い……。
断りはするが、しつこくされるとついつい話を聞いてしまう。
「ご挨拶だけでも……」 なかなか引き下がらないその電話に私は負けた。
「正直、かなり忙しいのだが……」 そう思いながらも、翌日に電話の主と会うこととなった。

 
そこでやってきたのが、その若手営業マンというわけだ。

 
「面倒だな。すぐに終わらせよう」 失礼ながら最初はそう思っていた。
だが、私は彼にすぐに好感をいだいた。
彼は身なりや持ち物にものすごく気を遣っていた。
鞄から取り出したノートはモレスキン、ボールペンはモンブランであった。
靴はピカピカに磨いてあり、スーツもジャストサイズだ。
彼は、私の言うことも一生懸命にメモを取っていた。
そんな姿がとても微笑ましかった。

 
実を言うと、私も彼と同じだった。
若手の頃は、「若くて頼りない」と思われるのが嫌だった。
だから、服装から持ち物までそれなりのブランド物を身に着けていた。
ビジネスシーンでの振る舞いなんかも本を読んだり、セミナーに参加したりして実践を試みていたものだ。
所謂「意識高い系」というやつだろうか。

 
私は彼に過去の自分を投影したのだと思う。
「きっと彼も意識高い系なんだろうな」
彼とお別れした後にそんなことを考えていた。

 
が、同時に少し違和感を感じた。
今、自分は「意識高い系」という言葉を文字通りのポジティブなニュアンスで使用したが、どうも「意識高い系」と聞くとネガティブな印象がある。
「いしきたかいけい」……言葉の響きもどことなく嘲笑されているような感じがする。
必ずと言っていいほど語尾には、(笑)や「ww」などのニュアンスが付いている。

 

私はインターネットでその意味を調べてみた。
どうも「意識高い系」というのは、意識が高い発言をするが中身が伴っていない人のことを指すらしい。
要は「口だけの人」だ。
例えば、難しいビジネスカタカナ語を理解もしていないのに頻繁に使う人などが意識高い系の「イタい人たち」として揶揄される。

 
少し驚きであった。
正直、ここまでネガディヴなワードだとは思っていなかったからだ。
考えてみれば、この「意識高い系」という言葉は誤解して使っている人が多いのではないだろうか。
新しいことを学ぶためセミナーに通ったりなど、口だけではなく、行動に移している人たちまでもが「うわ、意識高い系だねww」 と馬鹿にされる
 
困ったものだ……。

 
なぜ、本当に意識が高く、努力している人々までもが(ネガティブな意味での)「意識高い系」のレッテルを貼られなければならないのだろうか。

 思えば、意識が高い人を馬鹿にする風潮は昔からあるように感じられる。
勉強熱心な人。運動会などの行事にもしっかり取り組む人。
そんな人たちが、「アイツ、なに頑張っちゃってるのww」「無駄な努力しちゃってww」
と嘲笑の対象となる。
そんな場面を何度か見てきた。
 
そんな風潮のせいだろうか、私には頑張っていることを隠す傾向にあった。
本当は一生懸命やりたいけど、わざと人前では少しダルそうにする……。
そんな経験がある人もいるのではないだろうか。
はっきり言って、苦痛であり、ストレスでしかない。

 
振り返ってみれば、頑張らないフリをして得したことなど一度もない。
むしろ本当にやる気がないと勘違いされて、状況を悪化させてしまった記憶ばかりである。
 
だが、そんな頑張るフリを私が辞めたのは、上司の一言である。
とあるプロジェクトに取り組んでいたときのこと。
私は、例にもれず、やる気を見せるのがどことなく恥ずかしくて、冷静かつ平然と仕事をこなしているように見せていた。
しっかりとやることやっていれば頑張ってることは理解してくれるだろうと思っていた。
ところが、上司の目にはやる気がないように映ってしまっていた。
そのプロジェクトに問題が生じた際、「やる気ないだろ!」 と叱責を受けてしまったのだ。
そうなってからようやく私は誤解を解こうとこれまでの取り組みをアピールした。

 

「あのさ、頑張ってることはちゃんとアピールしてくれないと分からないよ。
頑張ってること察してね、なんて子供の思考だよ」

 
上司の言葉だ。
目が覚めたような気がした。
皆が皆、他人に興味を持ってくれているわけではない。意識高く励んでいることは、自ら外部に発信しないと分からないのだ。

 
だから、私はもう頑張らないフリは卒業しようと決めた。

 
意識高く頑張っていることは堂々と主張してやればいいと思う。
「意識高い系」という言葉が、ネガティヴな意味でなく、言葉通りのポジティヴな意味で使われるよう変えていきたいと思う。
口だけでなく、行動で示し、その一翼を担いたいと思う。

 
「GW何してたの?」
そう聞かれれば、スキルアップのためライティング・ゼミに行っていた、と隠すことなく堂々と答えようと思う。

 
もし、それを馬鹿にしてくる輩がいるのであれば、言ってやろう。

 
「私、意識高い系ですから」

 
 
 
 
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2019-05-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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