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《High Tech High》 ハイテクハイ ~答えのない学校~


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:倉田麻理 ((ライティング・ゼミGW特講コース)
 
 
カリフォルニア州サンディエゴに
2000年に設立されたHigh Tech High (以下ハイテクハイ)
という課題解決型学習Project Based Learning (以下PBL)
を基本とした学校がある。
 
この学校を舞台にしたドキュメンタリー映画
「Most Likely To Succeed」(成功に近い教育とは)を
先日、鑑賞する機会に恵まれた。
これは自主制作映画のため映画館では上映されない。

 
知り合いがこの映像を買い取り上映会を開くと聞いて
どうしても参加したく電車で約3時間の小旅行に出かけた。

 
それまでハイテクハイのことを知っていたわけでもなく
聞いたこともなかった。
ただ2年前から様々な学びの中で人間が生きていく上で教育の力は
果てしなく人間形成に影響すると感じていて、この映画をどうしても
観てみたかった。とても興味があった。

 
大学を出ていない、人生の大半を感性で生きてきた私が
教育というものに関心をもつとは夢にも思わなかった。
それも子供も社会人になり、子育てもひと段落した今なぜ教育なのだろう。

 
勉強は嫌いではなかったけれど他のことに興味もあり困らない程度に
出来ればいいという感じで学生時代を過ごした。
一度だけ担任の先生に『大学に行きたい』と言ったけど
そのままになった。きっと私自身が本気ではなかったんだろうな。
あの時、背中を押してもらっていたら……と思ったときもある。
誰と関わるかで人生は大きく変わる。
それが子供の頃なら、更に影響は大きいと自分の人生を
振り返ることで感じていたからなのかもしれない。
ハイテクハイは、特別な許可を得た公立のチャータースクールで
低所得層の子供が5割を占める。
テスト準備のための授業がないのに
州の標準テストの成績は平均を上回り大学進学率も98%と高いのも特徴だ。
裕福な地区ではない公立の高校でPBL中心の授業で州の平均点よりも
カリフォルニア州の裕福な地区ではない公立の高校で
PBL学習中心の授業を行い州の平均点よりも標準テストの成績も
良くなるのはなぜか。

 

『単に情報を話すだけだと、人間は多くを忘れる。』といわれ
何かを具体的に示せばいくらは覚える。
だが、プロジェクトに巻き込んで体験をすると人間は理解するものだ。
体験に勝る学びはないと自分の経験から強く思う。

 
PBL学習の究極の目的は、
【学び方を学び生涯にわたって学ぶ人間を育てること】
だという。
【フレームワーク】
を学ぶことがより重要なのだという。
問題に直面し常に考え失敗もしながら解決法を見出していく。
自律心を育てるものだ。

 
実は日本にも今この教育法に近いものが取り入れられている学校がある。
東京都千代田区にある麹町中学校だ。
この中学の校長先生は
『学校の当たり前をやめてみた』
という本の著者でもある工藤勇一さんだ。

 
文科省のルールの中でも校長に与えられた権限をフルに活用して
・固定担任制の廃止『全員担任制』
・テスト全廃『単元テストのみ』
・宿題全廃
・体育祭、文化祭は生徒が「ツアー企画」現地取材する形式
・教員を公募

 
などなど目的と手段を見直し、学校をリ・デザインするとの
思いで5年前から学校作りされているそうだ。
とても素晴らしい取り組みだと思う。
本来教育とは『社会の中でよりよく生きていけるようにする』ために
あるべきで子供たちは『自ら考え、自ら判断し、自ら決定し、自ら行動する資質』
すなわち自律する力を見につけさせていく必要があると思う。

 
しかし少子化で大切に手厚く育てられた子供たちは自ら考え、
判断、決定、行動できず「自律」できないまま大人になっていくのだ。
 
そうすると大人になってからも、何か壁にぶつかると
「会社が悪い」「国が悪い』
と誰かの意せいにするようになる。
自分の人生に自分で責任をもたなくなる。

 
将来に夢や希望を持てなくなり自暴自棄になる若者たち。
覚えること、記憶することを基本にした教育では
立ち行かなくなっている現実。
創造性や自主性を育てず「自律」するための教育をしてこなかった事で
様々なところでひずみがでてきているのではないだろうか。

 
ハイテクハイや麹町中学のように【こたえのない学校】が
全国に増えて『学び方を学び、生涯にわたって学ぶ人間を育てる』
教育で大人も子供も幸福度が増すような
未来に希望しかない世の中にしていきたい。

 

何かを変えるには、物凄いエネルギーと覚悟がいる。
だけれども私も工藤校長のように
自分や社会において「当たり前」をやめる勇気を持って未来に進んでいきたい。

 
 
 
 
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2019-05-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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