劣化も怖いし、会うのも怖いけれど
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:風香(ライティング・ゼミ火曜コース)
「最近友達が自殺しちゃってさ。
10月に一緒に韓国旅行に行ったばっかりだったんだよ……凄くショックだった。
だから、今日は貴女に会いに来たの」
久しぶりに中学生の頃の同級生A子に会った。
5年位前にFacebookで繋がったのだが、住んでいる場所が北九州市と福岡市で片道2時間位離れているせいもあり会えずにいた。
お互い誕生日には「近いうちに会いたいね!」と、メッセージを送り合うのだが、その言葉が毎年恒例の挨拶みたいになっていた。
しかし、急に連絡が来て、私の住む北九州市まで会いに来てくれた。
そこでA子の口からショッキングな「友達が亡くなった」話を聞いた。
その友達も50歳。
とても美しく華やかな人だったらしい。
バツイチで2年前に再婚したばかりで、幸せそうだったのに……と涙ぐんで話してくれた。
夫婦関係が上手くいかなかったのか?
人生について悩んでいたのか?
何が上手くいっていなかったのか?
そんな話も聞く事なく亡くなってしまったらしい。
なんとなく揺らぐ50歳という年齢。
自分から命を断ちたくなる気持ちが、同じ年齢の私には少しわかる気がした。
50歳にもなると、若い頃から知っている友人の死を何度か経験した。
しばらく連絡を取っていないうちに亡くなっていて、その連絡が届いてから後悔をする。
心にぽかんと穴が空いた様な……そんな感じになる。
「いつでも会えると思っていたのに……」
「生きているうちにもう一度会っておきたかったな」
そんな気持ちをずっと引きずって生きている。
A子もきっとそんな気持ちで、私が死んでしまう前に一度会っておこうと思ってくれたのだろう。
私達の年齢になると大概、仕事と家庭の二足のわらじを履いて生きている人が殆どだ。
そんな日常生活に追われているとA子と私の関係の様に「近いうちに会いたいね」と、言いながらずっと会えないままの友達が何人かいる。
学生時代に同じ夢を追っていた友達でも、どちらかが出世して金持ちに、一方が開花せずまま貧乏な生活を送っていたら、生活環境、レベルが合わなくなってくると会わなくなってしまう。
そんな極端な場合で無くて、いつでも会える距離に居ても、特別な急用でも無い限り、現実の生活優先で次第に会わなくなってしまう。
そして、会いたいけれど、会ってない時間が長く積み重なっていくと、会うのにも勇気が必要になってくる。
あまりにも変わってしまって相手をがっかりさせたり、逆に相手にがっかりしたりするのではないかな? と思うのだ。
同じ位の年齢の職場の同僚などを見ていても、50歳を超えた頃からの変化が顕著に現れていて鏡を見ている様な複雑な気持ちになる。
20代の頃は、若さいっぱいで、その若さが永遠の様な気持ちで生きていた。
30代の頃は、若さばかりではない、知性や人生経験から深みを増し、人生で一番美しい頃だったと思う。
40代の頃は、多少の陰りはあったが、自分らしく、まだまだ元気に色々頑張ろう! という気力に溢れていた。
しかし50代になると、頑張ろうとしても無理がきかない身体と、人生において一発逆転なんてもう起こせない年齢だとわかってしまったし、これから迎える老後も不安になってくる。
さらに、女性ホルモンの分泌が激減することでバランスが崩れ、心身にさまざまな不調があらわれる更年期障害になり強い打撃を受けた。
外見的にも、その人の人生を物語っていると言われる顔はシワやシミが出来てくるし、昔と同量を食べても新陳代謝が悪くなり太ってしまうようになった身体とか……もうどうしようもない。
認めたくないのだが、よっぽどお金をかけない限り、もれなく……確実に劣化してくるのだ。
私も50歳近くなった頃から感じ始めて芽生えた気持ちだから、まだ若い方は、きっとこんな気持ちは信じられないかもしれないけれど、本当に急に危機感を感じるのだ。
美しく老いていくなんて……芸能界とかお金持ちだけだ。
普通の生活をして生きている庶民には、絶対無理。
私も、A子の言葉に刺激を受けたのだろう。
「今のうちに会っておかないと……」
今ほどそう強く思う事は、かつてなかった様に感じる。
少しでも若かりし日の面影を留めているうちに会って「変わってないね」と、言い合いたいのだ。
だって、その先また何年も……もしかしたら何十年、いや、もしくは……死ぬまで?
会えないかもしれないから……。
久しく会っていない友達に、
「会おうよ」って、メッセージを送ってみよう。
今の私を心に焼き付けて、覚えておいて欲しいのだ。
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