メディアグランプリ

人生の3分の1をデートにする考え方


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:横山信弘(ライティング・ゼミ火曜日コース)
 
 
「私の趣味は、寝ることです!」
 
あるとき、部下に「趣味は何なの?」と質問しました。部下は25歳の女性です。そうしたら、元気よくこう答えたのです。「映画鑑賞です」「テニスです」「Jリーグ観戦です」といった、ありきたりの答えを予想していた私は、少しばかり戸惑いました。
 
「趣味が寝ることだなんて、他に趣味はないんだろうか」
 
とっさに、私はそう思ったのですが、この考え方がのちに、間違っていたことを思い知ります。
 
私は6月の誕生日で50歳になります。
 
これからも常に元気でエネルギッシュでありたいと思い、今年は徹底して健康に気を遣っていこうと決心しています。
 
健康管理の切り口は「食事」「運動」「睡眠」の3つ。
 
まず最初に取り組んだのが「運動」でした。40歳のころから、妻とウォーキングをはじめ、今では走ることが好きな仲間たちと「ランニングクラブ」を結成するまでになりました。
 
「食事」は、かなり制限しているつもりです。毎日のように自分で弁当を作り、外食を控えています。夜の飲み会も、必要最低限に抑えています。
 
課題は残っていますが、「食事」に関しても及第点だと受け止めています。
 
残るは「睡眠」。私にとって、いちばんの課題は「睡眠」です。
 
毎日、早く寝るぐらいなら、仕事をしたほうがいいし、ストレスがたまっているときなどは、夜更かししてでも海外ドラマを観たい。私はそんな風に思ってしまっています。
 
「寝ること」=「今日一日を終わりにすること」だと思い込んでいるからでしょう。
 
そのせいか、いつも目覚めがよくありません。睡眠の質が悪く、夜中にしょっちゅう起きますし、日中は眠いことが多い。「食事」や「運動」と違って、できることが限られているせいか、なかなか「睡眠」は改善されません。
 
前述した部下に、
 
「そんなに寝るのが好きなの?」
 
と聞くと、
 
「好きです!」
 
と満面な笑みを浮かべて言います。いつも元気で、エネルギッシュな部下ですが、このときの「好きです!」と言ったときの声の大きさは、これまで耳にしたことがないぐらいの大きさでした。
 
どうしてそんなに目をキラキラさせて言えるんだろう。何か理由でもあるのかと思い、ある日、聞いてみることにしました。すると、その理由がとても理にかなっていたのです。
 
「ある自己啓発の本に書いてあったんです。人生の3分の1は寝ているんだから、睡眠をかけがえのない道楽にしようって」
 
「かけがえのない道楽? 睡眠を?」
 
なかば呆れた調子で言ったのですが、部下は真剣な表情で「そうですよ」と言い返してきます。
 
「私は寝る前に、『今日も睡眠さんとデートだ。とても楽しみ』と思うようにしています」
 
それを聞いて、私は何も言えなくなりました。
 
「最初のうちは、自分に言い聞かせてやってたんですが、いつの間にかすごく楽しみになって、デートに遅れないよう、毎日のスケジュール調整を考えるようになりました」
 
なんと彼女は、夜10時からの睡眠時間を確保するために、その日のスケジュールを調整するのだと言います。快眠のためには、3時間前には夕食を終えるほうがいいし、1時間前には入浴も済ませておいたほうがいい。
 
そのように逆算して考えると、残業も多くできません。
 
「だから君の仕事はいつも速いのか」
 
睡眠さんとのデートに遅れないために、毎日逆算して日常を送っている部下は、仕事のスピードも速い。日中の集中力が高いからでもあるだろう。毎日睡眠の量も質も確保されているからこそだ。
 
「1日のスケジュールの中に、はじめから睡眠時間を確保している」
 
「大切な人とのデートです。遅刻なんかしたら、もう私とデートしてくれないかもしれません。そんなこと、絶対に嫌です!」
 
部下の言葉の調子に圧倒されてしまいました。そして「そんなに寝るのが好きなの?」と聞いて「好きです!」と答えた彼女の、幸せそうな表情を思い出しました。
 
私は毎日の入眠時間を決めていません。入眠時間から逆算してお風呂や食事をとる時間も決めてませんから、リズムは狂いっぱなし。コンディションがよくならないのは、当然でしょう。
 
「人生の3分の1か……」
 
それほど長い時間を過ごすのに、あまりにも無頓着すぎた。私は部下に、とても大事なことを教えられた気がしました。睡眠のとり方ではなく、人生の過ごし方といいますか、「生き方」そのものを学んだ気分になったのです。
 
私は部下のやり方を参考に、毎日のスケジュールに睡眠時間を必ず入れるようにしました。そうすることで、これまで長い間、私の課題であった「睡眠」が改善され、よりいっそう健康的になったのです。
 
私はこの話を、経営者に会うたびに話します。「睡眠」に悩みを抱えない経営者は、あまりいません。それに多くの経営者は「計画」の大事さを熟知していますから、
 
「なるほど!」
 
と感心してくださいます。人生の3分の1を、素敵なデートに費やすことができるようになる。こんな素晴らしい提案なのですから、聞いてウキウキしない人なんていないのは、当然のことかもしれませんが。
 
 
 
 
***
 
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2019-05-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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