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メディアグランプリ

きっかけは突然訪れた


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:酒井利昌(ライティング・ゼミ火曜日コース)
 
 
「おい、この案件、どうなってるんだよ!!!」
 
営業会議では、詰められる営業マンが必ずいる。
 
「今回、お前、大変だったな……」
「いや~、うまく誤魔化せんかった……」
 
会議後になると決まって、喫煙所に行っては、同僚たちとお互いの傷を舐め合う。
 
日本のいたるところで起こっている光景だろう。
 
ここでだけ、こっそり打ち明けるが、私には隠してきた過去がある。
そう、それはダメ営業マンという過去だ。
ちょっと嘘をついてしまったので、訂正する。
私は「ダメダメ営業マン」だった。
 
今思い起こしても、暗黒の時代。
あの時代を振り返れば、「よく生き延びてきましたね」と、自分で自分のことを褒め称えたい気持ちになる。
 
私は、成績を上げられず、毎週毎週毎週、営業会議で延々と怒鳴りつけられる、そんなダメダメ営業マンだった。
 
周りからは、憐れみの表情をいつも浮かべられていたし、その視線に耐えられず、社内には居場所がなく、息を殺すように過ごしていた。
 
仕事はやっていた。決してサボっていたわけではなかった。
今では完全に「ブラック」と言われるほど、長時間働いていたし、会社に寝泊まりすることも一度や二度ではなかった。
昔からの親友の結婚式も断って、休日出勤をしたこともあった。
 
それでも、私はダメダメ営業マンだった。
営業の役割は、会社から与えられた目標を最低でも達成させること。
どれだけ働こうが、結果を出さなければ、役割を果たしたとは言えない、それが営業という仕事だ。
 
営業としての役割を果たせない私への周囲の目は冷たい。
ついには精神的に追い込まれ、毎朝、出勤途中に体調不良に襲われる、そんな状態にまで陥った。
 
今、この文章を書きながら、その当時のことを思い起こしていると、目の前が暗くなる。
光の見えない、まさにどん底だ。
 
転職活動をしようとエージェントに登録し、カウンセリングを受け、実際に何社か紹介もしてもらった。
ただし、実際に応募はしなかった。
いや、「応募できなかった」と言ったほうが正確だ。
 
自信を失っていた私は、これ以上自信を失いたくなかった。
これ以上自分を否定されたら、生きていく自信も失ってしまう、そんな生存本能が働いていた、今ではそう思う。
 
とにかく、出口の見えないなかで、もがき、苦しみ、声にならない声で発狂していた
 
そんな私も今は、営業コンサルタントをしている。
全国各地を飛び回り、コンサルティングや研修をするのが仕事だ。
上場企業のマネジャーたちを相手に研修することもある。
 
当時のことを知る誰もが不思議がることだろう。
「あの酒井が、どうしてコンサルタントをしているのか」
訝しい表情が目に浮かぶ。
 
きっかけは突然訪れた。
あの日、私は本屋にいた。
その日も営業会議で“ド詰め”に遭い、そのまま自宅に帰る気になれず、寄り道をしたのだ。時間を潰せればどこでもよかったが、目についた本屋に何気なく立ち寄った。
 
本屋に入ると、目の前には無数の本たちが私を取り囲む。
とくにあてもなく立ち読みでもしようかと、雑誌コーナーに歩みを進めた。
 
すると、その途中で、私の視界に飛び込んできた。
ビジネス書の新刊コーナーに置かれていた一冊の営業本が飛び込んできたのだ。
導かれるように手に取り、そのままレジに向かった。
 
貪るように読んだ。
すぐに著者の出版記念セミナーに申し込んだ。
セミナーのあと、著者にサインをもらうついでに名刺交換もした。
勇気を出して、Facebookで友達申請をした。
案外あっさりと友達承認をもらい、ときどきメッセージをいただくようになった。
 
その著者の本は、過去のものから順番に読み、すべてを読破した。
 
それから私は変わった。
まず行動が変わった。結果が出た。すると思考が変わった。
考え方が前向きになり、どんなことでも積極的に進んで取り組むようになった。
 
周囲の目も明らかに変わっていった。
認められる環境は、行動をさらに加速させた。
驚くほどに人脈が広がり、仕事のオファーがひっきりなしにやってくるようになった。
神がかっていた。気づくと、私は全国でトップセールスになっていたのだ、
あの本を手に取って、1年ちょっとの出来事だ。
 
きっかけはいつ訪れるか、誰にも分からない。
 
私は今、その著者が代表を務める会社で働いている。
 
人はいつでも変われる。
資質とか、才能とか、天性とか、そんなものは関係ない。
ダメダメだと、自分自身にレッテルを貼るのはよそう。
自分には無理だと言うのは簡単だが、それは思い込みに過ぎない。
 
自らがそうだったからこそ、全国各地で研修をするたびに、そう伝えている。
 
「おい、お前の人生、どうなってるんだよ!!!」
 
当時の上司に、今会ったら、そう言われるに違いない。
 
 
 
 
『空気でお客様を動かす/横山信弘・著』(フォレスト出版)
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2019-05-30 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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