ファッションを餃子にしないようにするために
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記事:slowman(ライティング・ゼミ土曜コース)
もう少し着る服に気を使ったらどうかと、周りから言われることがあった。おそらく、私の格好は、側から見ると相当にひどいものなのか、奇妙奇天烈なものに映っていたようだ。
振り返れば若かりし頃、もっと服装に気をかけるようにしていれば良かったのだろうが、もうだんだんと老けていく身を着飾るのもなんだかとても面倒くさく思うのと、もうどうやったら、身綺麗に見えるのかも分からないという諦めが入り混じり、今となっては、一見してオカシな人に見えなければ良いというところで落ち着いた。
ところが、ある日みてくれに気を使わずに参加したとある勉強会。
本来は、日本古来からある風習などを通して心身の統制を図ると言った極めてマニアックな勉強会だったのだが、この時ばかりは何故だか見た目を整える話と相成った。
当然、そういう知識のカケラもない私は、今回はあまり私には全く関係の無い勉強会だと思っていたのだが、実際受講してみてとても考えさせられたのだった。
それは、「服装とは誰のために整えるものなのか?」という命題を突きつけられたからだ。
私は、ずっと自分が着られる服を着たら良いと思っていたのだが、実はこれが大いなる間違いであった。
「服装は出会う人のために整えるもの」だからと教わったからである。
では、何故、他人のために服装を整えなきゃならんのか?
ここで一例。
東京ディズニーランドへ一緒に遊びに行く人が、何日も着替えていない薄汚いシャツに裾がボロボロのズボンを履いた格好をしていたら、その人と一緒にそのまま遊びに行きたいと思うだろうか?
または、トンデモない恰好で、とても知人とみられたくはないとという格好をしてきたとしても、一緒にいくあろうか?
ということである。
服装はTPOに合わせて格好は変える必要がある。それが相手へのマナーとして、というのがこの勉強会で習ったことだった。
更に、自分が相手からどのように見てもらいたいかを考えるためのものでもある、とも教わった。
例えば、人に何か教える人で権威あるようにしたければ、伝統的な厳かな服装に、とか。
さらに、いつの日かの内閣の入れ替えがあったとある写真で、ある大臣が着ていたシャツがボタンダウンだったということでファッションがわかる人たちの間で大変問題視されたという話も聞いた。
これは、フォーマル、インフォーマル、カジュアルについて、その閣僚では誰もが知らなかったことが露になった例だという。
何が問題だったのかというと、内閣の入れ替えを公表するフォーマルな場において、ボタンダウンのシャツというカジュアルな服装を着て臨んだ、ということらしい。
つまり服装の選択を間違えるとその人や周囲のマナーや教養まで疑われてしまうという由々しき事態になりえうるという恐ろしさを指している。
これを聞いた時、ほーそういうものなのかと、今の今まで、ファッションにそんな深い意図があるなんて考えもしなかったから、感動に似た納得感を得た。
そして、なんだか、「餃子と似ているな」
と思った。
若いサラリーマンのころ、職場では接客する立場だったから、平日は、どんなに餃子が食べたくなっても一切食べなかった。次の日に臭いが残って、対人で嫌な心象を相手に与えないためである。なので、土曜日や休みの前の日になると思いっきり餃子を食べていたのを思い出す。こう考えると、ファッションも一緒だろう。
しかし、餃子は臭いがするから分かるけど、ファッションの良し悪しは無知だったので相手にどのような心象を与えているかなんて分かることはなかった。この勉強会で習ったことを考えながら昔を思い返すに、周りから見た目を言われていた私は、随分ひどいサマになっていたのかもしれない。
残念ながら、未だに私の服装についてどうして良いものやら手付かずではいるが、少なくとも、他者が見て例えば、「オカシイ」と思われるような格好をしないよう気をつけるようにはなった。
果たしてそれが、他人からどう見えているのかは、とんと検討はつかない。
しかし、ファッションは全く基礎がない私には、まずはキチンとした恰好かどうかを意識することから始めている。そして今まで一度も周囲からおかしな目で見られたり、二度見されたりすることがないのだから、その辺りは安心しても良いのかもと思っている。
そういえば、「服装変えたらモテることもある」と誰かが言ったのを思い出した。
別にモテたいなどとは思わないが、今日も自分のファッションが餃子になっていないか鏡の前を通り過ぎる時にチラ見している。一応マナーとして。
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