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人生最高の教科書


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記事:古閑洋輔(ライティング・ゼミ火曜コース)
 
 
「あなたが人生で最も好きな本を1冊あげて下さい」
よくある設問だが、どのように答えるだろう?
私は最も好きな本だといくつもあって選ぶのに1週間は掛かるだろう。
しかし「最も影響を受けた本」という設問ならば瞬時に答えられる。
私が今までで一番影響を受けた本は「銀河英雄伝説」である。
 
「銀河英雄伝説」
田中芳樹著。1982年から刊行され本編全10巻。
映画化・アニメ化・漫画化・宝塚での舞台などを含め様々な形で今なお多くのファンを持つ作品である。
私がこの作品と最初に出会ったのは16歳の頃だった。高校の友人に勧められ図書室で借りて読んだ。そしてすぐに魅了され書店にて全巻購入した。それから何度も何度も読み続けている。
 
銀河英雄伝説は未来の人類社会の歴史を描いた架空歴史小説である。
今から千数百年未来、銀河に進出した人類は2大陣営に分かれ戦っていた。皇帝と貴族が支配する専制国家・銀河帝国と、帝国から民主主義を掲げ脱出した人々が建国した民主主義国家・自由惑星同目である。戦いは150年以上に渡り膠着していたが、帝国にラインハルト・フォン・ローエングラム、同盟にヤン・ウェンリーという2人に英雄が現われることにより歴史はは大きく動き始める。物語はこの2人に英雄を中心に語られていく。
 
まず小説としてとても面白い。本当の歴史を描いているかのような臨場感があり、毒舌が飛び交うものの楽しい会話や、ハラハラする戦争シーンや陰謀、友情・愛情・憎悪などが交じり合う最高のエンターテインメント作品である。
 
そんな中でも最初に最も魅かれたのはまるで三国志のように多くの登場人物達だった。
容姿端麗で豪奢な金髪に蒼氷色の瞳を持つ「常勝の天才」ラインハルト中心に、その部下や敵対勢力などにも個性的で魅力的な人物ばかりだ。
その中で私が一番好きだったのは歴史が好きだが、両親を亡くし無料で歴史(戦史)を学べる士官学校に入学。過去の歴史に戦いの本質を学び、後に「不敗の魔術師」「同盟軍随一の智将」と称されるヤンだった。私自身歴史が大好きだったのでとても共感したのだった。
 
何度も読み続けるうちに、銀河英雄伝説が他の似たような作品と最も違うのは1980年代という時代に「戦略」「戦術」という概念を明解に定義したことだと気付いた。
今でこそ経営戦略や競争戦略など戦略という言葉は一般化しているし、スポーツの世界などで戦術という言葉もよく見かける。しかしいまだに「戦略」と「戦術」が曖昧に混同されて使われる事が多い。
 
「戦略とは戦争全体の勝敗を決めるための基本的な構想とそれを実現するための技術。戦術とは局地的な戦場で勝敗を決するための、いわば応用の技術。状況をつくるのが戦略で、状況を利用するのが戦術だよ」
 
当時高校生だった私は当然本当の戦争も本当のビジネスも知らなかった。そんな子供に戦略や戦術の概念は新鮮であり衝撃的だった。
大人になり戦略やビジネスの本を読んでも、常にバックボーンは銀河英雄伝説だった。
私にとって最も優れた教科書だったのだ。
 
子どもから大人に近づくとともに、銀河英雄伝説は私にとって最高の哲学書になっていった。
本伝5巻《風雲編》にてラインハルトとヤンは直接対決をする。その戦いの後2人にとって生涯で唯一の直接会談を行う。
ラインハルトは幼い頃優しく美しい姉を皇帝の後宮に連れさらわれた。姉を救い出す為に栄達し権力の頂点を目指すしかなかった。ラインハルトにとっての「正義」は単純で1つのものだった。
お互いの考えや信条を語るなかヤンは
 
「ひとつの正義に対して、逆の方向に等量等質の正義が必ず存在するのではないかと思っています」
 
と話した。
ラインハルトの言葉を借りるなら「正義は絶対ではなく、ひとつでさえない」ということに気付かされた。
 
私はこの作品にヤン・ウェンリーに出会えたことで広い視野を持つ事の大切さを学んだ。そして出来るだけ広い視野を持つよう心掛けてきた。
世の中の色々な流行に対して、様々な人が語るそれぞれの主張に対して、逆方向のベクトルがあるのではないかと疑い考えるようになった。
 
ヤンはこうも言う
「信念のために人を殺すのは、金銭のために人を殺すより下等なことである」
「なぜなら、金銭は万人に共通の価値を有するが、信念の価値は当人にしか通用しないからである」
 
自分が正しいと思うことが、他人にも正しい訳では無い。
自分の正義・他人の正義を疑い広い視野を持つこと。
これは現在の「〇〇ファースト」、「〇〇原理主義」、「移民排斥」などの世界情勢や、時には過剰な正義感の場所となるネットなどの現代社会を生きる時の1つの指針になっている。
 
私は銀河英雄伝説に出会って人生が変わったのだと思う。
この素晴らしい作品を今様々な事を学んでいる少年達に、社会に出て悩む若者に、ビジネスの現場で考えてる大人に是非読んでもらいたい。
よく歴史書や小説をビジネスに役立つといって売り出す事があるが、私はあまり好きではない。楽しい本は楽しいでいいじゃないか。あえて仕事に繋げなくてもいいじゃないかと。
しかしあえて言う。「銀河英雄伝説」生きてくことにも仕事にも役立つ最高の教科書の1つになると。
 
初めて出会った時、登場人物達はみんな憧れの大人だった。(物語開始時の年齢は20歳のラインハルトを筆頭に多くが20代・30代だ)
それがいつの間にかほとんどの登場人物より年長になってしまった。
とても憧れの英雄たちに及ばない自分がいる。少しでも近づけるように頑張ろうと思う。
 
 
 
 
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2019-06-13 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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