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メディアグランプリ

宮崎駿をもてなすための因数分解


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:のぐちまりゑ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「もし明日、宮崎駿が家に来るとしたら?」
 
たいていの人は、彼が快適にくつろげるよう部屋を掃き清め、目に障るモノをなくし、空間全体を整理整頓するだろう。どんなことが好きなのかリサーチし、彼の望みを満たす準備を徹底する。
 
なにせ巨匠だから。Very Important な Person だから。
 
さて先日、「そうだ、結婚指輪売ろう」と思って、パートナーに相談をもちかけてみた。
 
「結婚指輪って、あんまりつけてないよね?」
「うん、全然」
「これからもつけないなら、なくてもいいかね?」
「うーん、俺はつけないからいいけど」
「じゃあ買い取りしてもらおうって言ったらどう思う?」
 
しばし笑いが発生したのち、結局要らないしおもしろいし売ろうということになった。
 
それ以降、今までに感じたことのない解放的な気持ちが訪れたのだ。禅寺で枯山水を眺めているような心の平穏……! 身軽で自由で、何かに煩わされない快適さ。そしてわずかなワクワク感がある。その気持ちを細かく調べてみたくなった。つまり因数分解してみようと思い立ったのだ。
 
・「一般的に必要」とされるモノでも自分には「不要」と判断できた
・自分の望みを明確にできた
・物理的なスペースができた
・脳内にスペースができた
 
できたことがたくさんある。指輪ひとつ、ほんの小さなモノなのに空間が一気に広がった感覚だ。反対に、もし一連の流れを採用せず現状維持を続けていた場合を考えてみる。
 
・自分は「不要」と思っているけど「一般的には必要」だから持っておく
・自分の望みは無視される
・物理的なスペースをとる
・目にするたびに「これ要らないんだけどなぁ」と思う
 
実は指輪にかぎらず「不要」と思っているモノすべてにこれらが繰り返し発生していた。服、雑貨、書類、思い出……。すべてにおいてだ。
 
私にはそれが耐えられなかった。特に「自分の望みは無視される」という部分は大したことがないように見えて心に多大な負担をかける。じわじわと積もりに積もって何かのタイミングで爆発する種類のストレスだ。そういう経験は私だけではないだろう。
 
もしあなたが特にこれといった不幸があるわけでもないのに、なんとなく生きづらいとか充実した時間を過ごせていないような気がする場合、私と同じように「望みを無視」している可能性がある。爆発する前に対処が必要かもしれない。
 
ではどうすればいいのか? 望みを無視せず把握すればいい。つまり「なぜこれを持っているのか、持っておきたいと思っていたのか」を自覚するのである。
 
私の場合、気持ちをさらに因数分解してみたら、自分の性格を他者に知ってもらうためだったり、自分の価値やメリット、意志やポリシーを周りにほんのり匂わせるためだった。お気に入りのモノの大半はその目標が達成できるから持っていたのだ。
 
カジュアルな服なら気さくな性格を示すことができる。サブカルなCDならニッチなセンスを誇示できる。結婚指輪なら私結婚してるんですエヘヘの状態をアピールできる。他者に対しても、そして自分自身に対しても。私はこういうモノを好む人間だから大丈夫、と安心させるためでもあった。それらすべてを自覚することが「望みを無視せず把握する」だった。
 
こんなことはあまり自覚したくない。恥ずかしいし後悔しそうだし、みじめな気持ちになるだろうし。なによりアイデンティティが崩壊するような怖さを感じる。だから今までできなかった。
 
でもちょっと踏み込んで、細かく因数分解して手放していくと、今回のようなスッキリ爽快な安らぎを得られると知った。モノに頼らずとも自分は崩壊せず確かにここに存在している。心も体も死んでない。そのうえ前より格段に快適だ。
 
ということは「自分の望みを無視せず把握する」こそが、自分自身を大事にすることそのものなのではないか。ひいては生きづらさをやわらげてくれるのでは。
 
もしあなたの大事なモノが「大好きなパートナーとの絆を表す指輪」だと自覚し、それを持っておくことで安らぎを得られるのなら、丁寧に磨いて眺めてうっとりすればいいのである。たとえば温泉なら、どっぷり浸かってふぇ〜とするのが望みを無視しない状態だ。おいしい食事だったりスポーツをする時間だったり猫をモフモフすることだったり、人それぞれまったくちがう。
 
でも共通しているのは、自分自身を特別大事に「VIP扱い」する必要性だ。人が心に負担をかけず安らかに過ごすためには、権利では足りない。人類共通の義務である……!
 
「もし明日、宮崎駿が家に来るとしたら?」
 
その回答になる行動を自分に対して行えばいいのだ。
 
快適にくつろげるよう部屋を掃き清め、目に障るモノをなくし、空間全体を整理整頓する。どんなことが好きなのかリサーチし、望みを満たす準備を徹底する。
 
もっともっと自分にやっちゃわなければ。恥ずかしくてみじめになるからやらないなんてもったいない。めんどくさがっていては自分の望みはこの先ずっと無視される。
 
自分にとって、もっとも Very Important な Person は「自分自身」だと本当はわかっているのだし。
 
 
 
 
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この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。
 

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2019-06-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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