fbpx
メディアグランプリ

勝間和代さんが言う「努力不足」って?


 
 
 
 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

ライティング・ゼミ火曜日コース 横山信弘
 
「私は、勝間和代さんを恨んでいます」
 
5年前のことです。
 
飲み会の席で、私が勝間和代さんのファンだと知ると、ある同僚が言うのです。その彼女、Cさんは会計士でした。
 
Cさんは、自称「元カツマー」。経済評論家の勝間和代さんをロールモデルにしていた人を「カツマー」と呼んだ時代があり、Cさんも勝間さんに熱中した過去を持つとのことでした。
 
「恨むって、何かあったの?」
 
「私、離婚して、子ども2人を食べさせなくちゃいけないから、どうしても年収600万ほしいんです」
 
「年収600万?」
 
『勝間和代のインディペンデントな生き方』を読んで、感化されたと言っていました。
 
勝間勝代さんのキレ味鋭い文章に魅了され、自立した女をめざしてCさんは自己研さんを繰り返したようです。
 
TOEICは730点を超えると年収が1.5倍になるとか、インプット、アウトプットを繰り返すと年収が10倍になると聞いて実践したそうです。しかし、なかなか思うようにはいかなかったと言います。
 
「英語をどんなに勉強しても、ブログをどんなに書いても、評価されませんでした」
 
Cさんは会計士事務所を転々とし、当社に流れ着いたようです。
 
これまで転職先で何があったのかわかりませんが、彼女と接してわかったことがあります。頭はよく、努力家なのですが、とにかく性格がネガティブなのです。うまくいかないことがあると、すぐ他責にするクセもあります。
 
「どんなに頑張っても、年収が10倍になるどころか、下がりっばなし」
 
「本に書いてあることは真っ赤な嘘だった。つぎ込んだお金を、全額返してほしい」
 
お酒が入ると、Cさんはいっそう不平不満を並べ立てます。
 
「横山さんは、どうして勝間和代が好きなんですか」
 
「聡明でかつ、何事にもどんどんチャレンジしていく姿勢に憧れる」
 
「でも、英語勉強しても、年収増えないじゃないですか。本に書いてあったフレームワーク使っても結果が出ません。やっただけ損です」
 
なんてネガティブなんだ……。
 
3年ぐらいでしょうか。知らぬ間にCさんは辞めていました。当時、会計士や税理士の出入りが激しかった時代だったので、気付いたのは数ヵ月たってからでした。
 
「私、勝間和代さんのファンです」
 
最近入社した、女性部下の言葉です。
 
「ああいう、バリバリのキャリアウーマンをめざします」
 
「勝間さんのどんなところが好きなの?」
 
「ポジティブなことですね。有名だからアンチも多いじゃないですか。でも、めげずに挑戦しているところがカッコいい」
 
ポジティブ、か……。
 
「勝間さんのマネして、英語勉強したり、フォトリーディングやったり、親指シフトでキーボード入力したりするの?」
 
「うーん。私が好きなのは、そういう勝間さんの『やり方』じゃなくて、『あり方』なんです」
 
やり方じゃなくて、あり方……。
 
「勝間さんが編み出したテクニックって、仕事の内容や環境によって、使えるものと、使えないものがあります。でも、仕事に対する姿勢とか考え方って、どんな仕事をしようが参考になるんです」
 
だから、「あり方」なのか。
 
新しい部下に、なんだか教えられた気がしました。私も勝間さんの「あり方」が好きだったのかも、と思いなおすことができたからです。
 
Cさんから結婚式二次会の招待状が来たのは、それから半年ぐらいたったころ。あまりに突然でしたので、驚きました。私は当日、どうしても出張で参加できないため、大阪にいるCさんに会いに行きました。
 
難波の串焼き屋で再会したCさんは、驚くほどキレイになっていました。
 
化粧が変わったわけではありません。髪型もそう変わったわけではない。表情です。表情がまるで違っていた。
 
「なんか、見違えるようだ」
 
「お久しぶりです。たまに横山さんのフェイスブック見てます」
 
笑った顔が美しい。Cさんって、こんなに美人だっただろうか。
 
「結婚おめでとう。幸せそうだね」
 
「わかりますか? 相手は年収500万の公務員です」
 
「へえ」
 
「私、専業主婦になります」
 
そうなんだ。意外だな。
 
「横山さんといえば、勝間和代さんですよね。いつも勝間さんの話をしてた気がします」
 
「そうそう」
 
「私、勝間さんのおかげで、変われたんです」
 
「ええっ!」
 
勝間和代を恨んでるって、言っていたのに、どういうことなんだと思いました。すると、Cさんはカバンから一冊の本を取り出して、私に見せたのです。私が読んだことのない、マイナーな部類の勝間本でした。
 
「ここを読んでください」
 
Cさんが指さす先に目を向けた。
 
「努力不足の四段活用? 聞いたことがない」
 
本を手にとり、指定されたページを読んでみます。そこには「努力不足の四段活用」という表現が記されていました。
 
努力が足りないと、結果が出ない責任を他の何かに転換し、被害者意識を醸成させ、加害者へと転嫁する、とあります。
 
ですから、「努力不足」「責任転換」「被害者意識の醸成」「加害者への転嫁」――の流れを『努力不足の四段活用』と呼ぶのだと。
 
「私、単に努力不足でした」
 
私の顔を真正面から見つめるCさんは、とても晴れ晴れとした表情をしていました。
 
「子ども2人いるのに、定職に就くことができなくて、途方に暮れていたら、この本に出合ったのです」
 
だから死ぬほど努力して婚活し、結婚相手を見つけたという話でした。努力をつづけたからこそ、ポジティブになれたとも言います。
 
「やはり素敵ですね、勝間さんは」
 
私はくすっと笑って、こう言いました。「本当に、そうだね」と。
 
「大事なのは、やり方じゃなくて、あり方なのかもしれないね」
 
 
 
 
*** この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《6/26までの早期特典あり!》

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-06-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事