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「それって楽しい?」


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:岸本しおり(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
私の母は「楽しい」という言葉をよく使う。
 
迷った時は「どっちが楽しいかな?」と尋ねてくる。判断の対象が、旅行先でも、カーテンでも、家電でも、何であっても一貫して「楽しいかどうか」で聞いてくる。
新しい洋服を買った時は「この洋服楽しいでしょ?」と自慢してくる。
小学生の頃、図画工作の時間で作った作品を見せた時も「楽しそうでいいね」とよく褒めてくれた。
 
母にとって「楽しい」は判断基準であり、評価基準でもあり、褒め言葉でもある。
 
母は元々、好奇心旺盛な性格。母の「楽しい」は、特に「自分が今まで見たものがないもの」に対してよく使われる。
 
私がiPhoneを使っているのを見た母は「画面を指でシュッとするの楽しそう!私もやりたい!」と言って、いきなりiPadを買った。ガラケーの電話帳登録すらできなかったのに。子どもたちから使い方を教わることは、最初から諦めていて、iPadを買うと同時に、カルチャーセンターでiPad教室に申し込んできた。iPad教室で習ったことを存分に活かし、今ではLINEもネット検索もYOUTUBEも楽しんでいる。
 
TVで加圧トレーニングを知った時も「楽しそう!」とすぐに近くのジムに申し込んできた。母の「楽しそう!」に対する行動力は早い。
 
常に新しい何かに挑戦しているせいか、母は新しいこと、今までの自分の価値観にないことを否定しない。興味を持って聞いてくれる。
 
私が新卒で就職する時に、急に、今まで所縁のなかった大阪の従業員が3人しかない会社に就職すると言いだしたことには、とても驚いていたが、どんな会社か、何が良いと思ったかを説明すると、「楽しそうだからいいね!」と応援してくれた。今でも、帰省の度に私が今仕事で何をやっているかをすごく興味を持って聞いてくれた後、「あなたが楽しそうに働いているから、お母さんはそれだけで十分」と言ってくれる。
 
更に、母は「楽しい」を生み出すことも上手だ。
 
母は長らく実家の近くのスーパーの鮮魚コーナーでパートをしていた。自分が働いている以外のスーパーに行くと、必ず鮮魚コーナーを覗いて、魚の盛り付け方など自分の店の参考になるものはないかをチェックしていた。
「パートなのに、何でそんなに頑張るの?」と、母に尋ねると「どうせ働かないといけないんだし、それなら楽しい方がいいでしょ?」と答えた。
 
その答えを聞いて、ハッとした。思い返せば、母が「めんどくさいこと」を「楽しいこと」に昇華させている姿を何度も見てきた。
 
小学校の行事で大量にドーナツを作らないといけなくなった時に、「どうせやるなら、めちゃくちゃ美味しいドーナツを作る!」と言って、ドーナツの本を買ったり、近所のドーナツ屋さんにコツを聞いてきたりしていた。そして、最初はめんどくさそうだったのに、だんだんとドーナツをつくるのにはまっていて、本番まで、毎週ドーナツを揚げていた。今では、ドーナツは母が作る人気お菓子の1つだ。
 
小さい頃、母がよく言っていた言葉で印象に残っているものがある。
 
「お母さんは、周りの若いお母さんみたいに、身体をたくさん動かすような体力を使う遊びはできない。だけど、周りのお母さんより年齢を重ねている分、色んな経験をしているから、あなたに色んなことを教えてあげることができるのよ」
 
母は38歳の時に私を産んでいる。今だと、その年齢で子どもを産むことは珍しくないが、30年前はとても珍しかった。この言葉は、子どもの私に対しての言葉だが、同時に自分に対して言い聞かせていた言葉だったに違いない。母としても、周りのお母さんより高齢なことを気にしていて、それをどうにかプラスに捉えるために、この言葉を言いづけていたのだ。母が楽しく子育てをするためには、この言葉は重要だったのだ。
 
母を見ていると、人生を楽しくするためには「楽しい」という気持ちを大切に、そして行動に移すことがすることが大切だと感じる。更に、最も大切なことは、どんなことでも楽しくできる、ということ。自分の気の持ちようで、物事はいくらでも楽しくなる。どうせやらないといけないことなら、楽しんでやった方が幸せである。
 
小さい頃、母を見て「いつも楽しそうだな〜」と思っていたが、私も周りから、「いつも楽しそうだね!」とよく言われる。それは、間違いなく、お母さんが育ててくれたおかげだ。ありがとう、お母さん。私は今日も楽しく生きています。
 
 
 
 
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2019-06-27 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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