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ペットロス、失うのは自分自身


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:横尾 美香(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
いまは子供の数よりペットと言われる犬や猫の頭数の方が多いと言われる時代です。
昔のように犬を「番犬」猫を「ネズミ捕り」として飼育する家庭はほとんどなく、独身や子供のいない家庭の「癒やし」「家族」として人と同じような感覚で飼っている方がたくさんいます。
 
犬や猫達の寿命は人間よりはるかに短いです。そこで昨今社会問題にまでなっているのが
「ペットロス」です。
ペットを失う(ロス)なので文字通りなのですが、ペットが亡くなっただけで「ペットロス」とは言いません。
ペットを失ったことでとても落ち込み日常生活を送ることも困難になってしまうほどの状態を「ペットロス症候群」と呼ばれます。
 
ペットを家族として生活をしていくとその存在が無くなった時の悲しみは深いものです。
人間の子供は成長しやがて自分の生活スタイルを見つけ親から離れていきます。
でもペット達はその生涯において全てが愛らしく人間を頼りたくさんの癒やしと愛情を注いでくれる存在です。その姿が無くなるということは痛恨の極みです。
 
私もかつて「ペットロス症候群」になりました。
娘のお誕生日プレゼントとしてペットショップから迎えた愛犬がたくさんの病気があり3歳になる前から寝たきりになってしまいました。
通常の犬に比べてお世話が多く通院の回数も多かったです。
苦労もありましたがその分「私がいなければ!」と母性本能全開で愛犬の介護をしていました。
 
6年半の介護の後、愛犬は亡くなりました。
そしてやってきた「ペットロス症候群」
愛犬を失った喪失感もありましたが、私自身の「居場所」が無くなってしまったことに戸惑いました。
犬のお世話をすることに自分の時間を費やしていたので、その時間を持て余したのです。
なにをするにも「うつろ」になり、食欲も湧かず誰とも会話もしない。仕事に行っている時だけは「自分」を忘れることができました。
 
ペットロスとはペットを亡くすことよりも「自分を無くす」ことなのだと思いました。
昔のように「番犬」として家族と距離を置いていれば、天寿を全うした動物に対して悲しみや寂しさはあれども「自分を無くす」ところまではいかないのでしょう。
 
人との距離が近ければ近いほど、ペットを失ったダメージは大きいのです。
動物達は昔からなにも変わらないのです。人の生活が変わり動物を「ペット」「愛玩動物」として家族の一員とするようになり距離が近くなったのです。
犬や猫達が家の中で生活するようになり病気や怪我のリスクがぐんと減り、一緒にいる時間が長くなったので異変に気づくことも多くなり早期治療ができるようになったのでペット達の平均寿命も延びました。
 
それでも動物の寿命は人よりも短いのです。
お別れは必ずやってきます。
 
子供は自分の家のペットが亡くなった時、悲しみを隠しません。でも子供で「ペットロス症候群」になったのはこれまで聞いたことはありません。
大人より感受性豊かな子供達は決して「ペットの死」に傷つかないのではないのです。
子供達は気持ちを切り替えることが早いのです。
物事に「固執」しないのかもしれませんし、子供時間のスピードが大人と違うのかもしれません。
なによりペット達に「依存」をしていないのです。
大人はストレスを多く抱えています。そのストレスを解消してくれるのもペット達です。
 
無意識にペットに「依存」してしまうのです。
なのでその存在を失った時に自分を見失ってしまうのではないでしょうか?
少なくとも私自身はそうでした。
 
ペットロスとは自分を見失うこと。
 
ペット達が人との生活に密着すればするほど「家族である」という考えが定着すればするほどその存在を失った時のダメージが大きくなります。
 
ペット達は昔からなにも変わっていません。人が変わったのです。
人のストレス度合いも昔に比べたら多いのではないでしょうか?
なのでペット達に「癒やし」を求めることも多くなりました。
ペット達の仕事が昔と変わったのだと思います。
 
私は現在、新しい犬を迎えています。そして「ペットロスにならないために」飼い主さんが自分自身で生きられるようなカウンセリングをしています。
 
自分の体験を元に「ペットを失ったことで自分自身を失うことのないように」そのサポートをしています。
 
動物達はとても愛らしく絶対の信頼を私たち飼い主に寄せてくれています。
心も体も疲れた私たちのそばに寄り添い、疲れを癒やしてくれます。
それが現代のペット達のお仕事なのだと思います。
 
そのお仕事をやっと終える時「ご苦労様でした」と笑って見送ることのできる飼い主が増えることを望んでいます。
温かい思い出だけを胸に秘めてその後の生活を送ることができたら良いと願っています。
もちろん私自身もそうありたい、そんな飼い主でありたいと思います。
 
きっとそれがペット達の願いでもあるのでしょう。
 
 
 
 
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2019-06-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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