親離れとペット依存は同じ関係性
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:横尾美香(ライティングゼミ・平日コース)
「私がやらなくちゃ!」
長女気質と言うのか性格なのか。頼られるとやたら張り切ってしまう。
そしてとてつもなく心身共に疲労し結果「なんでわたしばかり……」と自己犠牲感まるだしになるのです。
昨年の今ごろは毎日母と父の面会に行っていました。ほんの2週間程度の入院の予定で例年より早く梅雨明けし猛暑の中「2週間程度だから」と仕事をやりくりして父の病院に足繁く通っていました。
それが結果入院から一ヶ月半で父は亡くなりました。
家事全般をこなしていた父は母を残して旅立つことをとても気にかけていました。
入院中も毎日のようにLINEが入り「あれを持って来て」「あれはあの場所に片付けておいて」と離れた場所に住む私に指示していました。
徐々に身体が弱り帰る気満々だった父も「帰れない」と諦めかけると死期を悟っているかのように「全て任せるから頼むね。ママを頼むね。」そんな話を私にしていました。
食事の支度も父が全てやっていたので母が一人になることなど想像をしただけで絶句です。
一人になった母が不憫で「私がやらなくちゃ!」と葬儀から年金手続き、保険の受け取り等々初めて親を亡くして「人一人死ぬとこんなに大変なのか……」と思うほどの事務手続きでした。
周囲から「お嬢さんが近くにいていいわね。羨ましいわ。よくやっているよね。」なんて言われようものなら長女頑張る! 「私がやらなくちゃ!」
自分の家でもやらないような作業を「父の代わりに、私がやらなくちゃ!」とこなす日々が続きました。
それに伴いどんどん母が私に依存するようになりました。
些細なことでも電話がかかってきます。
「うん、わかった。後で行くね。」自転車で30分の実家を往復します。
「母のために」「母が可哀想だから」「私がやらなくちゃ」
思い出したことがありました。私は以前に飼っていた犬の介護をしていました。若くして歩けなくなりつきっきりでお世話をしていました。
その時も「私がやらなくちゃ!」と家族に誰にも手を出させないで一人でやっていました。
「私じゃないとお世話ができないから手を出さないで」そうまで言っていました。
睡眠時間も削って、外出も控えて犬の世話をしていました。不自由さどころかそこに充実感がありました。
結果、その犬が亡くなるとものすごい喪失感が襲ってきて重度のペットロスになりました。
一人で頑張って頑張って自分だけが満足してその対象が無くなった時に自分自身も無くし見失ってしまうほどでした。
誰かに頼ること、息抜きをすること。自分の時間もしっかり確保すること。
私にとって最も苦手なことです。
客観的に見ると「頑張っているように見せかけての承認欲求」です。
それで心を壊してしまうのですから目も当てられません。
親のために子供が頑張るのは当たり前なのだ。そんな周りの目や期待に応えようとしてしまう自分が「あれ? これでいいのか?」と思うようになりました。
過去に寝たきりになった犬に対して身を粉にして尽くして「私がいなければ。私がやらなくちゃ!」と頑張りすぎた結果、心を壊してしまった自分と重なります。
幸い母はまだ身体も元気で一人で生活できているのです。父の一周忌もやってきます。
同じ年代の友人も多く楽しそうに暮らしています。
そろそろ私も「親離れ」をしなくてはです。
子育てが終わった私たちの年代になると次にやってくるのは「親の問題」です。
近くに住んでいたら切実です。まして長女となると。
「私がやらなくちゃ!」気質が出てきます。
子供数よりペットの頭数が多くなっていると言われている現代では「飼い主とペットの関係」も親離れ子離れと似ています。
ペットに依存し母親のような感覚なり「私がやらなくちゃ!」と抱え込む飼い主も多くいます。
人と動物ではお世話の仕方や関わり方はもちろん異なりますが「依存する」心の問題は共通しているように感じます。
病気で歩けなくなった犬との関わり方、父を亡くして一人になった母との関わり方は私にとっては共通の問題です。
どちらも自分自身を追い詰めるものです。
そろそろ私も「親離れ」をしようと一周忌が近くなり切実に思うことです。
愛おしい者を大切に思う気持ちと自分自身を守りたい気持ち。その距離感を保つことが私には難しいです。
世間一般にある家族間の問題ですが、皆さんはどうしているのだろうか? 「しようがないよね」とあえてその流れに身を乗せて流されていくのか? 「自分の時間を大切にする」と関わりを少なくするのか?
どちらも正解。
結果は「好きでやっているんでしょ?」母がペットがと他のせいにするんじゃないよ。と父の声がします。
「よし! 自分の時間を優先しよう!」そう決意する矢先に母から「ねぇ、こんなことがあって困っているの。来られる?」
「えっと、もうちょっとしたら行きます」
そんな私です。
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