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メディアグランプリ

読者がいなきゃダメなんです!


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:鈴木優紀乃(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「書くことそのものが楽しいのなら、人に読んでもらう必要はないのではないか?」
 
そんな疑問を抱いたのは、大学生活の終盤、ネット小説投稿サイトに入り浸るようになった頃。
そのサイトには活動報告といって、日記のようなシステムがあった。
サイトを徘徊していた私は、ある人の活動報告で、こんな言葉を目にする。
 
「自分の理想とする表現ができていれば満足。感想なんて1件もつかなくていいんです」
 
えー!?
私は目を疑った。
サイトにはあまりにもたくさんの作品が溢れていて、感想が0件のまま数年が経過するなんてことはざらなのだ。
でも、それを悔しいと思わない人がいるなんて!
いや、強がってるだけなんだ、この人は。絶対そうだ。人に読んでほしいと思わないなら、そもそも投稿するわけがないじゃないか。
でも、本音だとしたら、何か格好良いし、純粋に書くことが好きなんだろうなあ……。
 
そこで、冒頭の疑問である。
「書くことそのものが楽しいのなら、人に読んでもらう必要はないのではないか?」
この疑問について考えてみた結果、私の答えは
「書くことも楽しいけど、読んでもらって共有するのも楽しい!」
だった。
 
思えば、小学生の私が初めて書いたオリジナルの物語は、大好きなおばあちゃんを主人公にした紙芝居だった。
私はその紙芝居を家族の誕生日に上演した。そのストーリーが家族内で好評を博したのに味を占め、私は「おばあちゃんシリーズ」を量産した――紙芝居の仕組みを理解していなかったらしく、1枚目の絵の裏側に1枚目の文章を書くという失態を犯したまま。
 
それから半年ほど経つと、私は読んだ本の続きを妄想するという遊びにハマっていった。
本を読み、物語の続きを想像したり、私だったらこんな話にするのに! と言って書き散らしていた物語たちは私のおもちゃであり、書くことは純粋な娯楽だった。
自分の読みたい物語がまだこの世に存在しないのなら、自分で生み出せばいい。
書くこと、そして自分の書いたものを読むことはとても楽しかった。他に変わるものがないくらいに楽しくてたまらなかった。私は自分の創り出した世界の中で、いつまでも「独りで」遊んでいられた。
 
けれども、そんな時代は終わりを告げた。再びオリジナルの物語を書き始めた時、私の中には、いわば「外向きの矢印」が生まれていた。「この物語を通じて、このことについて考えてもらいたい!」という強いメッセージを込めて書くこともあれば、「この物語を読んでいる間だけは現実を忘れて、こんな気持ちになってもらいたいなぁ」という思いをそっと抱きながら書くこともあった。
いずれにせよ、それらは自分だけが読者だった時にはなかったものだった。
 
「外向きの矢印」が生まれると、私は、自分の文章の拙さにがっかりもした。これも読者が自分だけであるうちは全く問題にならなかったことだ。
小学生の頃書くことに目覚めた私だが、当時は周りに同じような趣味を持つ友達はいなかった。しかし中学、高校になると――今思えば特殊な環境だったのだろうけど――幸か不幸か、何かを書いている人が多数派を占めるような環境に放り込まれた。そんなわけで書くということは当たり前に私のそばにあった。そして、同じように何かを書いている人は、厳しいダメ出しをくれるけれど、その分、良いものは手放しで褒めた。
17歳の頃に私が書いていたものといえば、ミステリー要素のあるファンタジーだったが、「今回は先の展開が読めたわー」
と言われれば、次は奮起して工夫してみたり、
「今回は伏線が回収された時、わああああ! ってなったよ!!!」
と褒められて有頂天になったり。
身近に読者がいてくれて、読者と物語を共有できるという環境がなければ、私は書き続けることはできなかったと思う。
私は、書くことだけでは駄目なのだ。
書くことも楽しいけど――読者と、そう、あなたと、物語を共有したい。
 
環境に恵まれた高校時代から10年の時が流れた。今でも書いたものを読んでくれる友人はいる。しかし彼らの大半は書くことをやめているし、かろうじて書いている人もプロを目指してはいない。そうして人に文章を読んでもらえる機会はどんどん減り、貴重すぎるものになっていった。
 
悶々と日々を過ごしていた2019年6月、某シナリオコンクールに落選したことをきっかけに、私は迷うことなく天狼院書店の門を叩いた。人に読んでもらえる、また、切磋琢磨できる貴重な機会を求めて。ここに集った人は皆ライバルでもあるのかもしれないが、皆が筆者であり、読者だ。
 
この文章に出会って下さってありがとうございます。
この文章をあなたと共有できて、嬉しいです。
いつか直接お会い出来たら、厳しいダメ出しを下さいね。
 
 
 
 
***
 
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2019-07-25 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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