メディアグランプリ

あるがままに欲望を受け入れてみると見える世界


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:中野ヤスイチ(ライティング・ゼミ特講)
 
 
「早く、早く、続きが読みたい!」と思い、隙間時間を必死に探してしまった……。
 
いつものように、朝早くから、電車に揺られていた。
そう、いつもと変わらない日々を送っていた……。
 
そんなある日、時間があったので、本屋さんに入って、ウロウロしていたら、目の前に置いてある文庫本が気になった。
 
タイトルは、「蜜蜂と遠雷」(恩田 陸 幻冬舎)だった。この本は、直木賞と本屋大賞をダブル受賞していた。
 
ちょうど、新しい直木賞受賞作品が発表された時期だったからだろうか、引っ掛かるような感覚があり、頭の中に強いインパクトを残していた。

ただ、その時はその本は買わなかった。
理由はわかなかった……。後からわかったが、読むタイミングが来ていなかったから。
本も読むタイミングがあるのかもしれない。

僕は天狼院書店のライティング・ゼミで毎週2000文字の記事を書く日々を送っていた。
このゼミに通うまでは、ビジネス書ばかりを読んでいて、自分の仕事に役立つスキルばかりを追求していた。
 
そんな僕が、久ぶりに小説を読みたいなと思い始めていた……。そのキッカケは、もっと、会話文はどのように書いたらいいのか、勉強したかったから。
 
プロの小説家がどのように会話文を書いているのか、学びたくなって、居ても立っても居られず、本屋さんに時間を見つけて入ったのであった。
 
その後は、中々、本屋さんに行くことができず、早く読みたい衝動にかられて、電子書籍で「蜜蜂と遠雷」を読む事にした。
 
読み始めた瞬間に、学ぼうという意識を忘れて、小説の世界に入り込んでしまった……。
 
一度入ってしまったら、中々、抜ける事ができない、次はどうなる!? え、その展開。と刻々と話が進んでいく、この話が進んでいくスピードがあまりにも心地が良すぎて、どっぷりその世界に入ってしまっていた。
 
小説を読んでいるのに、頭の中では映画を観ているように映像がハッキリと浮かんできて、登場人物の表情まで、手に取るようにわかってしまう。
 
満員電車に乗りながら読んでいる時でさえ、思わず、「うわ~、凄い、凄い」とお経を唱えるように、ページが凄い勢いで、流れていく。
 
無情にも、最寄り駅についてしまう、人に押されて電車から降りて、少し歩き始めるまで、ここで読むのを辞めたくないと思って、ホームに降りてから、区切りが良い所まで、立ちすくんで読んでしまっていた。全く迷惑な話である。
 
そんな気持ちで読み終えた後の仕事は、片付ける早さも、いつもの倍速で進んでいく。
昼休み、いつもなら、料理が出てくるまでの間、話ながら待ったり、スマートニュースを見て待ったりしているのに、この時ばかりは、料理が出てくるまでの間にスマートニュースではなく、電子書籍のページをドンドンめくってしまっていた。
 
料理が出て来ても、中々手がつけられない、きっと、早く食べ終えて、読んだ方がゆっくり読めるはずなのに、ここまでは読みたいと思ってしまって、料理に手がつけられないのである。それぐらい、この「蜜蜂と遠雷」の世界が僕の欲を満たしてくれていた。
 
食べること以上に、本を読みたいと思えるなんて最高! って思ってしまっていたに違いない、間違いなく、変態である。
 
なんで、ここまで、僕が「蜜蜂と遠雷」を読む事に夢中になってしまったのか、それは、色々な登場自分の内面が痛いほど、自分の心に刺さってくるからである。
 
この「蜜蜂と遠雷」はコンクールに挑むピアニスト達の話である。
ピアニスト達がどのような思いや気持ちを込めて曲を引いているのか、音楽センスゼロの僕からしたら、宇宙そのものだった。それを、ここまで凄いのか、というほど、教えてくれる。
 
「え、ピアニスト達ってこんな事を考えて引くの!?」と知らない事だらけで、ワクワクが止まらない。もう、誰かに強制的に止められない限りは、もうページをめくる手を止めたくなかった。そこまでさせてくれる本に出会えたことは幸せである。
 
家に帰っても、普段はダラダラして、頭が動かないのに、早く本を読みたいと思うと、普段は使っていない頭が猛スピードで回転して、もっと長く本を読める時間を算出して、数秒で実行に移してくれる。きっと、この猛スピードがいつも使えたら、仕事のスピードは2倍、いや、3倍はあがり、生産性は凄い数値をただ気出すに違いないと思ってしまう。
 
実際に、このような本を読みたい衝動にかられていた時期の仕事の生産性はかなり高い、後からしか、わからないのだが、振り返ってみると驚いてしまう。まさに、メリハリが効いているからだろう。
 
本を読む事に夢中になってしまうと、自然と仕事も早く終わり、生産性もあがってしまう。
まさに、一石二、いや、一石三鳥。
 
僕の場合は、本がトリガーとなって、ここまでの体験をさせてくれた。
もしかしたら、人によっては、映画を観たい、アニメを観たい、漫画を読みたいといった欲が、トリガーになって猛スピードで自分を働かせてくれるかもしれない。
 
あなたの心にある欲望をあるがまま受けいれる事で、気がついた時にはもの凄いパワーを発揮しているかもしれない。
 
 
 
 
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2019-08-09 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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