メディアグランプリ

美術センスがなくても大丈夫。Art Barで大人の自由研究


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:前野 友里(ライティング・ゼミ夏季特講)
 
 
多くの人が小・中学生の時に取り組んだであろう、夏休みの自由研究。何を題材にするか頭を抱えながらも、いざ取り組み始めるといつの間にか没頭していた、という経験を持つ人は少なくないのではないだろうか。
 
大人になると、何かに没頭することも少なくなり、休日の過ごし方もワンパターンになることが多いように思う。そのような状況を変えて何か新しいことに挑戦したいと思った時にオススメしたい場所が、Art Barだ。
 
Art Barとは、Barと言うだけあってお酒を飲みながら、10人程度のクラスでテーマとなる絵画について先生から絵の基礎を教わり、自分で絵を描いてみる体験ができる場所だ。
 
私は、学生の頃に美術の成績がイマイチで、美術の授業でいい思い出も特になかった。そのため、友達からArt Barに誘われて「面白そう!」と感じて誘いに乗ったものの、本当に楽しめるのか正直不安だった。そもそも高校を卒業して以来、絵なんて描いたことがなかった。
実際に体験してみた感想は、そのような不安は全く不要で、予想をはるかに上回って楽しく、是非ともリピートしたいと思えるものだった。
 
私が参加したクラスは、お手本の絵をそのまま真似るわけではなく、ジャクソン・ポロックというアーティストの「アクション・ペインティング」という技法を用いて、自分なりのテーマや色を決めて自由に絵を描いてみるクラス。
「自由に」とは言っても、いきなり放置されるわけではなく、きちんと先生が指導してくれる。
例えば使う色を決める時は「青のような寒色は癒し。赤やオレンジのような暖色は食欲やパワーをみなぎらせる。ピンクは女性ホルモンをアップさせる」と言った具合で、先生が色に関する知識を授けてくれる。その説明を受けて、今の気分に合わせてどのような色を使って絵を描こうか、と生徒は自身に問いかける。普段の生活で自分の気分を見つめて色使いを考えるような機会はなかったので新鮮だ。
どのような色を使うのか、自分なりにテーマを決めて絵を描くことはとてもワクワクすることで、さながら夏休みの自由研究のようだ。
 
テーマを決めると、さっそく絵の具を使って色を作り始める。思った通りの色が出ないなと悩んだ時も、先生がアドバイスしてくれるので問題ない。使う色も5,6色までにすると絵にまとまりが出るらしい。
 
色を決めると、自分がイメージしたように、黙々と絵を描き始めていく。
「黙々」とは言っても、一人で孤独に絵を描くわけではなく、先生が一人一人の絵について感想やアドバイスをくれる。この時とにかく先生が褒めてくれるので、とても気持ちがいい。少し失敗したような箇所でさえ「これは目を惹きつけるし、味があるからいいね!」とベタ褒めしてくれる。美術センスなんて関係ない。学生の時のようにABCD評価をつけられることもなく、自己肯定感がぐんぐん向上するのだ。
 
さらに、参加者同士も互いに「色使いが素敵!」「この構図のアイデアは面白いですね!」と褒めあうという素敵空間。
お酒の効果か、人見知りである私もいつもより少しおしゃべりになり、いつの間にか自分の創意工夫した「こだわりポイント」を誇らしげに初対面の人へ話している自分がいる。コミュニケーション力が上がり、オープンで良い人間になったような気になれる。
 
そのような調子で周囲から褒められていると、さらに工夫したいと思える点が見つかり、先生にどのような技術で実現できるかを相談してアドバイスをもらい、再びキャンパスに向かう。
絵が完成するまで、あっという間の2時間だった。
 
社会人になってから、映画や漫画等に没頭することはあっても受け身だった。仕事以外で自ら創作するような没頭体験は、本当に久しぶりで心底ワクワクした。それは、まるで中学校の自由研究で新選組について調べて模造紙8枚分の大作を生み出した時の気持ちだった。
 
ただ、何か表現したいものを一人で生み出すことはハードルが高い。そんな時にちょうど良い場所がArt Barだと思う。みんなでお酒を飲みながら互いのいいところを見つけて褒め合い、困った時は先生に相談し、自分が表現したいものをつくりだしていく。
 
この夏は、いつものデートや友達との食事とは異なる、お酒を飲みながら美術に没頭する時間を過ごしてみてはどうだろうか。高校卒業以来、美術はご無沙汰でも全く問題ない。自分がイメージしたものを生み出す作業は、自分自身を見つめ直すことにもつながるように思う。出来上がった作品には個性が現れるので、恋人や友人の新たな一面も見られるかもしれない。
 
 
 
 
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2019-08-11 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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