fbpx
メディアグランプリ

「ビール嫌い」だった私が、ビールメーカーで働くまで


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:大友ぎん(ライティング・ゼミ夏休み集中コース)
 
 
すごく苦くて、おじさんが飲んでいる、泡がのった黄色い飲み物。
 
 
ビールに対して、そんな印象を抱いている人は多いのではないだろうか。
なにを隠そう、私もかつては、ビールに良い印象を持っていないひとりだった。むしろ「ビール嫌い」だったのだ。
 
 
そんな私が、今、ビールのメーカーで働いている。
一体何があったのだ、とビール嫌いだったころの私を知る人は驚くだろうし、私自身、自分がビールに携わる仕事に就くとは、まったく想像していなかった。
 
 
ところが、今の私にとって、ビールは「人生の相棒」と言えるほど大きな存在となっているのだから、不思議である。
 
 
なぜ、ビール嫌いだった私が、ビールに惚れ込み、仕事にしたいと思うまでになったのか。きっかけは、ある一杯との出会いだった。
 
 
学生のころ、ちょっとお洒落なレストランに入ったときのことだ。カクテルや、ワインの名前がずらずら並ぶメニュー表を眺めていると、ふと見慣れない名前のビールが目に入ってきた。
 
 
「ヒューガルデン・ホワイト……?」
 
 
そのころの私は、ビールに対して嫌悪感すら抱くようになっていた。サークルの飲み会で、ビールを飲みすぎて痛い目を見たから、という理由もあった。しかし、なにより味が好きではなかった。とにかく苦く、舌の上に渋みが残る、あの感じが嫌だったのだ。
 
 
しかし、このヒューガルデン・ホワイトは、なにやら様子が違う。パッケージもお洒落だし、ベルギー産だ。気になって説明をよく読むと、オレンジの皮とスパイスが入っていて、さわやかな酸味が特徴、と書かれている。
 
 
気になる。ビールにオレンジ? どんな味がするんだろう。
私は好奇心に負けて、一杯だけ頼んでみることにした。もし、おいしくなかったらお店の方には申し訳ないけど、残そう。一口だけ飲んでみよう。
 
 
そして、ビールが運ばれてきた。少し不透明で黄色い液体。泡は少なめだ。あまり期待せずに、ゆっくり口を近づけてみた瞬間、私の中に衝撃が走った。
 
 
「お、おいしい……!」
 
 
今まで飲んでいたビールとは、まったく違う味わいだった。まず、香りが違う。オレンジのような、レモンのような、フルーティな香りが広がっていく。飲み口もやわらかで、炭酸のピリピリした感じがまったくない。苦みはほとんどなく、果物のような酸味がここちよい。夢中になって飲んでいると、気付けば一杯飲みほしていた。
 
 
この衝撃の出会いから、私はすっかりビールの虜になってしまったのだった。
 
 
家に帰ってさっそく調べてみると、世界には私の知らないビールがたくさんあることがわかった。ビールのほんの一部しか知らずに、これまで生きてきたことに唖然とした。
 
 
世界には、なんと100種類以上のビールがある。それらを大きくわけると「ラガービール」と「エールビール」の2つのグループにわけられる。日本で飲まれているビールは、「ラガービール」の中でもさらに「ピルスナー」と呼ばれる、たった1種類のビールだ。
 
 
100種類のうちのたった1種類。
それだけを見て、ビールがおいしくないものだと、私は決めつけていたのだ。
 
 
世界のビール事情を知った私は「なんて、もったいないことをしているんだろう」と心から思った。世界中にはたくさんおいしいビールがあるのに、知らないで死んでいくなんて、絶対もったいない。もっとビールの世界を知りたい!
 
 
そう思い立った私は、いろんなビアパブを巡り、さまざまなビールを飲んだ。
ホップの香りがクセになるビールや、野生酵母で発酵させたすっぱいビール、ウイスキーの樽で熟成させたビールなどなど。
 
 
同じ「ビール」というカテゴリーに属していることが信じられないほど、バラエティ豊かな味わいに、私はどんどんのめり込んでいった。
 
 
ひと通り、いろんな種類のビールを飲んだころ、だんだん自分の好みがわかってきた。
 
 
疲れているときは、フルーティな味わいの飲みやすいビールで、のどを潤したい。ゆっくりリラックスしたいときは、飲みごたえのある黒ビールをチビチビやるのが最高。ちょっとしたご褒美には、冷蔵庫で眠らせていたウイスキー樽熟成ビールを開栓しちゃう。といった具合だ。
 
 
そのときの気分に合わせてビールを選ぶと、よりおいしく感じるし、気分も盛り上がる。まさに、ビールは人生を彩ってくれる「相棒」のような存在なのだ。
 
 
苦いだけのビールしか知らなかったときには、到底思えなかったことだ。ビールがそばにある人生が、こんなに豊かだとは思っていなかった。
 
 
ところが、問題が一つあった。
私が好きな個性的な味わいのビールは、アメリカをはじめとする海外産ものだった。近所のスーパーに行っても、売っていないことのほうが多いので、気軽に手に入れることが難しい。
 
 
日本にいながら、もっとビールの世界を広げるにはどうしたらいいのだろう……
 
 
「そうだ、ビール造っちゃえばいいんだ」
 
 
ひらめいた次の瞬間、いろんな種類のビールを造っている、国内のビールメーカーの採用に応募していた。そして、仕事で世界中のビールを飲み、自分の造った新しいビールを世に広めるという、夢のような仕事をしているのだ。
 
 
ビールが嫌いだと思っている人は、たくさんいると思う。
でも、きっと世界のどこかに、あなたにぴったり寄り添ってくれる一杯のビールがある。
 
 
たかがビール、されどビール。
あなたの相棒になってくれる一杯を、探す旅に出てみるのはいかがだろう。

 
 
 
 
 

***

この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加いただいたお客様に書いていただいております。 「ライティング・ゼミ」のメンバーになり直近のイベントに参加していただけると、記事を寄稿していただき、WEB天狼院編集部のOKが出ればWEB天狼院の記事として掲載することができます。

【8月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《日曜コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜《8/11(日)開講!!》

天狼院書店「東京天狼院」 〒171-0022 東京都豊島区南池袋3-24-16 2F 東京天狼院への行き方詳細はこちら

天狼院書店「福岡天狼院」 〒810-0021 福岡県福岡市中央区今泉1-9-12 ハイツ三笠2階

天狼院書店「京都天狼院」2017.1.27 OPEN 〒605-0805 京都府京都市東山区博多町112-5

【天狼院書店へのお問い合わせ】

【天狼院公式Facebookページ】 天狼院公式Facebookページでは様々な情報を配信しております。下のボックス内で「いいね!」をしていただくだけでイベント情報や記事更新の情報、Facebookページオリジナルコンテンツがご覧いただけるようになります。


2019-08-12 | Posted in メディアグランプリ, 記事

関連記事