私が死んでも見ないでください ~デジタル終活のすすめ~
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。
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記事:植咲えみ(ライティング・ゼミ夏休み集中コース)
みなさんは自分が死んだ後に、家族にも見られたくないものはあるでしょうか?
最近終活に関する話をすると、必ずといっていいほどこの話題で盛り上がります。
誰しもみんな、見られては困るものがあるという証拠ですね。
しかし、具体的には何も対策をしていないという方が多いようです。
最近では特に、「デジタル終活」が注目を集めています。
「デジタル終活」の対象になるものは、ハードではパソコンやスマホなどの情報端末、ソフトでは写真や電子書籍などのデジタルデータ、SNSやアプリ、銀行や証券などのネット口座が代表的なものです。
日常的に使っているものの中にも、まだまだあります。
例えばクレジットカードをはじめとする電子決済サービス、モバイルSuicaなどの電子マネー、Amazonや楽天などのショッピングに使っているIDやパスワード、HuluやNetflixなどの動画配信サービス、メルカリなどのフリマアプリ、電子書籍、航空系マイレージ、Tポイントのようなポイントサービス。
みなさんもこの中の一つ以上は使っているものがあると思います。
こうして見ていただくと分かる通り、圧倒的な数のデジタル情報を私たちはすでに持ってしまっているのです。
そしてデジタルの発達と共に、パソコンやスマホの中には自分でも管理しきれないほどの膨大な量のデータが保管されているであろうことは容易に想像ができます。
もし、あなたが死んだら、そのデータはいったいどうなってしまうのでしょうか。
例えば昔の彼女からもらったラブレターだとか、若かりし頃の日記だとか、見たら赤面してしまうようなポエムだとか、きっと見られては困るものを現物で大切に保管している場合もあるでしょう。
しかしこれらは、「物理的に誰かに見られてしまうかもしれない」というリスクがあるため、「隠しておきたい」という意識がすでにあるはずです。
しかし、一方パソコンやスマホの中身についてはどうでしょうか。
たいていの場合、パソコンやスマホにはロック機能が付いています。
ロックされているという安心感から、逆に油断をしてはいないでしょうか。
これがデジタル終活の盲点です。
普段パスワードでロックされているデジタル製品は、ロックされているという安心感からかなりパーソナルな情報が、しかも大量に保管されやすいのが特徴です。
デジタル終活は例えていうなら女性でいう「冬のムダ毛」のようなものです。
夏まで時間があるし、冬の間は見られないし、まぁ今はまだいいやと思っていたら、ふとしたときに恥ずかしい思いをしてしまうかもしれない、そんなムダ毛。
ではどんなときに見られてしまう可能性があるのでしょうか。
人が亡くなると、まず葬儀の準備を始めなくてはなりません。
その時に葬儀の連絡をするために真っ先に必要なのが、親族や友人、知人、会社の連絡先です。
連絡先の一覧が入っているのはどこだと思いますか?
スマホです。
もちろん、昔ながらの紙の電話帳を使っているお年寄りはまだいますし、終活に関心がある人はすでにエンディングノートにまとめているかもしれません。
しかしそれはごく一部。
最近は「電話帳をアナログに書きだす」ことをしていない人が多くなってきています。
だから遺族は葬儀の準備のために、まず故人のスマホを開けようとするかもしれません。
しかしスマホのロックは非常に厳重で、パスワードが分からない場合開くことができません。
ではスマホのパスワードが分からなかった場合、次に遺族がとる行動は何でしょうか。
もう分かりましたね、そう、パソコンです。
パソコンにもロックがかかっていると思いますが、スマホと違ってパソコンに関しては業者に頼めば(パソコンに詳しい方なら自分でも)実は解除することができます。
そしてパソコンの中から必要な情報を取り出す際に、余計なものまで見られてしまう可能性があります。
次に考えられるのは遺影写真を遺族が探している場合です。
特に男性は、遺影に使えそうな写真がすぐに見つからないことが多いです。
もしすぐに遺影として使えそうな写真がなかったら、遺族はスマホやパソコンを開いて画像を取り出そうとするかもしれません。
みなさん、想像して手に汗を書いている人はいないでしょうか。
安心して下さい。
ちゃんと対策も教えます。
先ほども言ったように、連絡先を書きだしておくこと、遺影に使える写真を用意しておくことも終活準備の一つです。
遺族が必要に迫られて無理にスマホやパソコンをこじ開けなくてもいいように、自分が亡くなった後に家族が困りそうなことは、是非エンディングノートにまとめて共有しておいてください。
それでも中身を見られてしまう可能性はやはりあります。そんなときの対策として
① 自分が死んだ後に起きる手続きを生前から誰かに委任しておく
② 「死後の世界」や「ぼくが死んだら……」というソフトをパソコンに設定しておき、自分の死後に指定したデータを削除してもらう
③ 見られたくないデータは専用のクラウドサービスに保管して、インターネットのブラウザーもシークレットモードを使用する
などの対策が有効です。
見られたくないものがある場合には、まず今使っているものから整理して対策する必要がありますね。
死んだ後も自分の尊厳を保つために、そして家族が困らないために、さっそくデジタル終活をはじめてみてはいかがでしょうか。
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