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主婦(夫)業は、もっと感謝されるべき仕事の1つである


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:富田洋平(ライティング・ゼミ夏休み集中コース)

 
 
主夫。
奥さんに仕事をしてもらって、家事と育児をする仕事のことである。
都内でシステムエンジニアとして仕事をしていた僕には、最も縁がないと思っていた仕事だった。
しかし、あるカウンセラー養成コースに参加したことがきっかけで、僕は主夫になった。
 
当時僕は、会社を辞めるかどうか悩んでいた。
端的に言うと、きちんとしていないと罵声が飛び交う職場だった。
振り返ると、プロジェクトのスケジュールがうまくいっていなかったり、お客様との交渉がうまくいっていなかったり、大きなシステム障害が起きたりして、上に立つ人間ほどピリピリしていたように思う。
そんなピリピリがとても苦手で、きちんとしないといけないプレッシャーがきつかったのだ。
 
「洋平、主夫になったらいいんじゃない?」
僕の悩みを聞いたカウンセラー養成コースの同期Nくんが、あっさりとこう言い放った。
会社での人間関係を解消するのがカウンセラーではないか? と思ったのだが、N君に言わせると
「奥さん、十分稼いでいるんでしょ?
奥さんは子供(※1歳)の面倒に手を焼いている。
だったら、洋平が子育てしながら主夫したらいいじゃない」
である。
 
主夫をすることを想像してみた。
男は平日、会社で仕事をして女は家にいる、の逆バージョンである。
実家では、父は働いて、母が主婦をしていたから、男が主夫をしているのってあり得ないなと思った。
はっきり言うなら、かっこわるいのだ。
主夫? ありえないのだ。
僕の想いを見破り、N君の笑みが深まったように見えた。
それからさんざん悩んだ結果、仕事で稼いでくるのを妻に任せ、主夫をしてみることにした。
 
主夫業について話す前に、主婦と主夫の違いをお伝えしよう。
違いはたった一つで、『スイミー』である。
 
あなたはスイミーという絵本をご存じだろうか?
仲間たちがみんな赤い魚なのに、スイミーだけは真っ黒な魚、という話である。
主夫の仕事は、ほかの男性が会社に行く中、平日日中からスーパーに買い物に行くのが仕事である。
スーパーにいるのは主婦である。
そして、
「あれ? なんでこの人、平日真昼間からスーパーにいるのだろう? 働いていないのかな?」
と奇異な目で見られるのだ。
スーパーの買い物だけではない。
子供の健康診断に行く時も、子供が風邪をひいて病院に連れていくときも、主婦が多い時間帯に、いい年した男が闊歩する。
主婦であれば、周りも主婦なので気にならないだろうが、主夫はスイミーのように目立っていて浮いて見えるのだ。
主夫の洗礼といえよう。
「平日の真昼間から男が歩き回っているのが当たり前」という顔をしていたら自然と慣れたが、しばらく気恥ずかしいままだった。
 
子育て込みの主夫業は過酷だった。
まず、僕自身は掃除と洗濯は得意なのだが、料理が苦手だった。
料理教室に通って料理を覚えたが、1品つくるだけで精いっぱい。
毎日の献立を考えるというのは、頭が痛くなる作業だった。
そのうえ、好き嫌いが多い子供に、ご飯を食べさせるのだ。
「食べて」
「イヤ!」
食べないことにイライラして、無理やり食べさせた。
子供は泣いた。
ご飯は進まないし、大声で泣かれた。
イライラが酷くなった。
 
自分の時間を取れないことも、かなりのストレスだった。
主夫を始めて気づいたのだが、一人でいる時間がないとストレスがたまるのだ。
気晴らしの時間がほしかったが、子供は親と一緒にいたくて話したり遊んだりしたいのだ。
本を読んだりしたくても、5分持たずに話しかけられるのが当たり前。
ほかの部屋にいこうにも、アヒルのようについて来たがった。
トイレでさえ一緒に中に入りたがった。
さすがにトイレに一緒に行くのはためらったので、トイレに入れずに用を足してくると、涙いっぱいで待ちかまえられるのだった。
 
他にも、決まった時間に寝かせようとしても寝ない、買い物に行くと毎回買ってとせがんでくる、というように、思った通りに行かないことが当たり前だった。
言葉も通じないので、身振り手振りで判断することも多々あった。
会社員として仕事をしていた時の悩みとは、根本的に違うのだ。
 
もしあなたが男性で、「主婦って楽な仕事でしょ?」と思うなら、一週間でいいので主夫という仕事をしてほしい。
奥さんが、見た目以上に大変な思いをしていることを理解してほしいのだ。
奥さんの手伝いなく、主夫業をしてみてほしい。
子育てというオプション付きの主夫業は、ある種のブラックな仕事なのだとわかるから。
すると
「仕事から帰ったよー。あー、つかれた」
と言って、ソファーに横たわってゆっくりするのが恥ずかしくなるだろうし、主婦している奥さんに感謝したくなるだろう。
少なくとも僕は、恥ずかしくなったし、とても感謝した。
妻は、仕事しながら子育てをするという、兼業主婦をしていたからだ。
 
主婦業は楽な仕事でも笑われる仕事でもない。
立派な仕事である。
我が家は子供1人だが、ぎりぎりだ。
子供を2人、3人と育てているお母さんは本当にすごいと思う。
旦那さんが手伝ってくれないという愚痴は、当然のことだと思う。
 
感謝されにくいこの仕事が、もっと理解されてほしいし、そのためには「男は仕事」と思っている男性にこそ、主夫をしてほしいと思うのだ。
主婦も主夫も過酷で、もっと感謝されていいはずなのだ。
 
 
 
 
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2019-08-20 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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