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私は私のゴッドマザー


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:長谷川せつ子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「アシ、アシガ……?  アシガワ……??」
あ、私のことだ。
すかさず、カウンターへ行って、エスプレッソを受け取る。
私の場合、苗字も名前も、どちらも外国人には発音しつ゛らい名前なのだ。
しかも、ここはパリ。しまった!  「H」は発音しないんだった。
かの有名ブランド、「HERMES」も、最初の「H」は発音しませんよね。
 
こういう時、ニックネームを考えておくのが妥当だと思った。
特に私のような、外国人には発音しつ゛らい名前の場合は。
 
みなさんは、自分のニックネームをお持ちでしょうか?
 
日本人同士なら、初対面でも「~さん」と苗字で呼ぶので、苗字と名前のほかはあまり考えていないことのほうが多い。反面、外国のかたは、「~って呼んで」と自己紹介の後に、すかさず言ってきたりする。とてもフレンドリーに。
海外ドラマや映画でも、登場人物はみな、ニックネームや愛称を使っている。
 
ほんの数年前と比べれば、びっくりするくらい、街には海外からのお客さんであふれている。折しも、来年は東京オリンピック・パラリンピックも開催され、更なる観光客も押し寄せてくる。
外国の方にも、呼びやすいニックネームであれば、距離もぐっと縮まるのではないだろうか。コミュニケーションを円滑にする意味でも、かなり有効な手立てだと思う。
 
そもそも、ニックネームって、どんな風につけているのでしょう。
 
おもえば、小学生のころ。自分の名前が「古くさいなぁ」と思っていたので、変えるとしたら、どんな名前がいいか。布団に入ってからよく考えていた。
「ルミ子」「真理」「リンダ」…… なんてことだ。流行りのスターの名前しか思い浮かばなかった。
それ以来、この課題の答えは見つからないまま、あの日の、ショッピングの合間にふらっと入った、パリのスタバでの出来事になってしまったのだ。
「出来上がったら呼ぶから、名前を教えて!」と、恐らくそう(フランス語訛りの英語で)言っていた。
下の名前も呼びにくいだろう、と思い、
うかつにも「Hasegawa」と、長いスペルを伝えてしまったのだった。
挙句の、「H」除きの、「アシガワ?」的な呼びかけ。
こんな時は、くそ真面目に本名なんか告げなくていいのだ。
相手が読みやすい、呼びやすい名前にしたほうが絶対いいに決まっている。
 
そんなわけで、どんなのがいいか、あれこれ考えてみた。
 
その結果、カタカナ表記で二文字が丁度いい! という事に気が付いた。
そうすれば、ローマ字表記が簡単だ。
一緒に旅していた友達の名前を見たら、一目瞭然だった。
ローマ字で表記した時に、「Emi」「Sato」「Yuri」。紙コップに名前を書いてくれるのだが、伝えやすいし、店員さんも書きやすい。呼びやすい。
 
「これだ!カタカナ二文字!」
 
名前の最後の「こ(子)」や「み(美など)」、「え(枝・江など)」を除くと、おおかた二文字。
男性の場合はどうだろう。「圭佑」なら「Kei」,「健二」なら「Ken」、「ヒロシ」なら「Hiro」などなど。
やはりカタカナ二文字が丁度よさそうだ。
ただ、世界的に有名なら、「Ichiro」、「Yoko」などはそのままで大丈夫なんじゃないかと思う。あくまでも発音しつ゛らい場合のみで、そのまま使えるならそれに越したことはない。
 
そのほかにも、ニックネームが必要だと思われることは多々ある。
例えば、英会話教室で。グループレッスンで、教室内ではニックネームで呼び合う。自己紹介でもとても役に立つ。
はたまた、インターネット上での、いろんなサイトの自分の呼称などなど……
 
そう思うと、名前を考えるのがますます楽しくなる。
人から何と呼ばれたいか。自分で好きな名前を決められる。
もうこうなったら、外見無視の欧米風の名前などでも、全然アリだ。
むしろそのほうが、外国人には発音しやすい。
今はもう小学生じゃないんだ。
流行りの、芸能人の名前だけじゃない。
好きな映画のヒーロー・ヒロイン、ミュージシャンの名前、画家や絵画の名前、歴史上の人物、などなど……。
または、あらゆる言語から、ヒントを得てみてもいい。
例えばサンスクリット語で、「~という意味ですよ~」とか。
 
そして、それをカタカナ表記で二文字にアレンジしてみたりもする。
楽しい。書き出してみても、沢山ある。大きなお世話だが、夫の名前も考えてみる。
こうなったらもう止まらない。「自分」関係なく、好きな名前のオンパレード。
挙句の果てには、有名人の名前の由来も調べてみる。
なぜ、その名前を付けたのか。
「名前」にはさまざまな意味が込められている、ということがわかる。
名付けた人の想いが込められているわけだ。
 
私には二人のゴッドマザーがいる。
おばあちゃんと私だ。
この世に生を受けて、皆から何と呼ばれるのか。「私」を表す固有名詞。それを付けてくれたおばあちゃんに感謝する。
そして、これから、私は私のゴッドマザーになる。ニックネームの。
誰もが呼びやすい名前。
「それ、どんな意味?」 と想像するような名前。
「もしかして、アレ由来?」 と思わせるような名前。
 
あなたもニックネーム、考えてみてはどうでしょう?
「~って呼んで!」
もし、相手との距離を縮めたいなら、最高のコミュニケーショツールであること間違いない。
 
自分の名前を自分が決める。
ITが進んだ今となっては、既に、あらゆるところで、「ID」という名前を持っている。
が、しかし、その無機質なものとは別の、親しみの持てる、呼びやすい名前を、名付ける。
名前を付けるという事は、ニックネームと言えども、新たなアイデンティティを持つことに他ならない。
 
先ずは、海外のスタバで、呼ばれることにスポットを当てて考えてみようっと。
 
 
 
 

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2019-08-26 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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