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落語に学ぶ人生哲学


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事: 清水佳哉(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「一(ひい)、二(ふう)、三(み)、……」
「七(なな)、八(やぁ)、」
「そば屋さん、いま何時だい!?」
 
「へいっ! 九(ここのつ)で!」
 
「十(とお)、十一(じゅういち)、十二(じゅうに)、……」
 
古典落語の中でも有名な、「時そば」の一節である。
落語の中身はというと、小銭でお蕎麦のお勘定をする際に、わざと途中で時刻を聞いて計算に被せ、小銭一枚分の支払いをごまかすという、詐欺の手口の紹介である。上手く蕎麦屋を騙しきった詐欺師と、見様見真似で失敗する男との対比が描かれた滑稽な話として語り継がれている。
 
ちょっとした騙しのテクニックではあるが、この詐欺の手口を素人が真似したところで、簡単に出来るものではない。
 
落語そのものにも、そんなところはあって、古典落語というものは毎度ストーリーが決まっていて、それでいながら、毎回、必ずお客さんを笑わせる事必要があるという、考えてみたらなんともハードルの高い離れ業をやってのけているのである。
 
話が始まるよりも前からオチが分かっている。それでも噺家(はなしか)さんたちは必ず笑わせてくれる。期待を裏切ることはない。
 
そんな、噺家さんたちは日々努力を重ねている。
 
私は営業マンであったが、その仕事もなかなか難しいものであった。
 
我々が売る商品は、先輩も後輩も関係ない。上司も部下も関係ない。
売る商品は一緒。
 
いつも同じものを、同じように説明し、買っていただく。
みな揃って同じものを売る。
 
それでも営業成績には歴然と差がつくものである。
 
お客様とのアポイントさえ満足に取ることの出来なかった新人。
そんな私は、自分との違いが知りたくて、上司に喰らいついた。
 
最初は電話からだ。
 
初期営業の初歩の初歩、電話でアポイントを入れるところからスタートだった。
上司に横で聞いてもらいながら電話した。
 
「弊社商品の説明に伺いたいので、お時間をちょうだい出来ませんでしょうか?」
 
そんな私と電話を代わり、今度は上司がかけ直してみせてくれた。
 
「弊社商品のご紹介をさせて頂きたいと思いまして、よろしければお時間を……」
 
「説明」と「紹介」
 
この2つの用語の違いが何をもたらしたのか?
 
確かに「ご紹介……」とやり始めたら、アポが取れる確率が一気に向上した。
 
お客様を訪問した際にも違いがあった。
 
実際に客先に行くと、仕事の話ばかりをしていた。それが私だった。
 
上司はというと、新人のこちらが心配になるくらいに仕事の話をしなかった。
 
どうやら、お客様との距離を縮める、親近感を高めることを優先しているようだった。
 
全体に占める仕事の話の割合は、約2割ほどに感じられた。
 
最終的には「売る」ということが目標だったので、どんな方法を選択しても良いとは思ったが、実際に上司の売上金額は、私と比較して、数字の桁が違った。
 
「如何にお客様に寄り添うか」
 
そこに営業マンとしての仕事の鍵がありそうだった。
 
それまで私は勘違いをしていたのだと思う。
商品知識を高めて、提案の内容や方法を学び、実戦に使用していた。
 
でも、それは、あくまでも知識であり、いわば「能書き」でしかない。
 
対して、私の上司が行っていたのは、お客様との距離を、段階的に縮めていき、親近感を作り出し、それを高めて、売上に結びつけること。
言うなれば、それは意図されたプロセスであり「筋書き」だった。
 
「知識」よりも「プロセス」
「能書き」よりも「筋書き」
 
大切なのはこちら側だったか……。
 
本で知ったり、学校で教わったり、
 
知っているだけでは何の役にも立たない。
「知る」と「やる」では大違いだ!
 
知っていることと行えることは違う。
 
また、ちょっとやそっとやってみたくらいでは、決して上手くはならないようだ。
 
私の営業がそうだった。
 
恥ずかしながら、体得するまでには年単位の時間を要した。
 
「やる」だけではなくて「やり続ける」ことをしないと身につかないことを知った。
 
噺家さんも日々訓練。営業マンも毎日が実践。
 
「落語」と「仕事」には思わぬ共通点があった。
 
そしてきっと、「人生」も同じなのだと思う。
 
師匠が言った。
 
「行動に移さないんだったら夢なんて見るな!」
「だってそうじゃないか? 何ひとつ行動しないで、夢を実現した人間がおるんか?」
 
人生を思い通りに生きようと思ったら、日々の努力、その行動は必須なのだ。
 
「人生は能書きじゃない! 筋書きだ!」
 
ただただ愚直に行動あるのみと教えられた。
 
きっと未来は変えられる。
 
そう考えると、なんだかだんだんワクワクしてきた。
 
自分自身の人生の噺(はなし)に、オチは必要ない。
 
我々が、紡ぎ出すのはハッピーエンドだ。
 
 
 
 
***
 
 
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2019-08-23 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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