メディアグランプリ

スパイスカレーに感動した話


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:藤井 美穂(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
 
「わっ、何これ、美味しい!」
 
思わず目を見張り、お皿の中のカレーをまじまじと見てしまった。
 
最近、ひょんなことでいただいたカレーの本を見て、スパイスカレーなるものを作ったのだ。
 
本のタイトルは『私でもスパイスカレー作れました!』。著者は印度カリー子さん。お名前からして、相当カレー好きなのだろう。そのような人が「私でも作れました」と言っても、「いやいや、あなただから作れたんでしょう!」と思ってしまう。
 
そんな私の心を見透かしたのか、本をくれた人が私に「本当に作れるよ」と言った。
 
その言葉を聞いて、「そうですか」と言ったものの、手で持っている本の表紙を数秒間じっと見つめて考えてしまった。
 
「本当に作れるよ」とはどういうことか。なぜか気になりつつ、しばらくして、それはもう、試してみたいという欲求が膨らんでいるからだとわかった。
 
ゴールデンウィークの初日、朝7時に私は東京駅にいた。北陸新幹線の自由席を確保するために、発車時刻よりも1時間早く並んでいたのだ。
 
立って並んでいる間、あのカレーの本をおもむろに取り出し、読んでみた。読んでみたといっても漫画なので、半分見ている。
 
ほんわかした絵が、印度カリー子さんのカレーへの熱い情熱をマイルドにしているようだった。
 
その本によれば、スパイスカレーはシンプルな材料と、シンプルな手順で作ることができ、最短20分で作れてしまうのだとか。
 
玉ねぎを切るところは多少時間がかかるだろうなと思いつつ、確かにそのレシピに複雑さはない。
 
もう俄然作りたくてたまらくなった。1人で鼻息荒くなっていたが、ここはまだ東京駅のホームだ。乗り込む予定の新幹線もまだ来ていない。新幹線に乗る前に本を読み終わってしまい、「ふーっ」と一息ついて興奮を収める。
 
「よしっ、旅行から帰ってきたらカレーだ!」と心の中で決意する。
 
果たして、1泊2日の短い旅行から帰り、いよいよカレー作りだ。
 
まずは材料の買い出し。
とはいってもそんなにたくさんのものを買う必要はない。
キッチンにあるスパイスを見たら、クミンはあったので、コリアンダーとターメリックを買う。野菜は、玉ねぎ、トマト、しょうが、にんにく。
基本はこれでよい。
 
初日のメインはナスにした。
カリー子さんの本だと、メインの具材は1つにする。多くても2つ。
なぜなら、たくさんの具材が入ると味が定まらないから。
 
あとは、あっさりカレーにするか濃いカレーにするか、ベースを決める。
あっさりカレーなら、水を入れるか何もいれない。濃いカレーなら、生クリームやココナツミルクを使う。牛乳は中間くらいか。
私は普段、豆乳を使っているので、カレーにも豆乳を入れることにした。
 
まとめるとこんな感じ。
 
基本の材料+メインの材料+ベース=今日のカレー
 
メインが変わっても、作り方は毎回ほぼ同じ。しかも、フライパン1つでできる。
 
なんて簡単!
 
基本を覚えてしまえば、メインとベースを入れ替えるだけ。
 
慣れてきたら応用編で、スパイスを1種類増やしたりする。そうすると、さらにカレーの世界が広がる。
 
果たして初めてのスパイスカレーのできはどうかといえば、冒頭の「わっ、何これ、美味しい!」である。
 
本をくれた人は言葉足らずだった。「本当に作れるよ」は大事な部分がはしょられている。
 
「本当に美味しく作れるよ」
 
これが本当の意味だろう。本当に美味しく作れた。
 
玄米との相性もよく、まさにエスニックという感じだった。
 
さて、気をよくした私は、それから週に3日はカレーを食べるようになった。
 
ずっと使わずにしまってあったフードプロセッサーをひっぱり出して、玉ねぎとにんにく、しょうがのみじん切りを時間短縮した。
 
みじん切りしたものを炒めて、スパイスを入れて炒め、トマトを加えて炒め、メインの具材を入れて炒め、水や豆乳を入れて煮る。これだけ。シンプルだ。
 
ところが、3回くらい作ると次第に我流になってくる。もともと面倒くさがりなので、少しずつ手を抜くようになる。
玉ねぎを10分炒めるところを7分くらいにしたり、水を入れてから10分煮るところを早めに火を止めてしまったり。
逆に、メインは多くても2つのはずなのに、あれもこれも入れたくなり、いつの間にか具材が増えている。
 
そうすると、当然ながら味も変わる。初めのあの感動はどこへ行ったのか。
一口食べて、無言になる。「……おかしい。もっと美味しいはず」と思う。
やはり基本は大事なのだ。
 
カレーを作るたびに写真を撮っているが、これもまたちょっと困ったことがある。
ビジュアルがあまり変わらないのだ。
 
気に入ったお皿をつい使ってしまうため、まず色味がほぼ一緒。メインの具材はあまり形は主張しない。骨付きチキンくらいしっかりした形だとわかるのだろうけど。
 
美味しい味を求めて基本に戻り、たまにはお皿を変えて、ビジュアルにも変化をつけてみよう。そうすれば、カレー生活も進歩するだろう。
 
ちなみに印度カリー子さんは、カレーを毎日食べて1年間で7キロ体重が減ったそうだ。美味しくてダイエットにもなるなんて、なんて素敵なんだろう!
だからスパイスカレーはやめられない。
 
 
 
 
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2019-08-29 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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