メディアグランプリ

時間は未来からやってくる


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:ひめさとこ(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「君の時間は、どうやら、過去から流れているようだね?」
そう言われて、私の頭は、混乱した。
 
この日、私は「コンサル」というものが
どんなものなのか? それが知りたくて
今、目の前にいる男性に逢いに来たのだった。
 
「僕の時間は、未来から流れているんだよ」
そう言われて、私の頭の中は、さらに混乱した。
 
未来から時間が流れる?
そんなことあるはずない!
この人は、頭がおかしくなったのだろうか?
 
そんな私の気持ちとは裏腹に
彼は、おだやかに話を続けた。
 
「君の時間は、全部、過去、こうだった。
だから……やりたいけど、できない。って
否定しちゃってるわけ。
会社を辞めることも、デザインを学ぶことも。
 
そうだなー
塗り絵みたいなものだよ。
君の紙には、過去の塗り絵の線が書いてある。
だから……そこに新しい絵は描けない。
 
僕の紙には、未来の塗り絵の線が書いてある。
だから……色を塗るだけで、未来の理想の自分になれる。
 
過去の線を今に持ってくるのと、
未来の線を今に持ってくるのでは、
人生は大きく変わる。
 
なんとなく、わかった?」
 
彼の言う通りだった。
私は、会社を辞めたいけど……辞めると生活できなくなる。
デザインを学びたいけど……お金が無い。と
彼に言ったところだった。
 
でも……どうやったらいいの?
 
私の頭の中を覗き込んだかのように
彼は、アドバイスをしてくれた。
 
「こうなりたい! そのために、今、何ができる?
って考えるといいよ?」
 
「仕事を辞めるために……今、何ができる?
デザインを学ぶために……今、何ができる?」
つぶやいてみた。
 
「貯金。勉強。でも……お金が無い」
 
「ほら、また、過去の線を持ってきた!
本当にお金がないと、勉強できないの?」
 
そう、彼に言われて……
頭の中で、グルグルとリサーチを始めた。
ホントにお金が無いと勉強できないのか? 私。
 
「そっか。YouTubeとか、本とか?」
視界が明るくなった気がした。
 
「そうそう。本当にお金が必要だったら……
貯金だってできるし……
クラウドファンディングで支援してもらってもいい。
今、使っているお金を見直してもいいかもね?」
 
なるほど!
今、できることは、たくさんありそうだ。
なのに……私は、ムリ! と決め付けて、
やろうとしてなかったし……考えようともしていなかった。
 
「本当は、今この瞬間は、誰の人生も白紙なんだ。
未来の線も描いてない。もちろん、過去の線も描いてない。
その真っ白な紙に、どちらの線を描くか? は、個人の自由だよ。
でもね……。
本当に、人生を変えたいと思うのなら、
その真っ白な紙に、理想の未来の線を描くんだ。
その描いた理想に、自分自身を近づけていく。
それだけで、人生は、どんどん変わっていくよ?」
 
彼の話を聴いて……私は、言った。
「理想の未来の線……。
それが、はっきりしていないのかも?
どうしたらいいんですか?」
 
「そうだよね。
じゃあ、聴くよ?
パズルを作る時って、どうやって作る?」
 
「出来上がりを見ながら、
わかるところから、合わせていきます」
 
「そうだよね。
それと一緒。
わかるところから、近づけていけばいい。
それが、さっきのYouTubeとか、本とかだよね?」
 
理想像は、ハッキリしないが……
とにかく、わかるところから、やってみろということのようだ。
 
私が納得していないのを感じたのか? 彼は続けて説明してくれた。
「アドラー心理学って、聞いたことある?
アドラー心理学には、優越性の追求っていう言葉があってね。
誰もが、常に向上したいと願い続けると言うんだ。
だから……理想像は、鮮明でなくてもいい。
例えば……オリンピック選手は、当たり前だけど……
オリンピックを目指すよね?
じゃあ、オリンピックが終わったら……どうなると思う?
人によっては、さらに次のオリンピックを目指すだろう。
また、人によっては、また別の何かを目指すかもしれない。
きっと、人は、死ぬ瞬間まで、理想を追い続けるんだと思う。
そして……死を迎えるその瞬間に、
自分の人生のパズルという絵ができあがるんじゃないかな?
僕も、死んだことが無いから、わからないけど……
僕はそんな風に思うんだ。
だから……今、完璧な理想が描けなくたっていい。
それよりも、一歩進んでみて、このまま進んでみたいか?
違う道に行ってみたいか? 考えてみる方がいい。
真っ白な紙を前に、完璧な絵が描けないと悩んでいても、
一歩も前に進まないよ?
やってみて、感じてみるんだ!
このコーヒーだって、飲んでみなきゃ、味がわからないのと一緒だよ」
そう言って、彼は、残っていたコーヒーを飲みほした。
 
「はい! ありがとうございます!
帰りに、本屋に行って、デザインの本を探してみます!」
私の気持ちは、もう、未来に向かっていた。
 
過去から時間が流れるのか? 未来から時間を流すのか?
そして……誰と出逢うか? で人生は変わる。
私は、この人に出逢って、未来が明るくなった。
 
 
 
 
***
 
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2019-09-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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