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「ジリツ」力のススメ


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:夏秋裕子(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
「なんでそんなに色々なことができるの?そのパワーはどっから来るの?」
友人達にたびたび聞かれる言葉です。
私は企業でワーキングマザーとしてメンバー3人をマネジメントしながら、毎日本を読み、休日は勉強会を開催したりワークショップを行ったりしています。
ただでさえ忙しいのに、なぜそこまでするのか。それは「一生自立して生きていく」ことが私の目標だからです。
 
こうしたことを考えるようになったのは、小さい頃の家庭環境にあります。
私の家庭は父が企業で働き、母は専業主婦、といういわゆる「昭和の一般家庭」でした。高度成長期からバブル時代にかけて父は典型的な企業戦士で、毎日深夜帰りはもちろん、土曜も終日出社しているような人でした。
幼い弟と私の世話を一手に引き受けた母の姿を見ていて、子供心に「自分の時間はいつあるのだろうか」と思って過ごしていました。また貧しくもなかったけど裕福でもなかった我が家では、私たちの教育費のために母はいつも古い服を着ていました。母のことは大好きでしたが、子供心に「自分は一生できる仕事を持って、経済的にも時間的にも自立した人生を送ろう」と決めていました。
 
当時は「経済的に自立する=企業で働く」ことだったので「企業で働くために特に女性には学歴が必要だ」と思い、一生懸命勉強しました。その甲斐もあって無事大学に入学し、「女性が子供を産んでも一生働けそうな会社」を選んで就職することができました。
 
こうして社会人生活が始まり「毎月決まった額が口座に入ってくる経済的自立」を手に入れました。すると今度は「組織の中に居場所を作りたい。頼りにされたい」と思うようになりました。配属された場所で自分の居場所を作るために、先輩から言われたことは何でもしました。1日何百枚ものコピーやPOPの印刷、会議準備、店頭を回って注文を取ってくる、などがむしゃらに働きました。こうした働きが「組織の一員」として認められ、営業担当として得意先を担当させてもらうことになりました。
 
しかし、今から十数年前はまだ女性営業が珍しかった時代。得意先からの信頼を得るのに苦労しました。得意先に行っても話を聞いてもらえなかったり、飲みの席でただのお酌係と勘違いされていたり。
「一営業担当者」として認めてもらうのに、数年かかりました。得意先に認めてもらってからは、社内でも自分の存在や意見を尊重してもらえるようになりました。
ようやく「職場に貢献できるプロとしての自立」を手に入れたのです。
 
これらの自立するための活動プロセスを振り返ると「自立」にも色々な段階があるということに気付きます。
最初は「経済的自立」次に「組織の一員としての自立」、更に「仕事のプロとして尊重される自立」というプロセスです。
これは有名な「マズローの五段階欲求」のステップそのものでした。マズローの5段階欲求とは、人間の欲求が「生理的欲求」「安全の欲求」「社会的欲求」「承認の欲求」「自己実現の欲求」と五段階に分かれていて、一段階クリアすれば更に高次の欲求が湧いてくる、というものです。あるステージの「自立」が得られれば、次のステージでの「自立」がほしくなる、という欲求が自然と湧いてきました。
 
更に、格段階での自立を得ていく過程で、もうひとつ必要な「ジリツ」力があるのではないかと考えるようになりました。その「ジリツ」力とは「自律力」です。
「自立」と「自律」はどう違うのでしょうか。広辞苑で言葉の意味を調べてみると、
 
・自立:他の援助や支配を受けず、自分の力で判断したり身を立てたりすること。
 
・自律:他からの支配・制約などを受けずに、自分自身で立てた規範に従って行動すること。
 
とあります。「自立」は他者からの支配を受けずに身を立てている「状態」、「自律」は他者からの支配を受けずに自分で決めて「行動すること」と解釈しています。
日々の「自律した行動」の積み重ねによって「自立した状態」に到達できるのではないでしょうか。
 
これからは「人生100年時代」と言われ、IT技術の発達により今ある定型的な仕事はなくなると言われています。そのような世界ではこれまでの「既成概念の中での正解」を見つける力ではなく、「自分が世の中のためになると思った正解(=価値)を創る力」が必要になるでしょう。まさに「マズローの五段階欲求」の「自己実現」欲求を満たし、自立することが重要になるのです。
 
「自分が作りたい世界」は人によって十人十色。それぞれ個人の経験を生かして、自己実現を叶える世界を作るにはふたつの「ジリツ」力が必要であると感じています。「自分の行動を自分で決める自律力」。それはいつもより30分早く起きて、自分の興味のある分野の本を読むことだったり、残業を切り上げて全く知らない分野の勉強会に参加することだったり。例え小さなことでも、誰に命令されたものでもない「自分で決めた行動」を積み重ねることによって「自分が世の中のためになると思う正解」を見つけるための種を植え、育てる。そうすることで、少しずつ自分がしたいことを世の中への価値に変えて、「経済・時間・人間関係で自立する力」を得る。こうしたふたつの「ジリツ」力を蓄えた個人が依存ではなく共創することで、彩りに満ちた社会が生まれるのではないか。そんな想いを込めて、まずは自分が「ジリツ」力を鍛えるためにいつもより少し早い目覚ましをかける。
 
 
 
 
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2019-09-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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