メディアグランプリ

ポケットに、子どもの頃の夢


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:伊藤真希子(ライディング・ゼミ日曜コース)
 
みなさんの子どもの頃の夢は何だっただろう?
スチュワーデスになって世界を飛び回る、保育士さんになって小さい子の面倒をみる、歌手になってテレビに出る、ケーキ屋さんになって自分のお店をもつ。
男の子だったら、サッカー選手になってワールドカップに出る、学校の先生になって母校の教壇に立つ、お医者さんなって人の命を救う、宇宙飛行士になって月に行く。
 
夢は一つだけではなく時々で変わり、たくさんあった人もいるだろう。たった一つの夢をがむしゃらに、真剣に追いかけて、叶った人、叶わなかった人もいるだろう。進路を決めるとき、子どもの頃の夢はそれとして、現実的なものを新たな自分の夢として選択した人もいるだろう。子どもの頃の夢なんてすっかり忘れてしまって、小学校の文集を見てようやく「あー、そんな夢もあったなあ」と思い出す人もいるだろう。
そんな子どもの頃の夢は、大人になった私たちの道をふと照らしてくれることがある。
 
私には、会社を早期退職した年の離れた友人がいる。
彼はいつでも好奇心にあふれ、さまざまな活動に精力的に参加をしている。会社という組織を離れると途端に自分のやりたいことが見えなくなってしまい、時間を持て余す男性も多いと聞くが、彼はいつ会ってもやりたいことがいっぱいで、いつだって時間が足りなさそうだ。新しい遊びを思いついた少年のように、いつもキラキラと目を輝かせている。
 
ある日、新宿三丁目のいつもの中華料理屋で紹興酒を酌み交わしながら、彼の最近の活動について話を聞いていた。少しご無沙汰している間に彼は活動の幅をさらに広げていた。
「いつも楽しそうですよね。会社辞める時からやりたいことがそんなにいっぱいあったんですか?」と聞くと、「そうじゃないよ」という答え。「そんなに活き活きと第二の人生を歩む秘訣は何?」と聞くと、彼はグラスを片手に笑いながら、彼が実践しているメソッドを教えてくれた。
 
子どもの頃の夢をリストにすること。
 
完全な『夢』という形になっていなくても、子どもの頃に好きだったこと、褒められてうれしかったこと、やってみたかったけれどできなかったこと、そういうものをリスト化して、その中からやりたいこと、すぐやれそうなことにどんどんチャレンジをするそうだ。
子どもの頃に心に撒かれたいくつかの種。その時には発芽しなかったものを、もう一度、あらためて育ててみるのだ。その中には、やっぱり芽が出ないものもあるだろう。でも育てることは毎日を楽しく変化させてくれるし、中には、大きな花に育つものもある。
別の友人のお父さんは定年退職された後、昔から興味のあった、でも一度もやったことのない油絵を習い始めた。最初は家に飾る小さな作品を趣味として描いていたのだが、いつしか本格的に取り組み始め、スケッチ旅行に出かけたり、大きなキャンバスに向かったりするようになった。そして、とうとう美術団体の公募展で入選。今では銀座のギャラリーで定期的に個展を開くまでになっている。
 
子どもの頃の夢は、コンパスのようなものだ。
道に迷った時に取り出すと、進むべき方向を指し示してくれる。
自分が立ち止まってしまった時、どちらに行けばいいかわからなくなった時、進みたいと思う方向も見えなくなってしまった時、ポケットから取り出すコンパス。
職業にしなくてもいい。それで食べて行こうなんて考えなくていい。ただ、子どもの頃から自分の中にあった種を育ててみる。種は次第に私たちの毎日に潤いを与えてくれたり、楽しい仲間と出会わせてくれたり、新しい世界に足を踏み入れるきっかけとなってくれる。
 
子どもの頃の夢のリストに取り組むのは、退職後でないとだめだろうか?
最近自分の進みたい方向が見えなくなってきた。
同じところをグルグル回っている感覚で、精彩を欠いた毎日。
じゃあ私の夢は何だっただろう? と考えてみた。
パン屋さんで面白い形のパンを作りたい、お料理の先生になって3分クッキングに出たい、お医者さんになって病気の人を治してあげたい。
私は移り気で、いろいろな夢のある子どもだった。
そんなたくさんあった夢の中で、最近ふと思い出したものがある。
小学生の頃、まったく読書家ではなかった私だが、まっさらなノートの表紙にマジックでタイトルを書き、表紙の裏側に登場人物を書き、シチュエーションを考え、小説「のようなもの」を書くのが好きだった。物語を考える時間が好きだった。ただ、なかなか先に進まず2ページくらいで毎回挫折するのだが……。そんな中途半端なノートが私の部屋にはたくさんあった。
 
そんなことを思い出した朝の通勤電車の中で、たまたまライティング・ゼミの広告が目に飛び込んできた。2ページで挫折していたあの夢のもう少し先、あの続きを書くならば、この講座は役に立つのではないか? そんな思いで受講を決めた。
コンパスが指し示す方向に向かって、歩き出す。ポケットに夢を忍ばせて。
 
 
 
 
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2019-09-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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