メディアグランプリ

危うく変わらないままに終わるところだった


*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

【10月開講】人生を変えるライティング教室「天狼院ライティング・ゼミ《平日コース》」〜なぜ受講生が書いた記事が次々にバズを起こせるのか?賞を取れるのか?プロも通うのか?〜

記事:久保田真凡(ライティング・ゼミ平日コース)
 
 
変わる人と変わらない人の違いはどこにあるのだろう。
私は今のところ後者である。残念ながら。
 
昨年の年末に堀江貴文氏の「多動力」を読んだ。複数の肩書きを持ち,それを平行して同時にこなす能力を持てば,あなたは唯一無二のレアな存在になれる,という内容だった。
 
「これだ,多分これしかない」
素直にそう感じた。
 
独身時代,私は東京の呉服屋で販売員をしていた。夫との結婚を機に香川に移り住み,そこでは不動産会社で営業をした。妊娠・出産を機に復帰したが,営業職に差し支えが生じはじめ,子どもの生活とリズムがそろえられる事務職になった。2人目を出産した後は,電車で往復1時間半の通勤時間が勿体なく感じ,自宅から車で15分の法律事務所に勤めている。
 
生活スタイルや,自分を取り巻く環境の変化に応じて,自分が楽しくいられる場所を優先してきた結果,私は1つのコトを長くやり続けたことがない。35年という人生の中で,一番長く継続できたのは小学校通学,義務教育だ。それがなんとも悲しくて仕方なかった。そこまで強制されないと続けられないほど,私は根性無しで,飽き性。そう思っていた。
 
そんなところに出会った「多動力」という言葉。当時,私の住む地方でも「多動力を身につける」という類のセミナーは随分多くされていた。それで,興味が湧き本を手に取った。
 
内容は,読めば読むほどフムフムとうなずけるものだった。
 
堀江氏が言う多動力とは随分かけはなれているかもしれないが,小さな子どもを持つ私は,母になり生活が一変したおかげで,複数の家事を同時にこなす能力がぐんと上がった。
洗い物をしながら,子どもの食事の準備をする。その間に洗濯機を回し,子どもに「お母さんトイレ~」と呼ばれたら,トイレのお世話もする。キッチンに戻る途中に掃除機もかける。家事全般と一括りに言ってしまえばそれまでだが,子どもに中断されることが前提の日常生活の中で,これらの家事をこなすのは結構大変だ。
さらには,時間を読む力,段取りする力もつき,予測不能の事態にも強くなったと感じている。
 
「これだ。肩書きを増やそう」
なんの根拠もないが,直感的にそう感じた。
 
子どもの成長とともに私のライフスタイルは確実に変化していく。今の生活は子どもが保育園を卒園する3年後にはもうない。長女が高校生を迎える10年後にはさらに変わる。
その都度都度で母の役割をきちんと果たしながらも,フレキシブルに社会と関わっていくには,今の家庭における多動力の範囲をもう少し広げて,家庭の外に肩書きを複数持つことで私の人生は随分と生きやすく,そして楽しいものに変わるだろう。
そう思った。
 
そして今年の始めに,私は「家庭の外に自分の肩書きを2つ増やす」という目標を立てた。
 
タイミングというのは,面白いことに立て続けにやってくる。この目標を立てた2ヶ月後私はある人から「うちのWEBサイトで記事を書いてみないか」と誘いを受けた。自分が記事を書くなんてと思ったが,その人いわく,私はこれまでの経歴で東京や地方で販売や営業をしながら,たくさんの人のパターンを見てきている,それが今回の仕事に活かせそうだという話だった。自分の気付いていない自分の可能性を見出してくれた。私はライターという肩書きを増やすチャンスだと思った。
 
そして私はその誘いを受け,とある書店のライティングゼミを受けることにした。
ライティングゼミはとても面白いものだった。毎回衝撃を受けたり,今までぼんやりと感じていたことが「なるほど,そういうことか」と納得できるものに変わったり,それは楽しい時間で,現在も受講中だ。
 
しかし,私はこのゼミの中であることから脱落した。課題提出だ。1週間毎にやってくる締めきりに2000字の記事を提出するという課題から脱落した。ネタが無いとかそんなことではなかった。書かなかった。
今年肩書きを2つ増やすと決めた私は,いくつか新しいタスクを自分に課したのだが,それをこなすことに慣れておらず,自分のキャパを超えそうだった。こういうときに割を食うのはおよそ家庭だ。夫であり,子どもである。それではならんと,何か自分の抱えてるタスクを手放そうとしたとき,それはまだ習慣化されてない新しいタスクだった。課題提出はそのうちの1つだった。
 
課題は提出しないものの,ゼミは毎回受けていた。とても楽しく,毎回お腹いっぱいになっていたが,この充実感がとんでもない勘違いと,つい先日気がついた。
 
課題提出した人と課題提出してない私の差。それはアウトプットしているかどうかだ。
前者は変わる人で,後者の私は変わらない人。
変わる人というのは,実践する。インプットした分,アウトプットして徹底的に経験を積み上げていく。一方変わらない人は,学んで自分の知らない知識が増えただけでどこか満足しているのである。そしてインプットした記憶はアウトプットされないので,体得することはできず,時間と共に忘れ去られる。
 
思えば,私は昔から本を買うと満足するタイプだった。参考書を買ってそのまま。教材を買ってそのまま。そんなことが多くあった。私はずっと変わらない人だったのだ。ずっと学びたいだけの人だった。
 
危うく変わらないままに終わるところだった。今回も「自分を変える」と決めて,提出し続ける決意が足りなかったのかもしれない。決めることとアウトプット,今の私に最も必要なものだ。
 
変わる人と変わらない人。
私は今日まで後者だった。そして,今日から前者になる。
 
 
 
 
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2019-09-05 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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