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メディアグランプリ

好きな相手が、たまたま


 
*この記事は、「ライティング・ゼミ」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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記事:末森優花(ライティング・ゼミ日曜コース)
 
同性に告白された。
 
心当たりは、ある。
当時ハタチだったわたしは、その場でうまく返答することが出来ず、呆然と立ち尽くしてしまった。
 
それまで恋愛対象が異性であった自分にとって、女性同士、男性同士がお付き合いすることは、漫画か映画の中の話だと思っていた。女の子と付き合いたいと思ったことはないし、縁のない話。
それならなぜ自覚があったのかと言うと、その相手とのあいだに「友情以上のなにか」を、ひしひしと未経験ながらも感じとっていたからであろう。
 
告白してくれた人は、知り合って二週間足らずであった。
車の免許取得のため、県外へ短期合宿に来ていた。そこで知り合い、講義も宿も一緒に過ごすメンバー同士は必然的に仲良くなり、年上の彼女は仲良しグループの一人だった。
本免許試験の前日の夜を鮮明に覚えている。
 
戸惑いながらも告白を受けた数時間後、一人部屋で仲の良い女友達に電話で相談した。
状況を順序立てて話し終わり一息つくと、
 
「もしかして、可能性を感じたのかも」
 
と返ってきた。
可能性? 当時、付き合っていた彼氏がいたし、そのことは初めから伝えていたし、そんなはずはない。
 
「なにか、その人から受け取ったものは?」
 
ある。自分は周りより年上だからと、よくお菓子など差し入れをしてくれていた。しかも一人ずつ。だけどわたしだけ、ちょっと価格が高そうなものだった。他の皆は飴なのに、わたしはシュークリームの日とか。それもバレないように、こそっと。申し訳なく尋ねると、こっちの方が好きかと思ってと舌を出しながら笑っていた。日を増すと受け取るものは、彼女が身につけているアクセサリーに変わった。さすがにと思い一旦断ると、免許合宿が終われば離れ離れになるから、自分の代わりに持っていて欲しいと伝えられた。それは、友情の延長線上ではなかったのか。好意のメッセージだったのか。自分の鈍感さに嫌気がさす。思わせぶりな態度は大いにしてしまっていた。薄々感じてはいたけど見ないようにしていた「チクリ」と刺さった針が、「グサリ」と鈍い音を立てて心の奥まで突き刺さった気持ちになった。
さらに電話越しの友人は続けた。
 
「……でもさ、関係ないよね?
だってさ、告白してくれた人がたとえ男性だったとしても、好きじゃなかったら断ったでしょう?」
 
そりゃそうだ。
 
「受け入れてくれそうな、可能性を感じた。
だから、勇気をだして告白してみようと思えたんだよ」
 
今の気持ちは「ごめんなさい」だと整理できた。
性別はどうであれ友情として付き合いたかったのに、あなたと同じ気持ちじゃなくて、ごめんなさい。新しくできた友達を、その関係を崩したくなかったんだ。その証拠に、彼女のことは人として好きだったし、これからも仲良くしたいと思っていた。
 
「性別なんて関係なかったんだよ」
 
人生20年目のパラダイムシフトであった。
好きになってくれた相手がたまたま同性で、わたしがその人に恋愛感情を持っていなかっただけだ。
友人がかけてくれた言葉は、もやもやした感情をストン、と落とし込んでくれた。
 
結局そのあと正直な気持ちで返事をしたかったけど、今度は彼女の方が気まずく避けちゃって、伝えられないまま卒業してしまった。それはとても甘酸っぱい初恋みたいな感情で、今でも思い出すと心の隅で「きゅう」っと残る。
 
この先、もしもそんな機会が来るとしたら、まず初めに「伝えてくれてありがとう」と言うことに決めている。勇気をだして気持ちを伝えてくれて、ありがとう。
 
性別は関係ないからさ、目の前の相手に向き合って考えてみよう。
 
 
 
 
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2019-09-06 | Posted in メディアグランプリ, 記事

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