現役アナウンサーが教える 「ナレトレ〜恋する声〜」ナレーションで身につく伝達力

第8回:新聞を読んでみる《ナレトレ~恋する声~現役アナウンサーが教える!ナレーションで身につく伝達力》


2021/08/09/公開
記事:渡辺美香(READING LIFE編集部公認ライター)

鍛えられるのはコレ!

はっきり(滑舌)
落ち着いたトーン
安定したスピード
言葉の数を増やす

 
 
最近は、新聞を紙媒体で購読する人が減ってきていると言いますが、新聞は、ナレトレに適した文章の宝庫です。
一日分でいいので、紙の新聞をキヨスクなどで購入していただけたらと思います。
紙のほうが目も疲れないですし、読みやすいように、チェックを入れたり丸をつけたりできます。まとまった原稿を読み切ったという質量の達成感もあります。
 
新聞原稿を読むことは、アナウンサーのニュース原稿を読むという業務に近いです。新聞やニュース原稿には、日常の生活の中では声に出してなかなか発しないような名詞や表現がたくさん使われています。
たとえば、「日米首脳会談」や、「新疆ウイグル自治区」といった言葉などです。
仕事などで関係していない限り、これらを日常会話で頻繁に使う人はほとんどいないと思います。友達との会話などではあまり出てこないですよね。
こういった声に出し慣れていない言葉を実際に発することは、自分が発音しにくい言葉や、発声しにくい音を鍛えることになります。
 
 

レッツナレトレ!

 
まずは、自分が興味のある見出しを選んでみましょう。
選ぶ基準は、ワクワクするものや興味の持てるもの。自分がしっかり知りたいと思う記事を選びます。
 
 
ステップ1 黙読してみる
 
最初は、軽く黙読して、全体の内容を把握します。
この黙読という作業は、とても重要です。
いきなり読み始めるのは、知らない山道を走り始めるようなもの。
ゴールと、道の起伏くらいはおさえておかないと、安定して走ることはできず、途中で転んでしまいます。
慣れてくれば、すぐに読み始めることもできるようになりますが、まずは、しっかり黙読しましょう。
 
 
ステップ2 5W1Hを把握する
 
次に、文章の5W1Hを考えます。
たとえば、このような文章があったらどうでしょうか?
 

 
Who 誰が(誰と)
When いつ
Whereどこで
What 何を
Why なぜ
How どのように
 

 
このように、新聞には、無駄な情報は、ほとんどどこにもないのです。
限られた紙面にできるかぎり情報を掲載しなくてはならないため、どれも大切な意味を持ち、それらをすべて理解していないとちゃんと読めないということになります。
 
一方、私たちがふだん黙読するときは、往々にして、興味のある言葉にしか目がいきません。
 

 
この文章を、頭の中でどのように読んでいますか。
頭の中でもしっかり音に変換しているのは「総理」「気候」「温室効果」「46%」程度ではないでしょうか。目で追って理解はしていても、すべてを音には変換しませんよね。
黙読はそれで充分です。
その上で声に出せば、大切な情報を、一字一句脳にインプットすることができます。
舌や唇を動かして発音することで、黙読では読み飛ばしてしまう言葉も、しっかりと頭に焼き付きます。
声に出して、その内容を耳から聴くという二つの作業が加わるということは、「見る」「話す」「聴く」という3つの言語中枢を活性化していることにもなります。
 
 
ステップ3 読みやすく工夫を
 
読みにくい場合は、意味の切れ目に線を入れるとちりやすい言葉に仮名をふるとくに大切だと思う部分に波線を入れるなどして工夫します。あまり入れすぎても、かえって読みにくくなりますので、自分のやり方を考えてみてください。私は、言いにくい長い熟語には、必ず意味の切れ目に線を入れます。
「まん延防止等重点措置」→「まん延防止等/重点措置」
線を入れたからといって、そこで切って読むわけではないので気を付けてくださいね。
あくまで読みやすくするための工夫です。
 

 
これらの方法は、他の文章を読みやすくするためにも役立ちますよ。
 
 
ステップ4 一字一句丁寧に、発している声を聴きながら読む
 
新聞のナレトレは、机に新聞を広げて、自然な声のボリュームで行います。
条約や法律のような長い名詞に加え、漢字、改行が多く、おまけに一文も結構長いので、最初はとても読みづらく感じるはずです。
あまり急がず、一字一句丁寧に、意味を考えながら読みましょう。
人によっては息切れしてしまうかもしれません。
その場合は無理をせず、各記事の見出しだけでも声に出して読んでみてください。
中には、「宣言解除後外出自粛率」などという早口言葉のようなものもあります。
こういった見出しも、確実にトレーニングになっていきます。
ナレトレは、楽しくが基本!
「この言葉、声に出してみようかな」という軽い気持ちでいいのです。
 
↓↓↓ 余力がある方のみ……
 
 
ステップ5 頭の文字の発音は、しっかり母音の口を作る!
 
普段読みなれない言葉をはっきり発音することで、滑舌のトレーニングになります。
言葉の頭文字は、しっかりと唇で母音の形を作ってから、発してみてください。
 

 
頭文字の発音しっかりしていると、言葉全体がはっきりと聴こえます。これは、第5回にも説明しました。(第5回ナレトレ 最初の一文でつかむ
言葉の最初は、必ず口の形を意識することで、さらに鍛えていきましょう。
 
レッツナレトレ!
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
渡辺美香(READING LIFE編集部公認ライター)

名古屋のCBCテレビアナウンサー。26年にわたり、テレビラジオで、バラエティからドキュメンタリーまで、7色の声でさまざまな朗読やナレーションを担当。全国41局のアナウンスメント審査で最優秀賞の受賞歴も持つ。現在の担当番組やナレーション TV「まちイチ」「なりゆきアフロ(チャント!内)」、ラジオ「渡辺美香のWhat a wonderful world」「きく!ラジオ」「石塚元章ニュースマン!」など。

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