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現役アナウンサーが教える 「ナレトレ〜恋する声〜」ナレーションで身につく伝達力

第10回:絵本を読んでみる《ナレトレ~恋する声~現役アナウンサーが教える! ナレーションで身につく伝達力》


2021/08/30/公開
記事:渡辺美香(READING LIFE編集部公認ライター)

鍛えられるのはコレ!

場の空気の作り方
キャラクターの演じ方
表情豊かな話し方

 
 
今回は、絵本を読んでみましょう。
絵本の聴き手は、往々にして子どもです。子どもたちは正直です。つまらなければ、あっという間にそっぽを向いてしまいますし、面白ければ、目をまんまるにして食い入るように聞いてくれます。
飽きさせないためには、声だけでなく、表情を使って楽しませることも必要です。
ここでは、おおかみと七ひきの子ヤギ(青空文庫)のお話を例にしてみます。
ご存知の方が多いと思いますが、お母さんに、お留守番をまかされた七ひきの子ヤギが、オオカミにだまされないで、無事お母さんの帰りを待てるのかどうか、というお話です。
レッツ!ナレトレ!
 
 
ステップ1 表紙の絵を使って場の空気をつくる


 
絵本を読む前に、お気に入りの表紙を見ながら、子供たちとどんなやりとりができるか想像してみましょう。
ポイントは、相手に話させて、参加意識をもたせることです。
 
絵を指さして「ここにいるのは、なあに?」
子どもたち「ヤギ―!」
子どもたちからは、「ヒツジー!」「イヌー!」などの答えがでるかもしれません。「モコモコしてないね~」「角があるね~」など、ほかの動物との違いをやりとりしてもいいでしょう。
 
「何匹(頭)いる?」
「何歳くらいかな?」
「みんなと同じくらいの年齢だね。」などと共通点を探すと、自分のこととして感じやすくなります。
 
やりとりの締めには、子供たちがワクワクするような話の聞きどころを伝えます。
「ある日、この、子ヤギたちがとんでもないことになってしまうんだよ。」
「ある日、子ヤギたちのところに、とってもこわい生き物がやってきます。」
などです。
子どもは「なんだろう……」とお話を聴きたくなるはずです。
 
 
ステップ2 キャラクターの演じ方
 
聴き手は、絵に意識が集中しています。キャラクターに命を吹き込むように演じてみてください。
下記は、お留守番をする子ヤギたちを狙って、おおかみが家の戸の前にやってくるシーンです。
 
「ぼうやたち、あけておくれ。おかあさんだよ。みんなに、いいものをもってきてやったよ。」
 
キャラクターを演じるというと、声色そのものを変化させなければならないと思いがちですが、声帯模写などできなくても、ちゃんと演じられます。
 
例えば、キャラクターの顔立ちを意識してみましょう。
 

 
絵本のオオカミはどんな顔をしていますか?
口が大きくて、意地悪な顔をしていたら、その顔をマネながら話してみるのです。口を大きくあけ歯をむき出しにしながら、凄みのある上目遣いで声を発するとどうでしょう。自然と、おそろしい声に近づくはずです。
 
次は、子ヤギのシーンです。
 
「おまえはおかあさんじゃないもの。おかあさんはきれいな、いい声をしているけど、おまえの声はしゃがれている。おまえはオオカミだい。」
 
二つ目の方法は、キャラクターの呼吸を意識してみましよう。
人間の子どもの呼吸数は、一分間に、乳児なら35回、幼児で25回くらいだそうです。大人を15回くらいとすると、子供は大人の2倍くらいの速さがあります。
呼吸が速いということは、呼吸が浅いということでもあります。
大人なら一呼吸で話せるセリフも、勢いのついた子供だと、切れ切れになるはずです。
 
「おまえは/おかあさんじゃ/ないもの。おかあさんは/きれいな/いい声をしているけど、おまえの/声は/しゃがれている。おまえは/オオカミだい。」
 
試しに、/の部分で息を吸いながら読んでみてください。必死になっている子供の息づかいに近づきます。
呼吸が安定しないためにスピードが速くなったり遅くなったりするのもいいかもしれません。
 
他には、キャラクターの体形や動き方、性格などを想像して演じるのも面白いです。
声は身体という楽器ですから、(ナレトレ第2回 参照リンク)大きな身体は太い声、細い身体は細い声というように、演じていくのもおすすめです。
 
 
ステップ3 山場は、表情豊かに喜怒哀楽をつけてみる
 
オオカミと七ひきの子ヤギたちの攻防は3回目に、大きな山場を迎えます。
1回目は、しゃがれ声でオオカミと気づき、2回目は、黒い足でオオカミと気づき、家の中に招き入れることを防ぎます。3回目は、声も足の色もお母さんをマネしたオオカミにだまされて、とうとう戸を開けてしまいます。
 
子ヤギたちはいっせいにさけびました。
「さきに足を見せてごらん、そうすりゃ、ぼくたちのおかあさんかどうか、わかるから。」
そこで、オオカミは窓のところに前足をかけました。子ヤギたちは、その足が白いのを見て、いまいったのはみんなほんとうのことにちがいない、と思いこみました。そして、戸をあけました。ところが、たいへん、はいってきたのは、オオカミです。
 
こういうシーンは、豊かな表情によって、ドキドキ感がまします。
カッコ内に、表情の例を書いてみました。
 
子ヤギたちはいっせいにさけびました。
「さきに足を見せてごらん、そうすりゃ、ぼくたちのおかあさんかどうか、わかるから。(←自信ありげ)」
そこで、オオカミは窓のところに前足をかけました。(←ニヤリと)子ヤギたちは、その足が白いのを見て、いまいったのはみんなほんとうのことにちがいない、と思いこみました。そして、戸をあけました。(←不安)ところが、たいへん、(←驚き)はいってきたのは、オオカミです。(←恐怖
 
読み方だけでなく、顔の表情も豊かだと臨場感が増します。
絵本は、サービス精神が旺盛であればあるほど、楽しい読み聞かせになるものです。
 
大人になると、子育て中という方をのぞけば、絵本を読む機会はぐっと減ってしまいますよね。しかし、私自身も、仕事で改めて読んでみて、伝え上手になるための格好の材料だと気づきました。人間が失ってはならない気持ちもシンプルに描かれていて、新たな感動に出会えます。
心への栄養補給という感覚で読んでみはいかがでしょうか。
 
レッツ!ナレトレ!
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
渡辺美香(READING LIFE編集部公認ライター)

名古屋のCBCテレビアナウンサー。26年にわたり、テレビラジオで、バラエティからドキュメンタリーまで、7色の声でさまざまな朗読やナレーションを担当。全国のアナウンスメント審査で最優秀賞の受賞歴も持つ。現在の担当番組やナレーション TV「まちイチ」「なりゆきアフロ(チャント!内)」、ラジオ「渡辺美香のWhat a wonderful world」「きく!ラジオ」「石塚元章ニュースマン!」など。

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