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週刊READING LIFE vol.161

転職を考える前に「負け癖のついた辞め方」をしていないかをチェックしよう《週刊READING LIFE Vol.161 人生100年時代の働き方》


2022/03/14/公開
記事:垣尾成利(READING LIFE編集部ライターズ俱楽部)
 
 
大卒者の勤続3年未満の離職率は3割程度で推移している。(厚生労働省の新規学卒就職者の離職状況調査による)
 
3年続かずに辞めていく若手職員が3人に1人はいる、ということだ。
 
私はこの数字はとても多いと感じているのだが、この割合は今後もっともっと増加していくのだろうなと思っている。
 
今や、年功序列の終身雇用は過去の制度で、年棒制の単年契約や派遣社員として働く生き方など、雇用形態も多種多様で転職によるキャリアアップを繰り返す生き方も当たり前の世の中になってきた。
これにより、仕事を辞めることに対する考え方も大きく様変わりしてきたように思う。
 
私は金融機関に勤務しているが、社会人になったのは平成5年、まだバブルの名残りのあった頃だ。
当時はまだ終身雇用、年功序列が当たり前の世の中だった。
ところが、入社した翌年に金融機関の破綻や統廃合が相次ぎ、あっという間に環境が激変した。
同じ頃、外資系保険会社の参入が相次ぎ、職場の後輩達が数多く転職していった。
 
それでもまだ当時は転職によるキャリアアップという文化は根付いておらず、辞める奴は馬鹿にされるような雰囲気が強かった。
 
その頃から比べても世の中の流れは大きく変わり、今や転職は当たり前で、短期間で辞めること自体マイナスなことではない、といった風潮が強くなってきた。
 
そもそも、どの業界も環境は厳しく、新たに社会人となった若者が「この会社で一生勤め上げたい」と思うような環境ではなくなっているのが現状だ。
 
苦労して入社した会社に、入る時から夢も希望も抱けずにいれば、それは長く働くモチベーションは上がらなくて当然だろうなと思う。
 
実力主義、と言えば聞こえはいいが、勝者になれる人なんてほんのひと握りで、現実的にはどんなに頑張ってもその努力が認められない、実らないと感じてしまう職員は多いのだろうなと思う。
 
人件費削減のため、一人あたりの仕事量も増え、一方ではサービス残業が常態化したり時間管理の徹底により仕事が終わらなくても定時で仕事を終えなければならなくなっていたりして、気持ちの余裕なく働き、一日を終えて家に帰るだけといった単調な日常を繰り返すだけになっている人も多いだろう。
 
しかもこのコロナ禍で、働き方はさらに大きく変わっていった。
 
リモートワークだけでなく、一日中マスクをして過ごし、職員同士の雑談や会食の禁止など、コミュニケーションの機会は激減した。
毎日顔を合わせる機会も減ったり、顔を合わせていてもマスク無しの顔を見た事がなかったり、仕事以外の会話もしたことが無いくらい、職員同士の繋がりは薄くなってしまった。
 
新人は集合研修なども減り、満足に仕事を教わる機会さえ与えられないような環境が続いているのが現状だ。
 
それでも、せっかく入った会社だからと頑張るものの、満足を得られないまま毎日が過ぎていく。
 
やり甲斐を見つけられず、不満と将来への不安を感じ、やがてやる気が無くなり転職を考え始める……
 
こんな若手職員は多いのではないだろうか。
 
実際、入社して数年の若手職員の中途退職は増えている。
 
何が原因で辞めていったのか? 知ることはできないけれど、この職場に未来の希望を見出すことが出来なかったから辞める選択をしたのだろう。
 
でも、辞めていった若手を見て感じるのは、もう少し頑張ってみたら良かったんじゃないか? と思う気持ちだ。
 

 

 
たった数年で答えが出るほど頑張ったと胸を張って言えるほど、必死に仕事をしたのか?
入社してきた時に持っていた思いを満たすだけの努力を重ねたのか?
 
機会があれば、辞めていった職員にそんな質問をしてみたいといつも思うのだ。
 

 

 
・この仕事を続けていても先が見えないから辞めるんです。
 
・ここにいてもやりたいことができると思えないから、もっと別の可能性を探すために辞めるんです。
 
・やり甲斐も充実感も感じないから辞める決断をしました。
 
もし、辞める理由を聞くことができたとしたら、こんな答えが返ってくることも多いのでは無いだろうか?
 
彼らの、その言葉に嘘はないのかもしれない。
でも、果たしてそれは本当に辞めるに値するだけの理由だったのか?
 
もしその理由が、「辞める理由」ではなく、「辞めるための理由」だとしたら、それは繰り返さないようにした方がいい。
 
なぜなら、それは「負け癖のつく辞め方」だからだ。
 

 

 
今、転職を考えている人がいたら、それが良い選択だったと思えるかどうかを簡単にチェックする方法をお教えするので、一度試してみてほしい。
それから決断をしても決して遅くないと思う。
 
そのチェック方法はこれだ。
「誰もが納得するような適当な理由を見つけて、自分に言い訳をして正当化していないか?」と自分に問い掛けてみることだ。
 
辞めると決めるのは、最後は自分自身の決断で、誰もそれを止めることはできない。
けれど、辞めるにあたり、誰かに何か言われるのは嫌だな、と思う気持ちもあると思う。
そこで、誰もが「残念だけど、そういうことなら仕方ないよね」と思うようなもっともらしい理由を見つけて「これが私の辞める理由です」と言ってしまうのだけれど、果たしてそれは本当かどうか?
 
その答えはあなただけが知っているのだ。
 
もし、気持ちのどこかに、仕事が嫌で逃げたい気持ちがあって辞めようとしているのなら、表向きの理由は嘘だったということだ。
 
職場の全員がその理由を信じたとしても、それは嘘で、あなた自身は絶対に騙すことはできない、ということを忘れないでいてほしい。
 

 

 
本当の理由が言えないのは、後ろめたい気持ちがあるからだ。
 
その後ろめたさを隠すために、もっともらしいことを言って辞めていくのだが、これは癖になるから要注意だ。
 
「こんなふうに言えば、みんな理解してくれる。私が辞めることを受け入れてくれるんだ」
そんな勘違いをして、後ろめたい気持ちを水に流そうとしてしまうのだけれど、それはこれから先もずっと心のどこかに引っ掛かったまま消えることは無く残り続ける。
そして、いつかまた転職を考えた時にまた同じように言ってしまうようになるだろう。
 
本当の理由から目を逸らしたまま辞めていく辞め方、これが「負け癖のついた辞め方」だ。
 
辞める理由なんて人それぞれで、どんな理由だって本人には重い理由なことは間違いないことだ。
誰もがそれを理解できないものだったとしても、本人にとっては辞めるに値する理由なのだから、隠す必要なんてないのだ。
 
角が立つので、わざわざ本当のことを言う必要は無いけれど、嫌だから辞める、仕事が面白くないから辞める、嫌な人がいるから辞める、給料が低いから辞める、こういう理由でも充分辞める理由になる。
 
でも、「負け癖のついた辞め方」をする人は、「辞める理由」ではなく、「辞めるための理由」を探してばかりいて、自分自身の中にある本当の理由から目を背けてしまうのだ。
 
本当の理由と向き合わないままに嘘を言って辞めると、「負け癖のついた辞め方」になってしまうのだ。
 
その仕事で起きる苦労を乗り越えることができなかったから、というのが本当の理由なのに、言うと格好悪いものだから適当な理由を言って胡麻化してしまう。
 
誰にも言わなくていいけれど、潔く負けを認めて辞めていけばいいのに、自分に対しても嘘をついてしまう。
これは、是非ともやめたほうがいい。
 
人生百年時代と言われる今この時代、転職するのも当たり前の時代だ。
 
入ってみたものの、仕事内容が合わなかったり職場の雰囲気が思っていたのと全然違うなんていうこともあるだろう。
 
そんな中で無理して我慢を続けて心を病んでしまうくらいなら、さっさと辞めて違う仕事を探したらいい。
 
それでも、やるべきことはやった、できる限りの努力はした、と自分自身が納得いくだけの答えを持って辞める決断をしてほしい。
 
私の部下には、いつもこのような話をするようにしている。
 
今は辞めようと思わずに頑張れていても、いつか迷い立ち止まる時が来るかもしれない。
そんな時に、自分に嘘をついて辞めてしまうと、次の仕事にも悪い影響が出てしまうと思うから、本当の退職理由が自分に負けたから、というものだったとしても、それを素直に受け入れて次の道に進んだ方が「逃げ癖」はつかない。
 
一旦逃げることを覚えてしまうと、簡単に何度も繰り返し同じ手を使うようになってしまう。
 
そうなると、その先にはキャリアダウンするばかりの人生しか待っていないのだと思うのだ。
 

 

 
辞めたいと思った時に、「誰もが納得するような適当な理由を見つけて、自分に言い訳をして正当化していないか?」と自分に問いかければ、その瞬間に答えが見つかるはずだ。
 
転職を繰り返してキャリアアップを図るためには、絶対に「負け癖のついた辞め方」をしてはならない。
 
それが、これからの時代を生きていくために必要な考え方なのだ。
 
 

□ライターズプロフィール
垣尾成利(READING LIFE編集部 ライターズ俱楽部)

兵庫県生まれ。
「誰かへのエール」をテーマに、自身の経験を踏まえて前向きに生きる、生きることの支えになるような文章を綴れるようになりたいと思っています。

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2022-03-09 | Posted in 週刊READING LIFE vol.161

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