週刊READING LIFE vol.185

なぜ、若者はわざわざラーメンを食べに岡崎市に行くのか?〜何もない場所を魅力的な場所にする東海オンエアの魅力!〜《週刊READING LIFE Vol.185 大好きな街》

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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2022/09/12/公開
記事:すじこ
 
 
「こんどの週末、愛知県に旅行に行くんだ〜」
 
もし、友人や知人にそのようなことを言われたらなんと反応するだろう。
きっと多くの方が「愛知観光=名古屋観光」という方程式を思いつき、
「あ、名古屋にいくんだね〜」と返すに違いない。
県民の方からすると失礼かもしれないがどうしてもその県のイメージが県庁所在地になって集中してしまい、神奈川県といえば横浜、福岡といえば博多という具合、愛知県といえば名古屋と反応するのだ。
しかも名古屋は第3の都市と言われるぐらいの経済都市で、観光もグルメも集約されているため「愛知=名古屋」という方程式が思いつくのも不思議なことではない。
 
私も友人から週末の予定を聞いた時、咄嗟にその方程式が思いつき、「あ、名古屋旅行に行くんだね〜」と返した。
すると友人は「違うよ。岡崎だよ」と当たり前の表情で言った。
 
え、岡崎?
 
そう思った方も少なくないだろう。
 
まずどこ、そこ?
 
と思った方もいるだろう。確たる私もその一人だ。
 
全く岡崎市民には失礼な話だが、正直友人から「岡崎」という地名を言われなかったら一生知らない街だったと思う。
それは岡崎市に限ったことではない。やはり「愛知=名古屋」というイメージがあまりにも強いため他の地域にスポットライトが当たらなかったという背景があり、他の地域を思い出せと言われてもギリギリ「豊田市」を思い浮かべる程度だ。(TOYOTAがあるため)
しかし「豊田市に観光に行く」という方はあまり聞いたことがなく、やはり「愛知観光=名古屋観光」と思ってしまうのは自然な流れだが、ここでまさかの岡崎市!
 
なぜ、急に岡崎市に友人は観光しようと思ったのか?
 
まさか、私の知らないとこでテーマパークができたのか?
確かに最近レゴランドやジブリパークなど立て続けに愛知にテーマパークができていると聞く。
きっと、岡崎市に〇〇ランドや、〇〇パークができているに違いない。
そんなことを思い友人に観光目的を聞いてみた。
 
「何しに行くって決まってるじゃん。ラーメンを食べに行くんだよ」
 
 
は?ラーメン?
 
博多に行くからラーメンを食べに行くというならまだ理解ができる。
横浜に行ったのだから横浜ラーメンを食べに行きたいというのも理解ができる。
しかし、岡崎にラーメンを食べに行くは本当に聞いたことがない。
「名古屋メシ」の中にもラーメンはない。
なのになぜ?
 
ちなみに友人はラーメンマニアというわけでもなく、聞くところによると特別ラーメンの評価が高いと言うわけでもないらしい。
しかも、そのラーメン屋は横浜系のラーメン屋だとのこと。
横浜ラーメンを横浜ではなく岡崎に食べに行くっとは謎すぎる。
さらに、そのラーメン屋はお昼のタイミングでは最長2時間は並ぶということ。
評価も特別高くない、発祥の地でもない、それなのに県外からわざわざ食べに行きたいラーメン。しかも2時間待ちは当たり前。
謎が深まりすぎる。私は友人に「なぜ、そこまでしてそのラーメンを食べに行きたいのか?」と尋ねた。
すると友人は当たり前の表情で「東海オンエアの聖地だからだよ」と答えた。
 
東海オンエア。名前は聞いたことがある人も多いだろう。
東海オンエアは登録者665万人(22年9月4日現在)を超える6人組youtubeグループだ。
バラエティにとんだ企画をほぼ毎日youtubeにアップし、20代を中心に絶大な人気を誇っている。
つい先日東海オンエアのリーダー、てつやが元AKB48の峯岸みなみと結婚したとの発表があり、普段Youtubeを見ない方はその報道でこのグループの存在を知った方も少なくないだろう。
東海オンエアという名前は私も知っていたし、何本か動画も見たことはある。
人気なグループというのも知っている。
しかし、それと岡崎市のラーメン屋とどのようなつながりがあるのだろう。
そのヒントは東海オンエアの動画内に隠されていた。
 
まず、あなたは人気なyoutuberはどこで住んでいるイメージがあるだろうか。
パッと思い浮かべるのが東京だと思う。
確かに人気youtuberは東京住みが多く、また撮影で度々渋谷や原宿が出てくるため、やはり東京を浮かべるのが自然で東海オンエアレベルのなると「当然、東京に住んでるもの」と思ってしまう。
しかし、なんと東海オンエアは全員東京住みではないとのこと。
 
え?じゃあ大阪?
 
と思ってしまうが、なんと全員愛知県の岡崎在住なのだ。
 
実は東海オンエアは岡崎市で育った6人が始めたグループなのだ。もともと高校の同級生とバイト仲間が集い遊び感覚で動画をアップしたところ、いつの間にか有名になって職業になっていたというまさにyoutubeドリームを形にしたグループだとのこと。
つまり多くのyoutuberが東京進出をする中、地元の岡崎市から今も発信し続ける希なグループなのだ。
それだけ人気なyoutuberなのだから当然東京に住もうと思えば住めるはずだ。
だが、なぜかれらが東京進出しないのか?
 
それは岡崎市をメンバー全員が愛し一つの個性だと思っているからである。
岡崎市は住みやすく撮影もしやすい環境であり、逆に多くの人が東京に行く意味がわからないと言う。
確かに東海オンエアの動画は外ロケも多く度々岡崎市の公園や、河原が撮影場所として登場する。実は東海オンエアは岡崎市の観光伝道師として岡崎市から任命を受けている市が認める唯一のYouTuberなのだ。
そのため、ロケ地なども市が全面協力をしている。
だから他のチャンネルに比べのびのびとした動画が撮れるのだ。
またそのロケ地は「東海オンエアの聖地」と言われ全国の視聴者がロケ地巡りに訪れる観光スポットとなっている。
その一つがあの横浜系ラーメン店というわけだ。
特に「まんぷく屋」という岡崎に2店舗しかないそのラーメン店は聖地巡りに欠かすことのできない場所だという。
 
「まんぷく屋」は、横浜系のラーメンという特質上、胃に重たい。
その特質を生かし、大食い企画のラスボスとして登場したり、罰ゲームとして登場することが多い。
マイナスシーンとして登場するラーメンだが、その味が如何なものかと訪れる東海オンエアファンが列を成し2時間の長蛇を生んでいるのだ。
罰ゲームなどのイメージがつくとどんなものか逆に興味が湧くという心理をうまく使ったラーメン屋は恐らく日本のyoutube内で1番有名なラーメン店といっても過言ではないだろう。
東海オンエアが食べた後「2度と行きたくないラーメン屋」というラーメンを追い求めて友人含めた全国のファンが岡崎に訪れ、聖地を巡礼する。
まさにyoutubeが「愛知=名古屋」を壊したのだ。
 
 
今やどこでも自分の表現したいことを発信できる時代となった。
いつどこで普通のラーメン屋や普通の公園が聖地になるかわからない。
もしかしたらあなたの街が観光スポットになるかもしれないし、私の育った街が聖地になるかもしれない。なにがどう転ぶかわからない時代の中で重要なのは「熱狂的に好き」という気持ちがその街にあるかどうかだと思った。
岡崎市がそこまで観光スポットになったのも東海オンエアの熱狂的な地元愛がなかったら成し得ていないことだろう。
愛があればエピソードが生まれ、そのエピソードを追い求めファンが街を訪れる。
「熱狂的な愛」こそが人を動かすのだな。と東海オンエアの動画を見て思った。
そして、私もその「熱狂的な愛」に動かされた一人である。
友人から動画を勧められてから東海オンエアの虜である。
いまでは友人より岡崎市に行きたい気持ちが高ぶっている。
 
 
季節は行楽シーズンでお出かけも検討している方も多いだろう。
そんなあなたにぜひ一度東海オンエアを見て欲しい。
そして、動画を見終えたあとあなたはこう叫ぶのだ。
 
あー、岡崎に行きたい。
あー、まんぷく屋のラーメンが食べたい。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
すじこ

東京生まれ。30歳

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2022-09-07 | Posted in 週刊READING LIFE vol.185

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