週刊READING LIFE vol.193

推しに子どもができた~東方神起を推し続けて13年の私の率直な想い~《週刊READING LIFE Vol.193》


*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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2022/11/14/公開
記事:川端彩香(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)
 
 
推しに子どもができた。
 
私の推しは、東方神起のチャンミンである。高校生の時に友人から東方神起のミュージックビデオを見せられて以降、かれこれ13年ほど、私は東方神起のファンであり、その推しメンはチャンミンである。
 
そんなチャンミンは、今までこれと言って大きなスキャンダルはなかった。「おい、それは事実か?」と思うような、若干グレーゾーンのゴシップは出たことがあるが、決定的な、それこそファンが大ダメージを受けるようなスキャンダルはなかったように思う。せいぜいかすり傷程度だった。
 
そんなチャンミンに、初めて熱愛報道が出た。一般人の女性と交際しているとのことだった。事務所も認めた。2019年の年末のことだった。その後、チャンミンはその女性と結婚した。
 
そして2021年10月、第1子となる男児が誕生したと報道された。
 
13年来のファンである私は率直にこう思った。ありがとう、と。
あなたの遺伝子をこの世に残してくれて、本当にありがとう、と。
 
他のファンの人たちが、チャンミンの結婚や、子ども誕生にどういう感情を抱いたのかはわからない。しかし、ここでは私の推し「東方神起・チャンミン」が結婚し、この度子どもが誕生したことについての感情を率直に述べさせていただきたいと思う。
 
 
私が東方神起に出会ったのは13年前、高校3年生の時だった。とある授業で、友人が東方神起のミュージックビデオを流したのがきっかけだった。
『冬のソナタ』を皮切りに、今ほどではないが日本にも韓国の文化が少し浸透してきている頃だった。私はもともと韓国に興味はなく、東方神起に関しても名前を知っているくらいで、曲を聴いたこともなければ、聴こうと思ったこともなかった。
 
ただそのミュージックビデオを見た瞬間、私の脳内に電流が走った。なんだ、このイケメンたちは! なんだこのキラキラは! ただただ衝撃だった。その中で私が最も心惹かれたのが、チャンミンだった。ルックスがめちゃくちゃ好みだった。
授業が終わるや否や、友人のもとにダッシュで駆け寄り、チャンミンの名前を聞き出した。
これが、私がチャンミンを知ったきっかけだ。この時の私も、まさかそれから13年も推し続けることになるとは思わないだろう。だがしかし、私は今もファンクラブ会員である。
 
13年も推しているが、推し始めた当初は、それはそれは盲目で、頭の中がチャンミン一色だった。大学生だったので大したお金もないくせに、彼が出ている雑誌は片っ端から買って読み漁り、発売されているCDを購入して延々と聴き、韓国語の勉強まで始めた。恐らく韓国語の勉強は、東方神起に限らずK-POPアイドルを好きになった人々は全員が通る道だろう。プリクラには「アンニョン」や「サランヘ」などのハングルが書かれるようになるところまでセットである。
13年も経つとその熱も少し落ち着いてきて、同じCDの形態違いを何枚も買うことはなくなった。時間が経つと、好きなことに変わりはないが、盲目さはなくなり落ち着きが出てくる。この様子は恋愛に似ているような気がする。
 
では、その13年も推している「推し」が結婚し、さらには子どもまでできてしまった。その心情はいかに、ということなのだ。
 
先にも述べたが、私は「ありがとう」や「幸せになってくれ」というような、感謝の気持ちしか浮かばなかった。それはチャンミンに熱愛報道が出た時も、結婚した時も、子どもが誕生したと発表があった時も、どちらも変わらなかった。
 
いわば、13年も片思いしていた相手が見知らぬ誰かと結婚して子どもまでできたっていうのに、なぜそんな風に祝えるんだ? ましてや感謝なんて! と思う方もいるかもしれない。もちろん、私もかつては「チャンミンみたいな男性、いや、チャンミンと付き合いたい!!!!」と思ったことがないと言えば嘘になるし、「ソウルの街角をひたすら曲がり続けたら、チャンミンと少女漫画のような出会い方ができるだろうか」と真剣に考えたこともある。タイミングが違えば、私が「ガチ恋勢」だった頃の報道であれば、今回の結婚や子ども誕生の報道に関しての捉え方も違ったかもしれない。
 
ではなぜ、素直に心の底から祝えるのか。「遺伝子を残してくれてありがとう」など、ちょっと気持ち悪くはあるが感謝の気持ちまで湧き出てくるのか。13年という年月が私に落ち着きを与えたということもあるだろう。でもそれ以上に、これまでの、チャンミンのファンに対する誠実な姿勢があったからこそだと、私は強く思うのだ。
 
最初に見た目で好きになったこともあるが、チャンミンは本当に王子様みたいな人なのだ。
綺麗な顔立ちで、スラっとした長身で、というイケメンにおける必須項目はもちろんクリアしており、且つ笑った時に右目の方が細くなるというところも可愛いし、撫で肩なので衣装は割と肩がしっかりあるジャケットなどが多いというところもなんだか可愛くて好きだ。イケメンは犯罪以外であれば、どんなギャップでも許されると思っている。
事務所に所属する条件として親から学力キープを命じられていたこともあり、頭も賢い。本もよく読む。日本の好きな作家は村上春樹だそう。イケメンで頭も賢いって、私は少女漫画の登場人物しか出会ったことがなかったので、こんなリアル王子様みたいな人が存在するのか……と特に最初は信じられない部分もあった。
 
一方で、毒舌な一面もある。
ライブが終盤になり、寂しい~と言うファンに対して「早くお家に帰りましょう」だとか、ライブ会場を見渡して「今日はあまり美人がいませんね」と平気で言ってのける。次の曲に進もうとしているところにファンが「チャンミーン!」と叫ぶと「うるせぇですね、進行の邪魔をしないでください」と冷たくはねのける。そんなチャンミンも私たちファンは大好きなので、またキャーと黄色い声援が起こる。そして始まるのはキレキレのダンスパフォーマンスだ。これで沼にハマらない人がいるのだろうか。
 
沼にハマるファン(私)が続出する中で、チャンミンが私たちに言い続けていたことがある。それは「僕たちを中心にした生活を送らないで」ということだ。ここが、私がチャンミンの一番良いところであると思っており、一番好きなところでもある。
 
芸能人も商売であるから、自分の出演したドラマや映画はたくさん見てもらわなければならないし、CDやDVDはたくさん売れないといけないし、ファンクラブも会費を取っているならばその会員数は多くなければいけないだろう。ボランティアではなく仕事だから、そこは私たち一般人が働くことと同じで、自分の活動をお金に変えなければならない。ものすごく冷めた言い方をすると、世の中の人とサービスがお金を払うことで成り立っているように、アイドルを始めとする芸能人とファンも、やっぱりお金を払って成立しているものなのだ。彼らが発売したCDを買い、ライブDVDを買い、取材を受けた雑誌を買い、ファンクラブに入って会費を払い、ライブの選考抽選に参加し、当選したらチケット代を払い、当日のライブ会場ではグッズを購入する。推しを応援したい! という気持ちを、私たちファンはお金を払うという行為で示し続ける。そしてそのお金で彼らは活動が続けられ、周りのスタッフさんたちも働き続けられ、私たちに歌やライブパフォーマンスという形で還元され、それに対して私たちはまたお金を払う。一種のサイクルになっている。
 
ただ、ファンの中でもいろいろな人たちがいる。しっかり家計管理をして、貯金をしたり、友人と遊んだりするお金も取っておきながら、自分で決まった金額だけを推しに使う人もいれば、必要最低限の生活費だけを確保し、あとは全財産を推しに注ぎ込む人もいる。まだそれならいいものの、借金をしてまで推しに使う人もいるそうだ。恋は盲目と言うように、推しに対して盲目になってしまっているファンがいるのも事実だ。
 
芸能人はそういう人がいることを知りながらも、それに対して直接何かを言うことは少ないだろう。ただ、チャンミンはしっかり言葉にしてくれるのだ。
「僕たちはファンの人たちにとってのビタミンのような存在でありたい。僕にも僕の生活があるように、ファンの人たちにもそれぞれの生活がある。ずっと僕たちに熱を注ぎ続けるのは、お互いにしんどいと思う。だから、疲れた時に僕たちの音楽を聴いてくれたり、ライブに遊びに来てくれたり。そういう関係で居続けたい。だから、無理のない範囲で応援してほしい。自分の生活を大事にしてほしい」と、あやふやな記憶ではあるが、10年前、大学生の時に購入した雑誌でコメントしていた。私は「東方神起の歌を聴くくらいだけど好き」という割とライトなファンも「東方神起なしじゃ生きていけない!」という盲目系のファンも、どちらのことも大事にしていて、そのどちらに対しても優しい言葉をかけてくれるのだ。私自身はこの中間くらいの立ち位置だと思っているが、このコメントを雑誌で読んだ時、大学生ながら「この人のファンになれて良かった」と心から思った。それは今も変わらない。
 
また、チャンミンが長い年月をかけて私たちに「僕はアイドルである前に一人の韓国人男性だ。だから、彼女も欲しいし、時がきたら結婚したいし、子どもも欲しい」と、堂々と宣言していたことも、私が素直に彼のライフイベントを祝福できた要因であるだろう。正直者のチャンミンらしくもあり、しかしアイドルらしからぬ発言でもあるが、今思えば、あれはファンに対するある種の洗脳のようなものだったのかもしれない。
 
ファンの人たちは「えー!」と言いながらもみんな思っていただろう。チャンミンの好きなようにしてほしいと。
 
アイドルらしからぬ発言も含め、彼は私たちファンに対してとても誠実にいてくれたと思うし、私たちファンを大事にしてくれていると感じる言葉をたくさん発してくれていた。大きなスキャンダルも不祥事もなく、彼は私たちファンにとても誠実な態度を見せ続けてくれていた。「芸能人の本当の性格なんてわからないのに、中身が好きなんてこと有り得るのか」と異論を唱える人もいるが、私たちがお金を出して応援し続けているのは「東方神起」として活動しているチャンミンである。チャンミンだけでなく、芸能人を好きかどうか判断する際の判断材料としてプライベートまでは知り得ないものなのだから、表舞台に出ている彼の言動が好きなのであれば、中身も好きということでいいのではないだろうか。そしてこれは推し贔屓が入っている自覚はあるが、表舞台でのチャンミンの言動は、プライベートでも大きくは変わっていないと思うのだ。誠実で態度の青年だと思うのだ。
 
これが人気絶頂の最中であったり、ファンになりたての頃の私のような、盲目状態であったり、そういう状況であればこの度の熱愛報道から子どもの誕生までを、素直に「おめでとう」と祝福できなかったかもしれない。
 
13年という年月が、私にファンとしての落ち着きを与えてくれたことも大きいだろうが、何よりも、推しの誠実で、まっすぐな言動が、自然と私をこういう気持ちにさせてくれたのだと思う。推しの幸せなライフイベントに関して素直に祝福できる自分が嬉しいし、そういう風に喜べる自分が、推しにとって恥ずべきファンでなければいいなと思うと同時に、これからもそういうファンであり続けたいなと思うのだ。少しだけ、身の引き締まる思いである。
 
そしてやっぱり一番に思うのが、チャンミンが私の推しで良かった、ということだ。
彼を推し続けていて、本当に良かった。
 
将来、第2子、第3子と生まれるかもしれないし、その孫まで生まれるかもしれない。それ以外にも、東方神起としてのチャンミンではなく、1人の人間としてのチャンミンに、何か幸せなライフイベントが、これからも起こるだろう。
 
私はその度に、これからも「おめでとう」と思うし、素直に嬉しいと思うだろう。
彼が私たちファンに対して誠実な態度を取ってくれる以上、私たちファンも、彼に対して同じく誠実な態度で応援するべきだし、彼に恥じない存在であるべきだと思うのだ。
 
チャンミン、本当におめでとう。これからも、どんどん幸せになってね。
私たちファンは、あなたの幸せを祈り続けながら、これからも応援していきます。
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
川端彩香(READING LIFE編集部ライターズ倶楽部)

兵庫県生まれ。大阪府在住。
大阪府内のメーカーで営業職として働く。コロナ禍で当時付き合っていた彼氏に振られ、見返すために自分磨きを開始し、その一環で2021年10月開講の天狼院書店のライティング・ゼミに参加。2022年1月からライターズ倶楽部に参加。文章を書く楽しさを知り、振られた頃には想像もしていなかった方向に進もうとしている。

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2022-11-09 | Posted in 週刊READING LIFE vol.193

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