週刊READING LIFE vol.197

ノイキャンをはじめとする現代技術がパないって話《週刊READING LIFE Vol.197 この「音」が好き!》

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*この記事は、「ライティング・ゼミ」の上級コース「ライターズ倶楽部」にご参加のお客様に書いていただいたものです。

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2022/12/12/公開
記事:黒﨑良英(天狼院公認ライター)

 
 
 「ノイキャン」と聞いて、「ああ、今話題のキャンプのことね。『ゆるく』キャンプするから『ゆるキャン』で、『野井さん』とキャンプすることが『ノイキャン』だよね。私も今度職場の野井さんとやってみようと思うんだ、『野井キャン』を」
 
なんて知ったかぶりをしている紳士淑女の皆さん、残念ながら違う。「ノイキャン」は「ノイズキャンセリング」の略で、すなわち騒音を消去する機能のことである。
 
私は、これに大いに感動した次第だ。
 
私が「ノイキャン」を最初に体験したのは、某大型電気店の店頭である。
このとき、私はBluetooth搭載のワイヤレスイヤホンを探していた。
え~、わかりやすく言うと、無線のイヤホンを探していたのである。機械から直接線が出てないヤツね。そういうモノがあるのだ。
 
私はこの一週間後、入院生活を控えていた。期間は一週間ということで、私にとっては微妙に長い。いや、無論以前には数ヶ月単位で入院していたこともあったが、それは子ども時代のことであり、大人になってからの1周期入院は、長いと言わざるをえない。
 
そんなわけで入院のお供が必要となる。
本、映像、ゲーム、音楽あたりが定番であろう。昔はこれらを別々で持って行ったものだが、科学技術のとてつもない進化のおかげで、今ではタブレット一つあれば全てをまかなえる。
良くも悪くも大変な時代になったものだ。
 
しかし、病院という環境上、大きな音を出すわけにはいかない。そこでイヤホンが必要となるのだが、苦しい入院生活を少しでも快適にするため、ここは一つ最上位のものを買おうと奮発した。
ちょうど最近、よいディジタル音楽プレイヤーを手に入れたのだ。ハイレゾという、CDよりも高音質のデータを再生できる機械だ。
昔なら、ポータブルCDプレイヤーにCDを何枚か持って行くところだが、今では小さな箱型機械一つで、(音質にもよるが)CD何十枚分のデータを持ち運ぶことができる。
やはり科学技術万歳だ。
 
この精密機械、実は専用のイヤホンが必要である。
いや、何も高価である必要はない。それこそ千円くらいからラインナップがある。だが、それにプラスアルファの機能がつく度に、値段もはねあがっていく。
音質はもちろん、無線機能、そしてノイキャン機能などだ。
 
というわけで、その専用イヤホンを買おうと、冒頭の電気店に行ったわけである。
そこで紹介されたのが、ノイキャン機能搭載の、当時最上位モデルと言われた逸品である。
 
ノイキャンのことは前々から聞いていたが、実際に機能を体験したことはなかった。
私は店員さんに言われるままに、お試しで、そのイヤホンを使って聞いてみた。
 
語彙が薄れるが、まあ、すごかった。
話には聞いていたが、本当に雑音が消えるのである。そのため、聞くべき音楽が際立ってきれいに聞こえた。
静かな個室に入って、そこで音楽を聞いているかのようだった。
 
こいつは半端ない機能である。パない機能である。
私は感動して一筋の涙を流すほどではないが、それくらい驚き、購入を即決した。
 
ところでこの機能、どうやって騒音を抑えているかご存じだろうか?
いや「抑えている」という言葉はやや語弊がある。
 
もちろん、耳に入れる部分の形状や、ヘッドホンでいうところの「イヤーマフ」の性質を工夫して、入ってくる騒音を抑える、という方法もある。これを受け身(=パッシブ)の方法という意味で、「パッシブ・ノイズキャンセリング」という。
 
だが、私が感動した機械に搭載されていたのは、受け身ではなく能動的(=アクティブ)に騒音を「消す」機能である。
音というのは、ご存じの通り空気の波である。ということは、その波と反対の形の波をぶつけることで、その音を消すことができる。
 
そう、このイヤホン、コロコロと変わる外部の騒音を瞬時に分析し、その音と逆の波を生み出してぶつけているのである。コレ、理論上は分からないでもないが、実際に技術にしたらとんでもないハイテク技術である。
 
やはり現代科学技術はすごい。
 
ちなみに、このハイテクガジェット群を使って何を聞くかというと、ほとんどがアニメソング、通称アニソンである。ハイレゾ音源で聞くと感動も倍増だ。
他にも多種多様に聞いた。
 
ジャズ・クラシック・日本の唱歌にピアノ曲等々。
何を聞いても「よく」聞こえる。
やはり普段入ってくる雑音というのは、思いのほか存在感があったらしい。
ノイキャンで消したとたんに、プレイヤーからの曲がはっきりくっきりと聞こえてきた。
 
最近の音楽は、CDではなくネット上から一曲ずつ買われることが多い。
その祭の音楽のデータというのは、実はあまりよくない。
人間に聞こえない、けれど大事な音域をそのまま消して、データ量を小さくしているのである。
 
だが、そんなデータでも、きれいに聞こえる。
 
そういった標準的な音源でも、そこまできれいに聞こえるのだから、ハイレゾ音源の高音質なきれい感たるや、もう、感動ものである。
 
音質にこだわる人は多く、様々なこだわりポイントがあるだろうが、今度はこの「ノイキャン」機能を、ぜひ、あなたも体験してみていただきたい。
 
未知の感覚があなたを魅了すること間違いない!
 
 
 
 

□ライターズプロフィール
黒﨑良英(天狼院公認ライター)

山梨県在住。大学にて国文学を専攻する傍ら、情報科の教員免許を取得。現在は故郷山梨の高校に勤務している。また、大学在学中、夏目漱石の孫である夏目房之介教授の、現代マンガ学講義を受け、オタクコンテンツの教育的利用を考えるようになる。ただし未だに効果的な授業になった試しが無い。持病の腎臓病と向き合い、人生無理したらいかんと悟る今日この頃。好きな言葉は「大丈夫だ、問題ない」。

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2022-12-07 | Posted in 週刊READING LIFE vol.197

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